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平面型ならではの独自技術を搭載

次に“来る”のは平面型イヤホン! AUDEZE「LCDi4」「iSINE10/20」一斉レビュー

公開日 2017/11/23 08:00 山本 敦
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「ソースに忠実でニュートラルなサウンド」を体験

「LCDi4」は、音の傾向も本格的なハイファイ志向だ。カラヤンの指揮によるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団『ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」』から、「第4楽章:フィナーレ(アレグロ・コン・フォーコ)」では、弦楽器や金管楽器の高域が伸びやかに広がる。微小な音の粒立ちもくっきりと鮮明に映える。低音は骨格が明瞭で、柔らかな余韻の広がり方が心地よい。打楽器のリズムは弾力感にあふれる。全体にフラットでスムーズにつながる音のきめ細かさが平面型ならではの魅力だ。

渡辺美里の『Lovin' You〜30th Annversary Edition〜』からミディアムテンポのバラード曲「いいだせないまま」では、シンセサイザーのとろけるようなハーモニーが色濃く再現された。ボーカルは声のディティールにも富んでいて活き活きとしている。奥行きが深く見通せる音場感も秀逸だ。エレキベースのリズムは堅さ感じさせないしなやかさと高い鮮度がある。濃厚なロックやポップスのサウンドにも相性がよかった。

なお、実はLCDi4にも専用のLightningケーブル「CIPHER」がある。今後国内ではどういう形で提供されるのか正式なアナウンスが待たれるところだが、今回特別に借りてiPhone 8につないで試聴することができた。内蔵するDACの対応スペックは48kHz/24bitまでだが、アンプ回路はバランス仕様というこだわりようだ。

LCDi4にもLightningケーブル「CIPHER」を用意

デジタル接続であることとバランス接続のメリットがどちらも活かされるため、クロストークノイズが一段と下がり、チャンネルセパレーションやステレオイメージの向上感が同時に得られる。ジャズの静かなバラード曲を聴いてみると、ボーカルや伴奏のピアノが奏でるメロディにざわつきがなく、クリアで立体的な演奏が楽しめる。iPhoneと大柄なポタアンを組み合わせなくても、外出先に持ち出した時などにLCDi4の魅力をいちばんシンプルに引き出せるよきパートナーだ。

続いて「iSINE 10」「iSINE 20」を聴く。ゆったりと響く温かみのある中低域を特徴とするiSINE 10に対して、iSINE 20はより艶っぽい高域が華やぐ。低音も輪郭がシャープで鋭い打ち込みが再現できる。iSINE 10でクラシックのオーケストラを聴くと、弦楽器のやわらかく充実した厚みが感じられた。中高域の音の線も太く、重厚感が前に出てくる。J-POPを聴くと密閉型のヘッドホンで聴いているようなタイトで量感のある熱いベースがうなりを上げた。

iSINE 20でボーカル系の楽曲を聴いてみると、さわやかな声の抜け味が印象に残った。ボーカルとシンセサイザーのハーモニーがゆったりと響きながら交わって滑らかな余韻を残す。ベースやドラムスの低域はスピード感に富んでいて、演奏の緊張感が伝わってくる。LCDi4に比べてしまうと少し音の線が細く感じるところもあるが、iSINE 20の軽やかさとスピード感の方が好みという向きもあっておかしくない。独特の明るくきらびやかなサウンドは、iSINE 20にしかない魅力だからだ。

すべての平面型イヤホンに同梱される専用のイヤーハンガーを装着すると、耳元の装着感が安定する。EL-8やSINEと同じく、BMW Designworksが手がけたデザインは「音を楽しむこと」にフォーカスした機能美を随所に感じさてくれる。

イヤホンにはイヤーハンガーが同梱。装備することで装着時の安定性を高めることができる

平面型イヤホンの珍しさゆえに、音の傾向や使い勝手の面でもやや特殊で扱いにくい製品なのではと思い込んでしまうかもしれないが、LCDi4、iSINEシリーズともに、普段着の感覚で色んなリスニングシーンに活躍してくれるイヤホンになるだろう。オーデジーが理想とする「ソースに忠実でニュートラルなサウンド」を心ゆくまで楽しみたい。

(協力:アスク)

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