デノン、11chアンプ搭載の準旗艦AVアンプ「AVR-X6300H」。28万円
本機は11.2chプロセッシングに対応し、11chアンプを搭載。追加パワーアンプなしで最大11.2chのサラウンド環境が構築できる。一方で、筐体は従来のミドルクラスAVアンプ「AVR-X4200W」と同じサイズにとどめた。定格出力(8Ω、2ch駆動)は140W+140W、実用最大出力(6Ω、1ch駆動)は250Wとなる。11.2chのプリアウトも搭載する。
音質面でも数多くの刷新が図られた。各chごとに基板を独立させた11chアンプ「11chモノリス・コンストラクション・パワーアンプ」を搭載。これまで1チップに集積されていたボリュームとセレクターは、各機能に特化した新開発チップをそれぞれ開発して独立化。クオリティを高めると共に最適な配置・回路構成を実現した。
オブジェクトオーディオは、ドルビーアトモスおよびDTS:Xに対応。「Neural:X」および「Dolby Surround」によるアップミックス再生も可能。11chアンプ内蔵により、パワーアンプを追加することなく最大で[7.2.4]システムが構築できる。また、DTS-HDマスターオーディオをDolby Surroundで、ドルビーTrueHDをNeural:Xでそれぞれアップミックスすることも可能だ。
HDMIは8入力/3出力を搭載し、全てのHDMI端子がHDCP2.2に対応。4K/60p、HDR、BT.2020などの入力に対応。Ultra HD Blu-rayの再生に対応する。ネットワーク/USBメモリーからの音楽ファイル再生は、新たに5.6MHz DSDに対応した。Bluetooth、Wi-Fiを内蔵している。
なお、型番末尾の「H」は、後述する同社マルチメディアスピーカー「HEOS」への対応を表している。
デノンは発表に先立って、プレス向けの発表会を開催。本機の詳細について、音質設計を担当した高橋佑規氏、マーケティング担当の宮原利温氏がプレゼンテーションを行った。以下に詳細を解説する。
■デノンが“6000番台”を日本初投入。中級機サイズで11chアンプ内蔵を実現
デノンはこれまで日本国内では、旗艦モデルとして“7000番台”、プレミアムモデルとして“4000番台”をラインナップ。海外では展開されていた“6000番台”は、国内未導入だった。しかし、今回AVR-X6000Hが11chアンプ搭載など大幅に仕様強化されたため、新たに日本でも展開されることになった。
AVR-X6300Hの開発においては、大きく3つのコンセプトが念頭に置かれたという。1つ目は、旗艦モデル「AVR-X7200WA」の設計手法やクオリティをAVR-X4200の筐体で、かつより価格を抑えて実現すること。コストパフォーマンスの高いハイエンドAVアンプを目指したという。
2つ目は、11chアンプの内蔵だ。これまでは旗艦機であるAVR-X7200Wでも9chアンプの搭載にとどまっていた。結果としてプロセッシングが対応する最大ch数である11.2ch(オブジェクトオーディオの[7.2.4]ch)を実現するためには、2chパワーアンプの追加が必要だった。単体で[7.2.4]chを実現できるAVアンプが欲しいという要望はユーザーからも多く寄せられたこともあり、本機では11chアンプ搭載でこれを実現させた。
次ページ11ch分の各アンプは独立基板で構成。電源供給も全ch分離で行う