2.5mm/4.4mm端子を用意
オーディオテクニカのバランス対応A2DCリケーブルを、ATH-LS400/ATH-CKR100と組み合わせて検証
■ATH-CKR100をバランス駆動すると歪み感がさらに抑えられフォーカス感も高まる
続いては”Sound Reality”シリーズのダイナミック型インナー最高峰「ATH-CKR100」を各ケーブルと組み合わせた。ATH-CKR100は、純鉄ヨーク採用φ13mmダイナミック型ドライバーを向き合わせに配置し、広帯域にわたって歪みの少ない理想的なプッシュプル動作を実現させる“DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS”機構を搭載。高剛性なチタンハウジングとアルミスタビライザーによって振動を抑制したクリアなサウンドを獲得した。好評を得た前モデル「ATH-CKR10」では非対応だったリケーブル対応を実現させたことで、より注目度を高めているモデルといえるだろう。
SP1000との接続ではDUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSならではの低歪でレスポンスの良いストレートなサウンドを楽しめ、ドライながらも自然でS/Nの良い音場を提供してくれる。ロックのリズム隊は高密度で落ち着き良く、ボーカルのハリ感もナチュラルにまとめ、実に爽快だ。オーケストラはウォームな響きを感じさせつつも、管弦楽器の粒を細やかに描き、ハーモニーも丁寧に表現。脚色を押さえつつも瑞々しいサウンドだ。
そしてケーブルをHDC212A/1.2に繋ぎ換えたバランス駆動ではフォーカス感がさらに高まり、クールで締まり良いサウンドとなる。音場の見通しも一層深く、余韻の階調性も粒が細かい。ホーンセクションはキレ良く鮮やかで、アンビエントの響きもリアル。ウッドベースも弾力良く表現し、密度の濃い伸びやかな音である。DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSの真価を見るようで、S/N良く丁寧で生々しいサウンドだ。
■4.4mm端子バランス駆動では、11.2MHzならではの音場表現まで豊かに描き出す
プレーヤーをNW-WM1Zに切り替えてみると、ナチュラルで硬さのほぐれた安定感あるサウンドとなる。ロックのディストーションギターは腰高なリフを密度良くまとめ、ボーカルもボディの厚みを自然に引き立たせ、ヌケ良くクリアに表現。オーケストラは伸び良く爽やかで、ローエンドのふくよかな響きがリッチさに繋がっている。ホーンセクションの響きは瑞々しく丁寧で、アンビエントの質感も伸び良く華やぎ、空間の広さを自然に引き出す。11.2MHz音源の余韻の澄んだ響き、付帯感のないナチュラルなボーカルの佇まいも見事である。
ケーブルをHDC214A/1.2に交換し、バランス駆動を試してみたが、立ち上がりの素早い、キレ良いリアルなサウンドとなり、S/Nの高さも一段と際立つ。音場は澄み切っており、まさにDUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSの持つメリットが最大限発揮された結果といえるだろう。
ピアノやホーンセクションは輪郭をくっきりと鮮度良く浮き立たせ、分離良く涼やかな描写となる。ボーカルは締まり良くクールな艶感を持たせ、リヴァーブと明確に分けた音ヌケ良い質感で描く。
ネイティブ再生となる11.2MHz音源の音場も極めてリアルで抑揚良くまとめ、DSDならではの余韻の粒立ち感も一際丁寧に表現。リズム隊もダンピング良く弾力豊かで、ロックのディストーションギターは重心の低いずっしりとしたリフを響かせる。オーケストラの高解像度で生々しい響きも格段に良くなった。ATH-CKR100の持つポテンシャルに改めて気づいた次第だが、特にHDC214A/1.2への交換は実に有意義なクオリティアップの手段といえるだろう。
◇
4.4mm 5極プラグも音質的優位性や耐久性、信頼性が評価され、採用例が日々増えているが、A2DCコネクターについてもその存在意義は改めて評価されるべきものと思う。HDCシリーズのリケーブルの実力としては、ATH-LS400での効果も高かったが、特に驚いたのは以前から興味のあったATH-CKR100でのリケーブル交換におけるサウンド進化であった。
ATH-CKR100の前機種で、DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSを初搭載した「ATH-CKR10」では、ドライバー構成の良さがわかっていてもケーブル着脱ができないことからバランス駆動を試せなかった。しかし後継機たるATH-CKR100とリケーブルの登場により、DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSの実力を改めて実感できたことは非常に意義深い。それもA2DCコネクタープラグの良さがあってこそだが、その優位性を着実に広めていきたいと思わせる試聴であった。
【今回使用した試聴音源】
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』「第一楽章」(96kHz/24bit)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』「届かない恋」(2.8MHz・DSD)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源
