【特別企画】英国ブランドならではの音作り
19,800円でこの音質 ー Cambridge AudioのCD&プリメイン「CD5/AM5」を聴く
■人気の3スピーカーと組み合わせてCD5/AM5の音を探る
今回はCD5/AM5に組み合わせるスピーカー選びの指標を検証するべく、音元出版の試聴室で、編集部と意見交換して選定した3組のブックシェルフ型スピーカーとの組み合わせテストも行うことにした。選んだのが下記の3組だ。
<組み合わせたスピーカーシステム>
・KEF「Q350」¥OPEN(予想実売価格68,000円前後/ペア)
・JBL「STUDIO 230 BRN」¥OPEN(予想実売価格52,000円前後/ペア)
・FOSTEX「GX100BJ」¥OPEN(予想実売価格138,000円前後)
組み合わせ1:KEF「Q350」
■価格を超えた重厚な音圧感を味わえる
まずはKEFのエントリーライン“Qシリーズ”の「Q350」と組み合わせて聴く。高橋アキのピアノ(シューベルト)で一貫しているのは、クラシック専用ホールで聴くようなマッシブな音質だ。帯域を欲張らず、量感主体でまとめる印象。価格帯の近いクラスDアンプでしばしば聴かれるようなパサついた感じや歪みっぽさ、浮ついたところがないこのがいい。密度というか重量感がある。
Q350がそもそも備える音調もあり、これが各2万円のアンプとプレーヤーなのかと疑うほど重厚な音圧感がある。低音域が分厚く、量感豊かな音が面で押してくる。一方で、シューベルトの音楽の深く沈潜していく響きと表現も巧くつかまえている。「対話するピアノ」と呼ばれるベーゼンドルファーらしい感情の起伏を豊かに伝えてくれる。
高音域の共鳴弦が放射する倍音は、やや暗色系の鈍色(にびいろ)で輝き、シューベルトらしいメランコリーを醸し出す。約20畳の広さ試聴室でも、ボリュームは11時あたりで音圧は十分過ぎるほど得られる。
アンナ・ネトレプコのオペラアリア(『ヴェルディ:マクベス』)は、ボリューム11時の音量でも冒頭の絶叫で破綻がなく、ソプラノのリリコスピントの力強い押し出しとダイナミクス豊かな歌唱に仕事を忘れて聴き惚れる。ソットヴォーチェ(声量を抑えての歌唱)では、声の地肌やカンタービレのテクニックが伝わりる。微妙な声の音色の変化や音場感もしっかり描く情報量があると言える。
組み合わせ2:JBL「STUDIO 230 BRN」
■JBLらしさが存分に味わえる組み合わせ。明快で切れのよいサウンド
これからオーディオ機器を揃えようというユーザーにとって、JBLのスピーカーに憧れている方は多いはず。JBL STUDIO 230 BRNはスタンダードシリーズで2番目に小型のブックシェルフだが、こちらも破格の求めやすさに注目。高橋アキのシューベルトは明瞭度が高く、低音の厚みも十分。金属系トゥイーター採用で高域再生限界が高く、共鳴弦の倍音もよく捉えている。低音トリルは量感も厚みもあるが、決してどろどろしない。KEF Q350のマッシブな表現と対照的な、明快で切れのいい解れた音場。音離れがよいことも聴きやすさに繋がっている。
アンナ・ネトレプコのオペラアリアは、明るく広がり豊かな音場に歌声がくっきり浮かび上がる。順光のライトで照らし出したような明色系のたたずまい。肉声の仄暗いニュアンスが隠れてしまいややニュアンスが平板に感じられる刹那もあるが、小型とはいえJBLらしさが開花している。
キップ・ハンラハンのニューヨークラテンはQ350に比べて好相性で、音場が開放的に広がる。ボーカルが明るい表情に変わり、発声にもキレがある。ベースは量感豊かで、金属的な引き締まった響きが快感だ。アルトサックスの音色がからりと明るいのは、小なりともJBLだということ。パーカッションの打撃も輪郭表現が甘くならず、鋭いアタックでクリップしない。ここでもJBLらしさを引き出しており、バランスのいい組み合わせと言えるだろう。
