【特別企画】評論家・高橋敦が音質に迫る
幾何学の応用でイヤホンの音質はどう変わる? HIFIMANの注目機「RE2000」実力チェック!
やっていることは形状の最適化でありコーティングなのだが、振動板本体の形状を変えるのではなく、特殊メッキによるコーティング層を幾何学模様に形成。その形状、厚み、配合成分によって周波数応答特性をコントロールしているというのだ。
いわゆる「ナノテクノロジー」領域で分割振動抑制を実現した。そのように理解してよいだろう。そういうことも可能なのかと驚かされた。
もうひとつ両モデルに共通するのは、ハウジングの主部材として真鍮を採用し、それに24Kメッキを施していること。
真鍮、ブラスの音響特性の美しさは広く知られており、ハウジングの影響も少なからず受けるダイナミック型イヤホンのハイエンドモデルでの採用は納得だ。
24Kメッキについてはおそらくはまず外観の美しさ、そして金属アレルギーへの対応といった理由もあるかもしれない。中国で人気のブランドなのでそちらに向けてのアピールもあるだろう。ピカピカの金メッキではなく落ち着きのあるゴールドに仕上げられている。
■HIFIMAN初のリケーブル対応モデル「RE2000」
194,400円(税込)の「RE2000」はイヤーモニタースタイルを採用したモデル。そして同社初のリケーブル対応モデルだ。
そのリケーブルは汎用性があるカスタム2ピン。他に特徴的なのは付属するイヤーピース。小さめサイズはダブルフランジ、大きめサイズはトリプルフランジ。二重傘あるいは三重傘がセレクトされており、しかもサイズを使い分けている。特に説明はされていないが、何かしらの意図があってのことだろう。ただ筆者にはフィットするサイズがなかったため、今回は他社イヤーピースを流用して試聴した。
■「RE2000」の音質傾向をチェック
その音の印象としては、実に現代的ですっきりとしている。シャープネスやクリアネスが際立つサウンドだ。それでいて冷たい印象にはなっていないのは真鍮筐体のおかげもあるのだろうか。何にせよその現代性と音楽性のバランスがポイント。
豊崎愛生さん「ハニーアンドループス」は往年のディスコサウンドを基本に、アレンジとサウンドをまさに現代的にブラッシュアップしたポップス。当然、このイヤホンとの相性は特に良かった。
主張しすぎない音色で演奏され、主張しすぎないようにミックスされているベースは、しかしディスコソングであるこの曲の要。下手に目立たせずに役割は果たすようにという細心の注意が払われたであろう演奏とミックスだ。
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