本日発売! 世界最小DSD対応DAPの実力とは
Lotoo「PAW Pico」最速レビュー。マニアも唸るサウンドと手軽さを見事に両立
■一般的なウェアラブルデバイスでは不可能なDSDを聴きながらランニング
続いて、スポーツモードを実際にランニングしながら試してみた。まずは、付属のバッククリップとアームベルトを用いてPAW Picoを腕に装着する。ファンクションボタンを押してスポーツモードにすると、スタートまでのカウントダウンが始まった。デフォルトの状態で本体の記憶領域に「sport」フォルダがあり、その中に入れた楽曲ファイルが再生される。これによりランニング用と通常の楽曲ファイルを使い分けることができるのだ。
スポーツモード時は、音楽を聴きながら距離や歩数、平均速度など主要な履歴を、PAW Pico本体から音声案内で確認できる。さらにアプリをBluetooth経由で同期させると、実際に走ったり歩いたりしたルートがマップに表示されたりするなど、詳細なスポーツ履歴が表示される。これらの完成度がかなり高く驚いた。聞くところによるとLotooを牽引するチー・シャオ氏は大のランニング好きということで、だからこそ、ここまでの完成度になったとみていいだろう。
さらに他にはない、PAW Picoならではの魅力を挙げるなら、ランニングしながらでも、DSD 5.6MHzの音楽ファイルを再生できることだ。これは、Apple Watchなどのウェアラブルデバイスでは絶対できないことで、PAW Picoに注目すべき大きな理由にもなっている。
■マニアも唸る再生品質と手軽なエントリー的要素が見事に両立
いかがだろうか? ヘッドホン祭で実物を見た方も感じたと思うが、PAW Picoは画像で見るよりも小さく、そして軽い。300mAhのバッテリーを搭載し、駆動時間も約10時間と長いので、オーディオファンが満足できる音質の手軽に持ち歩けるDAPとして、通勤や通学などでも良い相棒となってくれるだろう。
また、最近のDAPは高機能/高性能化が進み、特に物量を投入した大型のモデルがコアなオーディオファンから注目を集めているが、筆者としては、このような方には本機を“普段使いのサブ機”として薦めたい。巷ではワイヤレスイヤホンに注目が集まっているが、PAW Picoはマニアから支持を集めるカスタムイヤホンなどの有線イヤホンを使って、極めてワイヤレスに近い使い勝手を実現できることも注目すべきだ。
アプリの仕上がりも本当に良い。「日中双方のスタッフが多大な時間をかけて検証を行った」とアナウンスされているだけあり、音楽再生も含め日本語の表記やレスポンスも優秀。スポーツモードはオマケ的ではなく本格的な内容だ。また日本語での音声案内や、総務省の技術適合証明(いわゆる技適)を取得したBluetoothなど、日本導入に向けて万全の準備がされていることも評価するべきだろう。
PAW PicoはLotooらしさ溢れるマニアも唸る再生品質の高さと、価格面でも手に届きやすいエントリーモデル的な側面の両方を兼ね備えたDAPである。わずか26gのPAW Picoには、Lotooの技術力が存分に詰まっているのだ。