HOME > レビュー > 着実な進化を遂げた中級AVアンプ 、デノン「AVR-X2400H」。弟機「X1400H」との違いを聴き比べ

「HEOSテクノロジー」も採用

着実な進化を遂げた中級AVアンプ 、デノン「AVR-X2400H」。弟機「X1400H」との違いを聴き比べ

公開日 2017/07/06 12:13 岩井 喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■全帯域にコントロールが行き渡った制動性の高いサウンド

続いてマルチチャンネル環境での確認は『スカイ・クロラ』のチャプター15・空戦シーン、そして『エクスペンダブルズ2』チャプター9・市街地での戦闘シーンにて確認を行った。

こちらもAVR-X1400Hをまず視聴してみたが、セパレーションの良いサウンドでありながらも、音像の厚みを感じさせる、解像度と質感のバランスが整った表現を見せてくれる。チャンネル間の音の移動もスムーズで、空間の広さを実感できた。全体として高域がややブライトで薄味なのに対し、低域は引き締めつつもふくよかさを出す傾向である。音量を出せない環境でのリスニングにおいて、耳馴染みの良い適度なバランスで楽しめるサウンドであるように感じた。

AVR-X2400Hは、マルチch再生においても全帯域に対してコントロールが行き渡った制動性の高いサウンドを聴かせてくれた(写真はデノン試聴室に設置されたAVR-X2400H)

これに対してAVR-X2400Hは、全帯域に対してコントロールが行き渡った制動性の高いサウンドで、どっしりと響く低域も尾を引かず、弾力良くまとめてくれる。高域も暴れなくスムーズで、定位感の優れた表現を持っているようだ。

AVR-X2400Hで再生する『スカイ・クロラ』では、戦闘機のエンジン音は太さだけでなく、吹き上がりの良い軽やかな回転域のサウンドも自然に表現。音の移動感は非常にスムーズかつリアルで、実体感を伴いつつ軽快に前後左右を通り過ぎてゆく。上方への音の抜け感、伸び方も自然である。BGMの爽やかなストリングスの浮き上がり方もAVR-X1400Hに優る。X1400Hの特徴的な低域の響き方に対して、X2400Hでは低域は引き締めが良い。セリフはキレ鮮やかでクールな輪郭感が際立つ。爆発音は引き締まった響きで、機銃の音色も粒が細かくシャープに感じられた。

『エクスペンダブルズ2』においてはセリフの切れ味や音像のタイトな密度感がX1400Hに対して向上して、ジュークBOXから流れるBGMの浮遊感もより高く感じられた。音離れ良く、余韻感も自然なため、音場の響き方の違いも素直に引き出す印象だ。銃声は粒立ち細かく、弾筋の明瞭さと上方向の情報量の多さによって、SEの種類を細やかに描き分けてくれる。



視聴を通しAVR-X2400Hは、完成度の高かった前モデルから、さらに数段クオリティが積み増しされたという感触を持った。よりハイレゾ時代にふさわしい解像度と余裕を持ったドライブ能力を軸に、音離れ良い抑揚豊かなサウンドを聴かせてくれる。

AVR-X1400Hとの比較においては、設置スペースに余裕があって音量を出せる環境であれば圧倒的にAVR-X2400Hの方が情報量が多く、音源の持つポテンシャルの高さに気づきやすいため、サウンドの満足度についても数段高くなることと思う。機能面ではあまり変わりがないAVR-X1400Hとの30,000円ほどの価格差を鑑みても、この音質変化であればむしろ安く感じるのではないか。

ミドルクラス機として考えた場合においても、AVR-X2400HのC/Pの高さは際立っており、4K・HDR時代に向け、感動創出の点においてもその音質の良さは大きな武器となるであろう。

(岩井 喬)

前へ 1 2 3 4

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: