本日発売! 世界最小DSD対応DAPの実力とは
Lotoo「PAW Pico」最速レビュー。マニアも唸るサウンドと手軽さを見事に両立
■「ただ聴くだけ」にとどまらないPAW Picoの機能性
PAW Picoは、2つの再生モードを持つことも大きな特徴だ。通常のDAPとしての利用が可能な「Hi-Fiモード」、各種センサーを利用した「スポーツモード」である。
とくに後者のスポーツモードはPAW Picoの大きな特徴になる。実はPAW Picoには、本体にGPSモジュールや加速度・方向・傾きなどを検出するモーションセンサーが内蔵されている。本体のファンクションボタン、もしくは専用アプリからでスポーツモードを選択すると、距離や平均速度、歩数、カロリーなどのライフログを記録して音声で確認できるのだ。このアプリだけではなく、音声まできちんと日本語対応となっていることも非常に魅力的だ。
今回はこの2つの再生モードを試してみた。
■楽曲の個性をそのまま再現する本格的な音作り
まずは一般的なオーディオプレーヤーとして使用する。試聴した音源はJ-Pop、Jazz、クラシックと幅広く用意した。
ファイルコピーは一般的なDAPと同じように、パソコンとUSBケーブルで接続して行う。本機は記憶領域の最上位階層(いわゆるルート)に作られたフォルダを1つのプレイリストとして認識する。フォルダを複数作って、アルバム単位や好きな楽曲入れると使いやすい。違うプレイリスト(フォルダ)に移動する時は、曲送りボタンを長押しするだけなので、本体ボタンだけスムーズに操作ができた。イヤホンは、Lotoo × ENIGMA ACOUSTICS の「Dharma D200」を使用する。
まず感じたのは、音を無理やり作ったような不自然さがなく、小型なボディからは想像できないキレと量感を両立していることだ。『jazzとHepburnと君と/福山雅治』(96kHz/24bit FLAC)では、リアルかつ自然なヴォーカル表現で、上下のfレンジも広い。ハイスピードな表現が求められるピアノとドラムのトリオ作品『kaleidoscope/天平&真央樹』(96kHz/24bit FLAC)では、ピアノタッチの表現やドラムの重量感もしっかり聴かせてくれた。またトーンバランスが自然で、DSD 5.6MHz音源の、クラシックのピアノソロ『Piano Improvisations/オラ・イェイロ』では、楽曲そのもののの表現が自然で、空間に広がる余韻の広がり方などもしっかりと聴かせてくれる。楽曲の持つ個性をスポイルせず、そのまま忠実に表現する本格的な音作り。このサイズからは考えられない、かなり良好な再生音だ。
実際に使ってみると、アルミ製ボリュームノブはスムーズなフィーリングで高級感があるし、三段階にスライドする電源ボタンにより、トラック順の再生とランダム再生の切り換えも実現している。アプリを使用すれば一覧表示された曲から一発で選曲も行えるのも良いところだ。表示部のない弱点を操作アプリで見事に解消しているのである。