【特別企画】重低音と鮮鋭なサウンドも両立
独自スリーブで極上フィット!完全ワイヤレスイヤホンの実力派、ERATO「MUSE5」レビュー
■完全ワイヤレスイヤホンの実力派、「MUSE5」のサウンド
それでは、MUSE5をiPhone 7とペアリングして、そのサウンドもじっくり聴き込んでみよう。
RADWIMPSの『前前前世(movie ver.)』を聴いてみると、完全ワイヤレスイヤホンとしては音の鮮鋭感とアタック感を引き出した、特にエレキギターのダイナミックなキレと共に、男性ボーカルもシャープに声の質感も伝える。ベースは“重低音タイプ”のイヤホンと比べられるほどボリューム感があるが、ボーカルのクリアネスには影響がないタイプだ。
「ラ・ラ・ランド」のオリジナル・サウンドトラックより『アナザー・デイ・オブ・ザ・サン』を聴くと、冒頭のピアノの音のクリアな響きと共に、楽器のスケール感も見通しよく再現し、楽器の音数も豊富に聞き分けられる。低音が強めの曲でも確かめようと三代目J Soul Brothersの『R.Y.U.S.E.I』を聴いてみると、グルーブ感やノリの良さはまさに最上級だ。完全ワイヤレスイヤホンとしてこのサウンドを聴けるなら、実力派モデルと呼びたい。
本機はaptXコーデック対応なので、再生するスマホをONKYOの「GRANBEAT」に変更して試聴。すると音のセパレーションとクリアさ、重低音の中での音の情報がより向上して聴こえる。
MUSE5には「ERATO SURROUND」というDSPによる3Dサラウンド機能も用意されているので、そちらも試してみた。まずこの機能は「3Dモード1」「3Dモード2(ワイド)」「通常」の3つから、左イヤホンのボタン4連続押すことで切り替えることができ、デフォルトは「3Dモード1」になっている。つまり、何も設定しなくても3Dサラウンドがかかった状態なのだ。
実際に「ERATO SURROUND」を切り替えた効果はというと、まず大前提として「ERATO SURROUND」の効果はかなり控えめで、モードを切り替えても劇的に3D的なサウンドに変化する事はない。デフォルトの状態で「3Dモード1」から「3Dモード2(ワイド)」に切り替えると、若干音のライブ感と空間の広がりが増し、「通常」は音のダイレクトさが現れる。ただ、実際に聴き比べた上でのベストセッティングは「3Dモード1」というのが筆者の結論だ。
さて、完全ワイヤレスのもう一つの“心配事”というと、屋外を出歩いた際、通信が切れることがないか?という点だろう。今回のレビューにあたって、外出のお供にMUSE5を一日中装着して出かけた。地下鉄の電波が飛び交う改札をスマホをタッチして通り抜け、周りのほとんどの人がスマホを使っている電車に乗り、表参道や渋谷、大手町といったターミナル駅で乗り換え、渋谷の繁華街も歩いてみた。
結果はというと、合計2時間ほど使ってみたが、左右の通信が切れることはほぼなかった。“ほとんど”というのは、電車内で1回、また渋谷の路上で1回、2回ほど瞬間的に片方の音が途切れた。だがすぐに復帰したので、問題なく使えるレベルと呼べるだろう。
また耳へのフィット感が高いので、首を振っても落下の心配は全くナシ。ポケットに充電ケースを入れておき、さっとMUSE5を取り出して音楽を聴くスタイルもとても気に入った。
MUSE5をじっくり使い込んでみると、業界屈指のフィット感に、予想外の実力派サウンドというのが筆者の感想である。“完全ワイヤレス”ジャンルも選択肢が増えた今、「わかっている人が選ぶ完全ワイヤレスイヤホン」としてMUSE5は要注目だ。