今回はCD5/AM5に組み合わせるスピーカー選びの指標を検証するべく、音元出版の試聴室で、編集部と意見交換して選定した3組のブックシェルフ型スピーカーとの組み合わせテストも行うことにした。選んだのが下記の3組だ。
<組み合わせたスピーカーシステム>
・KEF「Q350」¥OPEN(予想実売価格68,000円前後/ペア)
・JBL「STUDIO 230 BRN」¥OPEN(予想実売価格52,000円前後/ペア)
・FOSTEX「GX100BJ」¥OPEN(予想実売価格138,000円前後)
組み合わせ1:KEF「Q350」
■価格を超えた重厚な音圧感を味わえる
まずはKEFのエントリーライン“Qシリーズ”の「Q350」と組み合わせて聴く。高橋アキのピアノ(シューベルト)で一貫しているのは、クラシック専用ホールで聴くようなマッシブな音質だ。帯域を欲張らず、量感主体でまとめる印象。価格帯の近いクラスDアンプでしばしば聴かれるようなパサついた感じや歪みっぽさ、浮ついたところがないこのがいい。密度というか重量感がある。
Q350がそもそも備える音調もあり、これが各2万円のアンプとプレーヤーなのかと疑うほど重厚な音圧感がある。低音域が分厚く、量感豊かな音が面で押してくる。一方で、シューベルトの音楽の深く沈潜していく響きと表現も巧くつかまえている。「対話するピアノ」と呼ばれるベーゼンドルファーらしい感情の起伏を豊かに伝えてくれる。
高音域の共鳴弦が放射する倍音は、やや暗色系の鈍色(にびいろ)で輝き、シューベルトらしいメランコリーを醸し出す。約20畳の広さ試聴室でも、ボリュームは11時あたりで音圧は十分過ぎるほど得られる。
アンナ・ネトレプコのオペラアリア(『ヴェルディ:マクベス』)は、ボリューム11時の音量でも冒頭の絶叫で破綻がなく、ソプラノのリリコスピントの力強い押し出しとダイナミクス豊かな歌唱に仕事を忘れて聴き惚れる。ソットヴォーチェ(声量を抑えての歌唱)では、声の地肌やカンタービレのテクニックが伝わりる。微妙な声の音色の変化や音場感もしっかり描く情報量があると言える。
組み合わせ2:JBL「STUDIO 230 BRN」
■JBLらしさが存分に味わえる組み合わせ。明快で切れのよいサウンド
これからオーディオ機器を揃えようというユーザーにとって、JBLのスピーカーに憧れている方は多いはず。JBL STUDIO 230 BRNはスタンダードシリーズで2番目に小型のブックシェルフだが、こちらも破格の求めやすさに注目。高橋アキのシューベルトは明瞭度が高く、低音の厚みも十分。金属系トゥイーター採用で高域再生限界が高く、共鳴弦の倍音もよく捉えている。低音トリルは量感も厚みもあるが、決してどろどろしない。KEF Q350のマッシブな表現と対照的な、明快で切れのいい解れた音場。音離れがよいことも聴きやすさに繋がっている。
アンナ・ネトレプコのオペラアリアは、明るく広がり豊かな音場に歌声がくっきり浮かび上がる。順光のライトで照らし出したような明色系のたたずまい。肉声の仄暗いニュアンスが隠れてしまいややニュアンスが平板に感じられる刹那もあるが、小型とはいえJBLらしさが開花している。
キップ・ハンラハンのニューヨークラテンはQ350に比べて好相性で、音場が開放的に広がる。ボーカルが明るい表情に変わり、発声にもキレがある。ベースは量感豊かで、金属的な引き締まった響きが快感だ。アルトサックスの音色がからりと明るいのは、小なりともJBLだということ。パーカッションの打撃も輪郭表現が甘くならず、鋭いアタックでクリップしない。ここでもJBLらしさを引き出しており、バランスのいい組み合わせと言えるだろう。
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