開発者インタビューも収録
マランツ「HD-AMP1」を聴く。最上位「PM-10」と並行して開発したDAC内蔵アンプ
マイルス・デイヴィスのエレクトリックミュージック「You’re Under Arrest」も再生したが、CM6 S2から躍動感に溢れた鮮やかなベース、ギターが聴ける。背後にキーボードの音がベールのように広がり、前面にマイルスの緻密なトランペットが定位。まさに音が一点放射されるような、立体空間のステージが再現された。立ち上がりが早いので強烈なドラムスやベースも楽々とこなし、スピーカー制動力も高い。
■ハイレゾ再生では空間再現や鮮度感の高さがいかんなく発揮された
USB-DAC再生では、ダイアナ・クラール「Wallflower」が実に素晴らしい。48kHz/24bitというのに、アナログを聴くような厚みのある音が再現され、中央にダークでハスキーな声質がリアルに再現された。その背後には、きめ細かなストリングスや、真珠のように柔らかく輝くピアノの音が再現される。
11.2MHz DSDのRyu Mihoのアルバムから「Fly me to the moon」を再生したが、ここでも柔らかで、わずかにハスキーな美声が鮮度高く再現され、明瞭なピアノと引き締まったベースが空間に生々しく定位した。
■B&Wの旗艦シリーズ「804 D3」も難なく鳴らす駆動力
次に、スピーカーのスケールを上げて、B&W「804 D3」をドライブした。ペア146万円というハイエンドスピーカーを15万円弱のプリメインアンプで鳴らしたわけだ。しかし、驚いたことに、804 D3がダブルウーファーを搭載しているのにも関わらず、一般家庭ならまず十分な音量で、マイルス・デイヴィス「You’re Under Arrest」を音を濁すことなく再生できた。空間のスケール感もしっかりと引き出してくれた。
USB-DAC再生は2Lのマニフィカトを再生したが、色彩鮮やかな女性合唱団が左右に広がり、その前面左右に弦楽パートが響き豊かに定位。演奏会に臨むかのような感覚を味わえた。ソロ・ソプラノの解像度と定位にも優れ、背後にオルガンの深い低音が流れる様子も、濁りなく再現される。もちろん、804 D3はかなり高価なスピーカーである。もし読者がフロア型スピーカーを組み合わせることを望むなら、価格バランス的にも「CM8 S2」か「CM9 S2」が現実的な選択肢としてお薦めだ。
◇
HD-AMP1は、PM-10と開発を共にしたモデルということで、コンパクトかつリーズナブルな価格ながら、その片鱗を見せるサウンドを備えている。マランツの優れた技術が、本機のサウンドの支えとなっているのだ。これから本格的なオーディオを始める方にもお薦めできるし、長く愛用できることであろう。
(角田郁雄)
マランツ開発陣に聴く「HD-AMP1」と「PM-10」の関係
HD-AMP1の開発者インタビューについては、「マランツのサウンドマネージャー澤田氏“最後の作品”。「HD-AMP1」開発秘話」にて詳しくお伝えしたのでこちらをぜひお読みいただきたいのだが、今回、先日お伝えしたPM-10について開発陣にインタビューを行った際に、改めてHD-AMP1についても話を聞くことができた。ここに掲載したい。(構成:編集部)
ーー HD-AMP1は、PM-10と平行して開発されたスイッチングアンプという意味でも、非常に意義の大きい製品であり、またPM-10とコンセプト的にも共通する部分があるかと思います。
村山氏 アナログ構成のプリアンプ部とHypexスイッチングアンプ・モジュールという基本的な構成は共通しています。HD-AMP1もスイッチングアンプと呼称していますが、PM-10と同様に“アナログアンプ”と呼べる構成になっています。
■ハイレゾ再生では空間再現や鮮度感の高さがいかんなく発揮された
USB-DAC再生では、ダイアナ・クラール「Wallflower」が実に素晴らしい。48kHz/24bitというのに、アナログを聴くような厚みのある音が再現され、中央にダークでハスキーな声質がリアルに再現された。その背後には、きめ細かなストリングスや、真珠のように柔らかく輝くピアノの音が再現される。
11.2MHz DSDのRyu Mihoのアルバムから「Fly me to the moon」を再生したが、ここでも柔らかで、わずかにハスキーな美声が鮮度高く再現され、明瞭なピアノと引き締まったベースが空間に生々しく定位した。
■B&Wの旗艦シリーズ「804 D3」も難なく鳴らす駆動力
次に、スピーカーのスケールを上げて、B&W「804 D3」をドライブした。ペア146万円というハイエンドスピーカーを15万円弱のプリメインアンプで鳴らしたわけだ。しかし、驚いたことに、804 D3がダブルウーファーを搭載しているのにも関わらず、一般家庭ならまず十分な音量で、マイルス・デイヴィス「You’re Under Arrest」を音を濁すことなく再生できた。空間のスケール感もしっかりと引き出してくれた。
USB-DAC再生は2Lのマニフィカトを再生したが、色彩鮮やかな女性合唱団が左右に広がり、その前面左右に弦楽パートが響き豊かに定位。演奏会に臨むかのような感覚を味わえた。ソロ・ソプラノの解像度と定位にも優れ、背後にオルガンの深い低音が流れる様子も、濁りなく再現される。もちろん、804 D3はかなり高価なスピーカーである。もし読者がフロア型スピーカーを組み合わせることを望むなら、価格バランス的にも「CM8 S2」か「CM9 S2」が現実的な選択肢としてお薦めだ。
HD-AMP1は、PM-10と開発を共にしたモデルということで、コンパクトかつリーズナブルな価格ながら、その片鱗を見せるサウンドを備えている。マランツの優れた技術が、本機のサウンドの支えとなっているのだ。これから本格的なオーディオを始める方にもお薦めできるし、長く愛用できることであろう。
(角田郁雄)
マランツ開発陣に聴く「HD-AMP1」と「PM-10」の関係
HD-AMP1の開発者インタビューについては、「マランツのサウンドマネージャー澤田氏“最後の作品”。「HD-AMP1」開発秘話」にて詳しくお伝えしたのでこちらをぜひお読みいただきたいのだが、今回、先日お伝えしたPM-10について開発陣にインタビューを行った際に、改めてHD-AMP1についても話を聞くことができた。ここに掲載したい。(構成:編集部)
ーー HD-AMP1は、PM-10と平行して開発されたスイッチングアンプという意味でも、非常に意義の大きい製品であり、またPM-10とコンセプト的にも共通する部分があるかと思います。
村山氏 アナログ構成のプリアンプ部とHypexスイッチングアンプ・モジュールという基本的な構成は共通しています。HD-AMP1もスイッチングアンプと呼称していますが、PM-10と同様に“アナログアンプ”と呼べる構成になっています。
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