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自由に画質を追い込める

BenQのフルHDホームシアタープロジェクター「HT6050」レビュー。THX認証取得&レンズ交換の真価とは

公開日 2017/05/11 10:00 折原一也
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Rec.709に忠実な色再現をベースに、多彩な画質カスタマイズに対応

まずはHT6050の設置性からチェックすると、外形寸法は431W×167H×321Dmmの8.8kgで、最近のフルHDプロジェクターではやや大柄。投射の仕様は1.2倍の光学ズームレンズで、上下-15%〜55%、左右±5%のレンズシフトに対応。レンズシフトは手動でダイヤルを回す作りで、本体内蔵のテストパターンを標示して微調整する。ホームシアターファンならすぐ扱えるはずだ。

天面のダイヤルで上下左右のレンズシフトが行える

ズームおよびピント合わせはレンズまわりのリングで調整

4種類の別売コンバーションレンズは、本体のレンズユニットを丸ごと取り外して交換する機構となっている。これはユーザーの手で交換するというよりホームシアターインストーラーによる設置が一般的な米国流の設置を配慮したものだろうが、特別な工具を使わずに素手ですぐに手回しで行えるため難しさはない。

メニューボタンやレンズ交換時のレバーなども天面に配置

本体への入力端子はHDMI2系統(うち1系統はMHL対応)とミニD-Subを2系統搭載しているため、AVレシーバー経由との接続やPC接続では十分規準を満たしている。

メニュー操作は付属のリモコンからも行える

背面部に端子を配置。HDMIは2系統装備し、うち1系統はMHLに対応する

肝心の画質についてだが、映像モードは「BRIGHT」「VIVID」「THX」「GAMEPLAY」「USER」から選ぶ仕組み。ホームシアター用としては”映画”に相当するモードを「THX」が担う。「USER」のデフォルト値は「THX」と同じなので、まさしく「THX」がHT6050のリファレンスとして扱われているわけだ。

ピクチャーモードは「THX」が基準となる

今回の視聴環境は暗室を基本として、「THX HD Display」の実力を問う映像ソースとして『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のBDで画質チェックをスタート。すると一目で分かるほど、色彩表現をきわめて忠実志向に振った画質が得られた。

夕日の砂漠のシーンで始まるチャプター8を見ても、陽に照らされた色彩の表現が実に丁寧。画面全体で非常に高い黒色の再現力が求められるチャプター25の皇帝の謁見シーンは、黒の沈み自体は追求し過ぎず、むしろ暗部に存在している色階調とディテールを確実に引き出すタイプ。「THX」の認証を獲得している薄型テレビにも近い、映像信号を余す所なく引き出すチューニングといったところ。

色彩チェックの目的として『SAMSARA』、また最新のBD作品として『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を見ても、誇張せず正確にRec.709を再現しており、プロジェクターとしての忠実性は高水準だ。

さて、HT6050の画質はまさしくリファレンスにふさわしいものだが、一方で自分好みの画質へと追い込める画質調整も豊富だ。まず映画制作のオリジナルの映像はデジタルシネマのDCI、また劇場上映もレーザープロジェクタの視聴体験に近づけるという点では、まずは「ピクチャ」の設定内にある「ブリリアント」を有効にするところからスタート。輝度や彩度を個別に調整するまでもなく、BD再生でも現代的なリッチな色乗りと力強い描写へと調整できる。

豊富な画質調整を行える

独自のビデオ強化テクノロジーとして搭載され、リモコンの専用ボタンからダイレクトに呼び出せる「CinemaMaster Video+」も強力だ。色味については独自のアルゴリズムを持つ「カラーエンハンサー」が強力で、ベースの値の0から1〜3程度に引き上げると映画の色彩に現代味が現れる。「肌色」の設定は0〜5で調整可能で徐々に黄色から赤へとシフトし、こちらも1程度の設定で入れても良い。

「CinemaMaster Video」メニューからは、画質だけでなくフレーム補間による描写などの細かな調整が可能

視聴の上で最も効果が現れたのがエッジを明瞭にする「PixelEnhanser(ピクセルエンハンサー)」の機能で、標準のナチュラル志向から最大5程度まで、どの段階でも確かな変化が見て取れる。また、動画補完の「モーション・エンハンサー」も24p映像のジャダーを残しつつ働くため、映画的な味わいを残した処理になる事も好感を持った。

このほかにもプロジェクター自体の輝度やシャープ、RGBの個別のゲインといった調整もできるので自由度は確保されている。

誇張のない忠実な描写でRec.709を再現

HT6050は「THX HD Display」をベースにしたモニター的な映像の作りをベースに、自由に画質を追い込めるため実に使い込み甲斐がある。フルHD DLPプロジェクターのハイエンドとして、一見の価値のあるモデルの登場だ。

(折原一也)

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