ハイレゾ再生から人気スピーカーとの相性までチェック
デノンの小型アンプ「PMA-60」を全方位レビュー。従来機PMA-50から進化した音質を検証
■ヘッドホン出力の音質をチェック。筐体の仕上げにも注目したい
最後は、手持ちのスマホとPMA-60をBluetooth接続して、SHUREのヘッドホン「SRH1840」で、デヴィッド・ゲッタとジャスティン・ビーバーのコラボレーションによるEDM楽曲「2U」を聴いた。本機はaptX Low LatenctyとAACに対応し、対応機器をタッチするだけでペアリングが行える「NFC」機能も備わるなどBluetooth周りの設計も強力だ。
気になるヘッドホンの駆動力だが、こちらも予想以上に良好だったと報告したい。通常のリスニングレベルであれば、ボリュームの値は-25dB/-15dBくらいでヘッドホンアンプのドライブ力もありそうだ。音質的には上下のfレンジが広く、低域の制動力も十分に持っている。また、シャープな表現と情報量の高さなどはスピーカー再生で感じた印象と同じだった。3段階のゲイン切り替えも備えており、鳴らしにくいヘッドホンにも対応できる。
また、一通り使っていて気がついたのだが、リモコンも本体と同じようにアルミが使われた手抜きのないものが付属されていたり、ボリュームのステップが細かいこと、また、ボタン操作に対する本体のレスポンスも良好だったりと、細かいところにまで気が配られている。実際に購入して使うと、こういった細部こそ気になってしまうものなので、こうした配慮もライフスタイルに寄り添ったデザインシリーズならではなのだろう。
■価格帯からは想像できない高い駆動力と正確な表現力
この価格帯のプリメインアンプは、アンプの持つ個性が支配的になり、音がよかったとしても原音に対する忠実度が一歩後退することが多いと感じる。それはすなわち、コストのかかったアンプはまさにこの部分が優れているということだ。
PMA-60が優れているのは、高いスピーカー駆動力と同時に、この価格帯のモデルでは飛び抜けて音源に対する忠実性が高いことだ。本来の音色や演奏のニュアンスを忠実に再現でき、リファレンス(基準)としても使える高い性能を備えている。
デノン技術陣が、PMA-50からのモデルチェンジというプレッシャーもありつつ、高いモチベーションでPMA-60の開発を行ったであろうことはこの音に何よりも現れている。DDFAというデバイスの良さももちろんあるのだが、PMA-60の音質を決定づけているのはこのDDFAを使いこなしたデノンの技術や音づくりのセンスと言える。音質に加え、デザイン、操作性なども含め、誤解を恐れずに言えば、部品を寄せ集めたようなD級アンプとは別の世界にある製品だ。
今までオーディオシステムを構築する場合、スピーカーとアンプにかけるコストの比率は対等、もしくは6対4くらいがよいと言われることが多かった。しかし、PMA-60ならば、その比率を崩してスピーカーにコストをかけることも可能になると感じた。ヘッドホンファンからスピーカー再生にチャレンジする最初の1台にもうってつけだろう。
今回の試聴のあと、筆者は主に入門クラスのスピーカーの試聴リファレンスアンプとして用いるためにPMA-60を購入した。ただ、“入門スピーカー向け”とあえて強調しつつ、もっと上のクラスのスピーカーをいろいろドライブしてみようと企んでいるところだ。
(土方久明)
最後は、手持ちのスマホとPMA-60をBluetooth接続して、SHUREのヘッドホン「SRH1840」で、デヴィッド・ゲッタとジャスティン・ビーバーのコラボレーションによるEDM楽曲「2U」を聴いた。本機はaptX Low LatenctyとAACに対応し、対応機器をタッチするだけでペアリングが行える「NFC」機能も備わるなどBluetooth周りの設計も強力だ。
気になるヘッドホンの駆動力だが、こちらも予想以上に良好だったと報告したい。通常のリスニングレベルであれば、ボリュームの値は-25dB/-15dBくらいでヘッドホンアンプのドライブ力もありそうだ。音質的には上下のfレンジが広く、低域の制動力も十分に持っている。また、シャープな表現と情報量の高さなどはスピーカー再生で感じた印象と同じだった。3段階のゲイン切り替えも備えており、鳴らしにくいヘッドホンにも対応できる。
また、一通り使っていて気がついたのだが、リモコンも本体と同じようにアルミが使われた手抜きのないものが付属されていたり、ボリュームのステップが細かいこと、また、ボタン操作に対する本体のレスポンスも良好だったりと、細かいところにまで気が配られている。実際に購入して使うと、こういった細部こそ気になってしまうものなので、こうした配慮もライフスタイルに寄り添ったデザインシリーズならではなのだろう。
■価格帯からは想像できない高い駆動力と正確な表現力
この価格帯のプリメインアンプは、アンプの持つ個性が支配的になり、音がよかったとしても原音に対する忠実度が一歩後退することが多いと感じる。それはすなわち、コストのかかったアンプはまさにこの部分が優れているということだ。
PMA-60が優れているのは、高いスピーカー駆動力と同時に、この価格帯のモデルでは飛び抜けて音源に対する忠実性が高いことだ。本来の音色や演奏のニュアンスを忠実に再現でき、リファレンス(基準)としても使える高い性能を備えている。
デノン技術陣が、PMA-50からのモデルチェンジというプレッシャーもありつつ、高いモチベーションでPMA-60の開発を行ったであろうことはこの音に何よりも現れている。DDFAというデバイスの良さももちろんあるのだが、PMA-60の音質を決定づけているのはこのDDFAを使いこなしたデノンの技術や音づくりのセンスと言える。音質に加え、デザイン、操作性なども含め、誤解を恐れずに言えば、部品を寄せ集めたようなD級アンプとは別の世界にある製品だ。
今までオーディオシステムを構築する場合、スピーカーとアンプにかけるコストの比率は対等、もしくは6対4くらいがよいと言われることが多かった。しかし、PMA-60ならば、その比率を崩してスピーカーにコストをかけることも可能になると感じた。ヘッドホンファンからスピーカー再生にチャレンジする最初の1台にもうってつけだろう。
今回の試聴のあと、筆者は主に入門クラスのスピーカーの試聴リファレンスアンプとして用いるためにPMA-60を購入した。ただ、“入門スピーカー向け”とあえて強調しつつ、もっと上のクラスのスピーカーをいろいろドライブしてみようと企んでいるところだ。
(土方久明)