【特別企画】スピーカーで培った技術を最適化して投入
FOCALから待望のワイヤレスヘッドホン/イヤホン登場。「LISTEN/SPARK WIRELESS」を聴く
SPARK WIRELESSは、そのSphear Sと同様にマイラー振動板を採用したダイナミック型ドライバーを搭載する(ドライバー口径はSphear Sが10.8mm、SPARK WIRELESSが9.5mmとなる)。アルミニウム製のハウジングと、ブランドロゴを配置したステンレス製プレートをフェイス側に配置。本体は主にメタル系の素材でできている。
ケーブルはからみにくくてハンドリングもよいフラットタイプ。本体の全長が60cmほどしかないので、身に着けた時に首の後ろを介して耳から耳へ、無駄なくぴたりとフィットする感覚がうれしい。質量は14g。バッテリーはフル充電から8時間の連続再生が可能だ。
本体が防水仕様ではないので積極的におすすめできないが、ウォーキングなどの簡単なワークアウトでも本機の高いフィット感が大きなメリットに感じられるだろう。フォーカルには今後ぜひスポーツタイプのSparkにチャレンジしてもらいたいと感じた。
■情報量が豊富で余韻がきめ細かい。屋外でも映える音調
それではSPARK WIRELESSの音を聴いてみよう。本機もaptX対応のイヤホンなので、オンキヨーのDP-CMX1をリファレンスにした。3ボタンタイプのリモコンは音楽再生、ハンズフリー通話のコントロールに機敏なレスポンスを返してくれる。使い勝手は文句なしだ。
音に厚みがあって、aptX対応も奏功して情報量を豊富に引き出してくる。エントリークラスとは思えない充実したサウンドだ。Perfumeのアルバム『JPN』から「Spice」では、力強く腹の底に響くような低音が楽しめる。ボーカルは音像がシャープで、余韻がきめ細かい。
東京スカパラダイスオーケストラの楽曲では、各楽器の音をストレートかつ力強く前に押し出してくるが、バランスが良いので聴き疲れもしない。こうした音調は、アウトドアで音楽を聴くと特にその心地よさが実感されるだろう。
マーカス・ミラーを聴くと、全帯域にわたって抜けが良く、それが広がりのある空間再現につながっていることがわかる。見通しも良く、スケール感を誇張なく演出しているところに、スピーカーブランドらしい音作りを感じる。
今回試したフォーカルの新しいヘッドホンとイヤホンの両方に共通して言えることは、ヨーロッパで確かな実績を積んできたブランドらしく、音質、機能性ともにユーザーの勘所を付くバランスの良さが最大の武器であるということだ。使い込むほどにブランドの真摯なものづくりに対する姿勢が伝わってくる。こうした点は、日本人のマインドにも深く馴染むものだろう。
初めてのワイヤレスオーディオを探している方、あるいはこれからのステップアップや買い増しを検討している方にぜひ一度、フォーカルのサウンドを確かめてほしいと思う。
(山本 敦)
特別企画 協力:エミライ