[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第197回】懐かしの“学校机”「コクヨ 教育施設用生徒用デスク」で構築! 「最小限」デスクトップオーディオ
この角付近で壁に並行に正対する設置だと、左右スピーカーのどちらかだけの近くの側面が壁になり、対して逆側は広々と開けることになる。音響的には、といっても実際に正しいかはわからないが僕の考えとしては、これでは左右のアコースティックな条件があまりにも不揃いになりすぎてしまう。
対してド角向きの設置であれば左右の条件は揃う。ただどう考えても、スピーカー背面の空間が△型というのも音響的にはよろしくないだろう。そこについては後ほど実際に確認し、対策を考えていく。
もうひとつ、こちらは純粋に音響の要因だけではなく心理的な要素もあるのでは?と思うのだが、奥行き表現においてもこのふたつの設置パターンには無視できない違いが生まれると予想した。
壁に並行に向く設置だとリスナーの視界において、スピーカーのすぐ後ろが壁。前の部屋では僕もこの設置だったのだが、この設置だと、例えばドラムスはスピーカーの後方に下がり、ボーカルはその手前にといったような、音場の奥行きの表現が浅くなりがちに思えていた。
すぐ近くからの壁面反射という音響的な要因もあるだろうがそれ以上に、「目の前が壁なのにそれを無視してその向こうにまで音像を浮かび上がらせる」というのが、音の受け取り側の人間、僕にとって難しかったのではないだろうか。試しに目をつむってみたりもしたが「目の前は壁」という現実が意識に刻み込まれてしまっているからか、効果は薄かった。
ということで今回は角向きの設置を試みてみることにしたわけだ。詳しくは後に回すが、この試みは成功したと考えている。
■学校机のデスクトップにアイテムを配置
机の配置を決めたら次は机の上の配置だ。物理的な大物としては、
・ノートPC(MacBook 12")
・スピーカー(Genelec 6010B)
・ヘッドホンアンプ(Burson Audio Soloist SL)
があり、その他にDACやパソコン周辺機器などもある。それらをこの狭い学校机にうまく配置しなくてはならない。
まずは配置し終えた状態を見ていただき、その後に各部のポイントを見ていただこう。
全体としてのポイントは、
・機器はインシュレーター等で机の天板から浮かせて振動対策
・ノートPCは作業姿勢改善のために高さを稼ぐ
・スピーカーは耳に向けての角度と高さを確保
・PC周辺機器はPC背面に隠す
といったところ。そこも含めて、以下、組み上げ中の写真で各部のポイントを説明していく。
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