HOME > レビュー > デノン「PMA-30」レビュー。BTL構成クラスDアンプで高い駆動力を誇る小型プリメイン

デザインシリーズの最新モデル

デノン「PMA-30」レビュー。BTL構成クラスDアンプで高い駆動力を誇る小型プリメイン

公開日 2017/10/03 11:19 鴻池賢三
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
PMA-50が採用するクアルコム社のDDFAとは異なるが、デノンが他モデルで採用実績のあるTI社のデバイスを用いている。これにより、デジタル入力した信号はアナログ変換されることなく、デジタルドメインで処理されるので、ピュアな再現力が期待できる。

ちなみにBTL構成とは、1chを2つのアンプで駆動するという意味。イメージとしては、荷物を載せた台車を動かすシーンを想像すると良いだろう。台車を1人で押したり引いたりするよりも、2人で前後から力を加えた方がよりスムーズに動かせるのはもちろん、動き出しも俊敏で制動時も素早く収束するのはご想像いただけるだろう。2人の息を合わせるのは簡単ではないが、上手く行けば音質面で有利な手法だ。

機能面では、192kHz/24bitに対応した光デジタル入力2系統とデジタル入力を備え、同シリーズで筐体サイズも一致するCDプレーヤー「DCD-50」と組み合わせれば、統一感を持ったシステムアップが可能だ。ほか、光デジタル接続を利用して、テレビの音声を本機を通じて再生することもできる。

「PMA-30」の背面部。デジタル入力は、192kHz/24bitまでの入力に対応した同軸デジタルを1系統、光デジタルを2系統搭載。また、アナログ入力も備えている

BluetoothはNFC対応で、コーデックはSBCに加え、iOSデバイスと相性の良いAACおよび、Android端末で高音質コーデックとして採用が進むクアルコム社のaptXにも対応。ちなみにaptXは低遅延のコーデックとして知られているが、本機ではさらに低遅延を実現したaptX Low Latencyもサポートしているので、対応端末と組み合わせれば、動画視聴やゲームの音声もBluetoothワイヤレス接続でありながら、違和感なく楽しむことができる。

天板は、質感が高く、3mmと肉厚のアルミニウムパネルを採用。通気孔もなくフラットで美しい外観を実現し、さらに前述の通り縦置き設置も可能だ。機能性とデザインの両面で、最新リビングを見据えつつも無駄の無い仕様は実にスマートに感じる。

写真左が縦置きした「PMA-30」

■エントリーモデルとは思えないS/Nの高さ

今回は、同シリーズのCDプレーヤー「DCD-50」を組み合わせ、CDの音質をアナログ接続と同軸デジタルの2パターンで切り替えながら比較試聴した。スピーカーは、参考としてリファレンスに利用しているMonitor Audioのトールボーイ「PL200」(Platinumシリーズ)で本機の限界を確かめつつ、DALIの最新コンパクトブックシェルフ「SPEKTOR1」(関連ニュース)を現実的な組み合わせ例として聴き込んだ。

「DCD-50」

まずは「PL200」を組み合わせ、小手調べにアナログ接続で試聴。Kenny BarronとTommy Flanaganのジャズピアノ競演がスリリングなアルバム「Together」。流石にエントリーモデルにはスピーカーの負荷が大き過ぎるようで、低域側のアタックが弱めに出る感は否めないが、量感はまずまず。緩みは感じるものの、このクラスのアンプとしては健闘してくれた。リラックスして楽しめる範疇だ。

次ページ傑出したデジタル接続の音質

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE