装着感や使い勝手にも配慮
独自の「ETEMドライバー」搭載、U1万円の実力派Bluetoothイヤホン。エレコム「LBT-HPC51/41」を聴く
■同価格帯ではクリアさに秀でる
音の印象としては、1万円前後というこのクラスのBluetoothイヤホンの中で、透明感や空間表現という点において秀でた製品と言える。
Cornelius「いつか/どこか」は、最小限の音、その音の一手一手の配置の妙で豊かな空間性を感じさせるアレンジとミックスの作品だ。それぞれの音の透明感も、その音と音の余白となる背景の透明感も、どちらも十分でないとこの音源の魅力は引き出せない。
このモデルは、Bluetooth圧縮というハンデがありつつ、そこをしっかりクリアしてきてくれている。アコギの音色にほのかに乗る金属弦らしい響きや質感といった、音の細部までの描き方もなかなかのものだ。
小松未可子さん「また、はじまりの地図」相対性理論「夏至」悠木碧さん「レゼトワール」といったところでは、女性ボーカルとの相性の良さも確認できた。「また、はじまりの地図」は歌い方も録音も子音を強めてあり、それを嫌な刺さり方にしてしまうイヤホンも少なからずな曲。このイヤホンはそこを、刺さずぼかさず、心地よい鋭さで届けてくれる。
強いて言うなら、ペトロールズ「表現」やRobert Glasper Experiment「Human」といった曲では、ベースやドラムスの大柄なグルーヴの表現はやや苦手そうだ。低音楽器の存在感はあまり押し出さないタイプだ。
しかし、その代わりに、例えば前述の「また、はじまりの地図」では、リズムセクションが緩く膨らまずバシッとピシッとタイトに決まる。だからここは弱点でもあり強みでもある。好み次第だろう。
■再生時間と装着感を両立した「LBT-HPC41」
「LBT-HPC41」も外磁型のETEM(ELECOM Torus External Magnet)ドライバーを採用する点はLBT-HPC51と共通だが、それ以外はまったく異なる個性を持たされたモデルとなっている。
音導の先端、鼓膜にいちばん近い場所にドライバーユニットを設置する「Direct Contact Mount」構造、そして大型大容量のバックキャビティを採用。大柄な筐体のいちばん先にドライバーを搭載することで、その背面には最大限の空気容量が確保される。それによって「GrandBass」シリーズの名にふさわしい、余裕のある低音が生み出される。