DAC刷新など音質も強化
“エントリー” に収まらないサウンド 。HEOSにも対応したデノンAVアンプ「AVR-X1400H」をチェック
■HEOSアプリ対応で家中の音楽をコントロール。Spotify/AWAにも対応
新しく搭載された「HEOS」(関連ニュース)は、デノンが提案するマルチルーム配信機能。LANを用い、DLNAに対応したハイレゾネットワーク再生や、インターネットからのストリーミング再生機能も含む。
そもそもHEOSは、機器よりもアプリが主体と考えると理解しやすい。従来は、まず機器があり、その機器に対して操作を行い、所望の音楽を再生させていた。一方、HEOSでは、アプリ上で聴きたい音楽を探し、出力先、つまりオーディオ機器を選ぶといった具合。機器は1つでも複数でも良く、また、同じ曲をマルチルームで再生しても、あるいは異なる楽曲やソースを選択するなど自由度が高い。重複するが、言い換えれば、機器ありきではなく、コンテンツと体験を主眼においた、ライフスタイルに寄り添う意思を感じるものだ。
本機におけるHEOS対応は、多彩なソースを選択できるのが特長の1つといって良いだろう。例えば、アナログ入力している音声を、LAN上のHEOS対応スピーカー「HEOS1」「HEOS3」やプリアンプ「HEOS Link」(関連ニュース)に配信することもできる。家庭における真のミュージックサーバーとしての機能を獲得したといえそうだ。
今回は、AVR-X1400HとHEOS1を同一LAN上に接続し、使い勝手を検証した。
HEOSアプリでは、「ミュージック」画面で、「Spotify」「AWA」や「Tune in」といったストリーミングサービスおよび外部入力など、ソースの選択ができる。
具体的には、機器としてAVR-X1400Hを選択してから入力を選ぶのではなく、例えば、HEOSアプリで外部入力を選べば、AVR-X1400Hの外部入力や、HEOS1の外部入力が並んで見えるという具合。そう、機器ありきではなく、体験を優先したシステムであることが分かる。
機能面ではグループ化が面白い。音ズレの無い完全同期再生が可能で、家じゅうを同じ音楽で満たすこともできる。もちろんアプリ上で、AVR-X1400HとHEOS1の音量を簡単に個別調整することも可能だ。
今回のケースでは、AVR-X1400Hに接続したUSBメモリーの音楽や、アナログ外部入力もHEOS1に配信できた。AVR-X1400HにAirPlay経由で再生している音楽はHEOS1に配信できないなど、著作権に起因する制限も存在するが、アプリ画面上では再生できない旨を明確に示してくれるので、混乱することはなかった。
日本では狭小な住宅が多く、欧米ほどマルチルームを求める声はないと言われることもあるが、どの部屋も好きな音楽で満たす心地良さは、一度体験すると戻れなくなる。旧来の配線引き回しや操作が面倒なマルチルームに比べ、今やWiFiとスマホで障壁は解消された別物に進化している。気軽に試してみて欲しい新機能だ。
マルチルーム機能を利用しない場合も、人気のSpotifyやAWAといったストリーミングサービスの利用でHEOS機能が活きる。今回、実際にSpotifyやAWAを再生してみたが、HEOSアプリから各アプリに移行できるのは親切。本機はSpotify Connect(プレミアムプランで利用可能)に対応し、スマホを介さず、本機がインターネットからストリーミングデータを直接受信できる。
いわゆるキャストで、スマホは音声データを受信したり、トランスコーディングして送信という作業を行わないので、余計なバッテリーを消費せず、音質面でも有利だ。特にSpotifyのストリーミングデータはOgg Vorbisの320kbpsで、音質面でもCDに引けを取らない。音切れとは無縁で安定した再生も、一昔前とは異なる良さだ。
◇
ハイレゾ時代に即した音作りの方向は的を射ており、それを実現するための実力アップも着実かつ効果的であることが確認できた。HEOS対応では、今後主流となるであろうストリーミング音楽への対応や、楽しみを広げるマルチルーム配信機能も先進的かつ強力。本機は最新スペツクを誇るAVアンプでありながら、家庭におけるコンテンツのゲートウェイとしての役割をこなす。それでいてリーズナブル価格はもう驚くばかり。