・Whitesnake『Whitesnake(30th Anniversary Remaster)』「Here I Go Again 87」(96kHz/24bit)
(岩井 喬)
続いては”Sound Reality”シリーズのダイナミック型インナー最高峰「ATH-CKR100」を各ケーブルと組み合わせた。ATH-CKR100は、純鉄ヨーク採用φ13mmダイナミック型ドライバーを向き合わせに配置し、広帯域にわたって歪みの少ない理想的なプッシュプル動作を実現させる“DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS”機構を搭載。高剛性なチタンハウジングとアルミスタビライザーによって振動を抑制したクリアなサウンドを獲得した。好評を得た前モデル「ATH-CKR10」では非対応だったリケーブル対応を実現させたことで、より注目度を高めているモデルといえるだろう。
SP1000との接続ではDUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSならではの低歪でレスポンスの良いストレートなサウンドを楽しめ、ドライながらも自然でS/Nの良い音場を提供してくれる。ロックのリズム隊は高密度で落ち着き良く、ボーカルのハリ感もナチュラルにまとめ、実に爽快だ。オーケストラはウォームな響きを感じさせつつも、管弦楽器の粒を細やかに描き、ハーモニーも丁寧に表現。脚色を押さえつつも瑞々しいサウンドだ。
そしてケーブルをHDC212A/1.2に繋ぎ換えたバランス駆動ではフォーカス感がさらに高まり、クールで締まり良いサウンドとなる。音場の見通しも一層深く、余韻の階調性も粒が細かい。ホーンセクションはキレ良く鮮やかで、アンビエントの響きもリアル。ウッドベースも弾力良く表現し、密度の濃い伸びやかな音である。DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSの真価を見るようで、S/N良く丁寧で生々しいサウンドだ。
■4.4mm端子バランス駆動では、11.2MHzならではの音場表現まで豊かに描き出す
プレーヤーをNW-WM1Zに切り替えてみると、ナチュラルで硬さのほぐれた安定感あるサウンドとなる。ロックのディストーションギターは腰高なリフを密度良くまとめ、ボーカルもボディの厚みを自然に引き立たせ、ヌケ良くクリアに表現。オーケストラは伸び良く爽やかで、ローエンドのふくよかな響きがリッチさに繋がっている。ホーンセクションの響きは瑞々しく丁寧で、アンビエントの質感も伸び良く華やぎ、空間の広さを自然に引き出す。11.2MHz音源の余韻の澄んだ響き、付帯感のないナチュラルなボーカルの佇まいも見事である。
ケーブルをHDC214A/1.2に交換し、バランス駆動を試してみたが、立ち上がりの素早い、キレ良いリアルなサウンドとなり、S/Nの高さも一段と際立つ。音場は澄み切っており、まさにDUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSの持つメリットが最大限発揮された結果といえるだろう。
ピアノやホーンセクションは輪郭をくっきりと鮮度良く浮き立たせ、分離良く涼やかな描写となる。ボーカルは締まり良くクールな艶感を持たせ、リヴァーブと明確に分けた音ヌケ良い質感で描く。
ネイティブ再生となる11.2MHz音源の音場も極めてリアルで抑揚良くまとめ、DSDならではの余韻の粒立ち感も一際丁寧に表現。リズム隊もダンピング良く弾力豊かで、ロックのディストーションギターは重心の低いずっしりとしたリフを響かせる。オーケストラの高解像度で生々しい響きも格段に良くなった。ATH-CKR100の持つポテンシャルに改めて気づいた次第だが、特にHDC214A/1.2への交換は実に有意義なクオリティアップの手段といえるだろう。
4.4mm 5極プラグも音質的優位性や耐久性、信頼性が評価され、採用例が日々増えているが、A2DCコネクターについてもその存在意義は改めて評価されるべきものと思う。HDCシリーズのリケーブルの実力としては、ATH-LS400での効果も高かったが、特に驚いたのは以前から興味のあったATH-CKR100でのリケーブル交換におけるサウンド進化であった。
ATH-CKR100の前機種で、DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSを初搭載した「ATH-CKR10」では、ドライバー構成の良さがわかっていてもケーブル着脱ができないことからバランス駆動を試せなかった。しかし後継機たるATH-CKR100とリケーブルの登場により、DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERSの実力を改めて実感できたことは非常に意義深い。それもA2DCコネクタープラグの良さがあってこそだが、その優位性を着実に広めていきたいと思わせる試聴であった。
【今回使用した試聴音源】
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』「第一楽章」(96kHz/24bit)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』「届かない恋」(2.8MHz・DSD)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源
・Whitesnake『Whitesnake(30th Anniversary Remaster)』「Here I Go Again 87」(96kHz/24bit)
(岩井 喬)