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ハイレゾ再生から人気スピーカーとの相性までチェック

デノンの小型アンプ「PMA-60」を全方位レビュー。従来機PMA-50から進化した音質を検証

公開日 2017/12/05 10:54 土方久明
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まずはPMA-60の基本性能を確認すべく、DALIのエントリークラスの2ウェイ・ブックシェルフ型スピーカー「ZENSOR 1」(43,800円・(税抜)/ペア)を組み合わせて、アナログ・ライン入力の音を確認した。プレーヤーには、PMA-60と同じ“デザインシリーズ”に属するCDプレーヤー「DCD-50」(関連ニュース)を組み合わせた。

スピーカーは、デノンの販売元であるディーアンドエムホールディングスが取り扱うDALI「ZENSOR 1」を使用

ちなみにZENSOR 1はサイズや意匠がPMA-60と近いので、PMA-60と見た目にも合いそうだ。まずは井筒香奈江のCD『時のまにまにII 春夏秋冬』からtrack1「友達の詩」を再生する。

まずは前モデルPMA-50とZENSOR1の組みあわせ。リアルなボーカルがスピーカー中央に出現し、スピーカーの外側までわずかなエコー成分が美しく広がる。ドライブ力も申し分なく、改めてPMA-50の高評価の理由を実感する。

CDプレーヤー「DCD-50」(左)と組み合わせて、「PMA-60」(右)と「PMA-50」のアナログ入力の音質を比較試聴した

それだけに「PMA-60があまり変わらなかったらどうしようかな」と少々心配だったのだが、アンプをPMA-60につなぎ替えてイントロが流れた瞬間、その不安は吹き飛んだ。歌い手の口元が見えるような生々しいボーカルと明瞭な空間表現に思わず息を飲む。このPMA-60の音を聴いた後では、PMA-50の音色が少々ブライトに、なおかつボーカルにもベールが1枚被さったように聴こえるから困ったものだ。

PMA-60の音はボーカルや生楽器の質感表現がリアルで、間違いなくこちらがアーティストの意図した音だ。この価格帯のアンプから、このような表現力が出せるのかと驚いた。つまりは、原音に対する忠実度が圧倒的に高いのである。

USB入力でハイレゾを再生。立ち上がりの速さやS/Nの高さが際立つ

続いて、PCオーディオ環境でのテストを行う。トランスポートとなるパソコンはMacBook Pro。再生ソフトウェアに「Audirvana Plus 3」を用いた。スピーカーは、ここでは2回りほど大きいKEF「Q350」(68,000円・ペア/税抜)を組み合わせてみた。

PCとUSBケーブルで繋ぎ、ハイレゾを試聴。「PMA-60」は縦置きにも対応している

ドイツ・ソニークラシカルからリリースされたクラシック、ハンス・ジマー『ザ・クラシックス』(96kHz/24bit FLAC)を再生。まずはPMA-50を聴いた後、PMA-60に切り替えたのだが、音楽の情報量や抑揚表現に対する追従力においてPMA-60がワンランク優れている。さらにいえば、PMA-60は全帯域でスピードがあるので、フォルテシモの時の盛り上がりの印象が違う。聴感上における弱音部のSN比にも優れているが、この点はUSB経由のノイズ混入をシャットアウトするデジタルアイソレーターや44.1kHz系と48kHz系の2種類のクロックの搭載が効いているからだと推測できる。

KEF「Q350」での試聴風景

続いて、B&Wの人気ブックシェルフスピーカー「707 S2」(157,000円・ペア/税抜)との組み合わせ。人気J-Rockバンド、ONE OK ROCKのアルバム『Ambitions』(48kHz/24bit FLAC)を聴いた。ロックらしいビートをしっかりと聴かせながら、ギターやベースなどの描写はリアリティが高い。707 S2のウーファーをほぼ完璧に支配する駆動力の高さもある。この出音はコストパフォーマンスが高い。

B&W「707 S2」との組み合わせ

PMA-60を使ってTADのハイエンドスピーカーを鳴らす

ここまで3機種のスピーカーを鳴らし切ったが、PMA-60の駆動力ならどの程度のスピーカーまで鳴らせるのか? そのドライブ力を検証するため、TADの小型ハイエンドスピーカー“Micro Evolution One”「TAD-ME1」(1,000,000円・ペア/税抜)も駆動してみた。

「PMA-60」は、“コンパクトなHi-Fiコンポーネント”というコンセプト通り、TAD「TAD-ME1」も駆動してみせた

試聴した音源はダイアナ・クラール『ターン・アップ・ザ・クワイエット』(192kHz/24bit FLAC)のtrack3「LOVE」だ。イントロのピアノに透明感がある。続いて始まるベースは完全に支配下におけているとは言えないものの、低域の量感が不足するようなことはなく、逆に中高域のスピード感は印象が良かった。

ここまでPMA-60とPMA-50を聴き比べて、その差は予想以上だと感じた。このあたりについてはデノンに詳しく話を聞いたのだが、PMA-60ではDDFAが更新されただけではなく、アナログ回路、パーツ、電源周りなども大幅に刷新されているとのこと。さらには、PMA-50発売以後に登場したデノンの高級ライン「SX11シリーズ」や「2500シリーズ」などで採用したオーディオパーツが、PMA-60にも多数投入されたのだという。その成果は、まさに音にも現れている。

次ページ価格帯からは想像できない高い駆動力と正確な表現力

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