ホームシアターファンに限らず、ネットワークオーディオに興味があるなら、本機も候補に入れておいた方が良さそうだ。
(鴻池賢三)
新しく搭載された「HEOS」(関連ニュース)は、デノンが提案するマルチルーム配信機能。LANを用い、DLNAに対応したハイレゾネットワーク再生や、インターネットからのストリーミング再生機能も含む。
そもそもHEOSは、機器よりもアプリが主体と考えると理解しやすい。従来は、まず機器があり、その機器に対して操作を行い、所望の音楽を再生させていた。一方、HEOSでは、アプリ上で聴きたい音楽を探し、出力先、つまりオーディオ機器を選ぶといった具合。機器は1つでも複数でも良く、また、同じ曲をマルチルームで再生しても、あるいは異なる楽曲やソースを選択するなど自由度が高い。重複するが、言い換えれば、機器ありきではなく、コンテンツと体験を主眼においた、ライフスタイルに寄り添う意思を感じるものだ。
本機におけるHEOS対応は、多彩なソースを選択できるのが特長の1つといって良いだろう。例えば、アナログ入力している音声を、LAN上のHEOS対応スピーカー「HEOS1」「HEOS3」やプリアンプ「HEOS Link」(関連ニュース)に配信することもできる。家庭における真のミュージックサーバーとしての機能を獲得したといえそうだ。
今回は、AVR-X1400HとHEOS1を同一LAN上に接続し、使い勝手を検証した。
HEOSアプリでは、「ミュージック」画面で、「Spotify」「AWA」や「Tune in」といったストリーミングサービスおよび外部入力など、ソースの選択ができる。
具体的には、機器としてAVR-X1400Hを選択してから入力を選ぶのではなく、例えば、HEOSアプリで外部入力を選べば、AVR-X1400Hの外部入力や、HEOS1の外部入力が並んで見えるという具合。そう、機器ありきではなく、体験を優先したシステムであることが分かる。
機能面ではグループ化が面白い。音ズレの無い完全同期再生が可能で、家じゅうを同じ音楽で満たすこともできる。もちろんアプリ上で、AVR-X1400HとHEOS1の音量を簡単に個別調整することも可能だ。
今回のケースでは、AVR-X1400Hに接続したUSBメモリーの音楽や、アナログ外部入力もHEOS1に配信できた。AVR-X1400HにAirPlay経由で再生している音楽はHEOS1に配信できないなど、著作権に起因する制限も存在するが、アプリ画面上では再生できない旨を明確に示してくれるので、混乱することはなかった。
日本では狭小な住宅が多く、欧米ほどマルチルームを求める声はないと言われることもあるが、どの部屋も好きな音楽で満たす心地良さは、一度体験すると戻れなくなる。旧来の配線引き回しや操作が面倒なマルチルームに比べ、今やWiFiとスマホで障壁は解消された別物に進化している。気軽に試してみて欲しい新機能だ。
マルチルーム機能を利用しない場合も、人気のSpotifyやAWAといったストリーミングサービスの利用でHEOS機能が活きる。今回、実際にSpotifyやAWAを再生してみたが、HEOSアプリから各アプリに移行できるのは親切。本機はSpotify Connect(プレミアムプランで利用可能)に対応し、スマホを介さず、本機がインターネットからストリーミングデータを直接受信できる。
いわゆるキャストで、スマホは音声データを受信したり、トランスコーディングして送信という作業を行わないので、余計なバッテリーを消費せず、音質面でも有利だ。特にSpotifyのストリーミングデータはOgg Vorbisの320kbpsで、音質面でもCDに引けを取らない。音切れとは無縁で安定した再生も、一昔前とは異なる良さだ。
ハイレゾ時代に即した音作りの方向は的を射ており、それを実現するための実力アップも着実かつ効果的であることが確認できた。HEOS対応では、今後主流となるであろうストリーミング音楽への対応や、楽しみを広げるマルチルーム配信機能も先進的かつ強力。本機は最新スペツクを誇るAVアンプでありながら、家庭におけるコンテンツのゲートウェイとしての役割をこなす。それでいてリーズナブル価格はもう驚くばかり。
ホームシアターファンに限らず、ネットワークオーディオに興味があるなら、本機も候補に入れておいた方が良さそうだ。
(鴻池賢三)