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【特別企画】超多機能プレーヤーのDAC性能をチェック

単体機も顔負け、 OPPO「UDP-205」USB-DAC機能。禁断の “同ブランド対決” の軍配は?

公開日 2018/02/27 08:00 土方久明
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UDP-205は振動に対してよりシビアなディスクプレーヤーとして、そして同社の上級モデルとして、筐体の剛性強化と振動対策が徹底されている。

シャーシについては、「ダブルレイヤー・レインフォースド・ストラクチャー」と呼ばれる二重構造を採用して剛性・制振性を追求。また、フットにもOPPO Digitalの製品としては初めてという金属製インシュレーターを用いた。これらは、日本限定仕様モデルとして筐体剛性を大幅に強化した「BDP-105DJP JAPAN LIMITED」の成果を反映させたものともいえる。

シャーシは二重構造として、剛性・制振性を追求


電源部は、アナログオーディオ回路用とデジタル回路用で分割しているため、オーディオ再生への影響も排除。アナログオーディオ回路部には、トロイダルコア・トランスによる専用電源部からクリーンかつ安定した電源供給を行う。


UDP-205の筐体内部。プレーヤーとしては大型のトロイダルトランスが確認できる
DACチップや再生フォーマットは同社のSonica DACと同じだが、オーディオ再生の音質を左右する筐体や電源については、UDP-205が数段上の規模ということになる。UDP-205と同価格帯の単体DACとしても、この物量は特筆できる。

なお、Sonica DACはヘッドホンアンプを搭載していないが、一方のUDP-205は内蔵している。USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプとして単体利用できるという点も異なっている。

USB-DACの実力を、UDP-205が再生可能な他メディアと比較しつつ検証

それでは、UDP-205のUSB-DACの音質をチェックしていこう。試聴環境については、プリアンプ/パワーアンプに「C-2450/P-4200」、スピーカーにモニターオーディオ「PL-200」を用意した。ファイル再生用のトランスポートには「MacBook Pro(MacOS High Sierra 10.13.1)」と「Audirvana Plus 3」を組み合わせた。


アキュフェーズのセパレートアンプ、モニターオーディオの旗艦スピーカーシリーズ“Platinum”の「PL200」を組み合わせて試聴を行った
ちなみに本機は、USB-DAC再生とディスク再生をリモコンの入力切り替えボタンで切り替えることができる。USB-DAC/ディスクプレーヤーとして用いる分には、基本的にディスプレイを組み合わせる必要はなく、純然たるHi-Fiオーディオ機器としてシンプルに扱うことができる。

まずはクラシックを聴いてみよう。アンドリス・ネルソンス『ブルックナー:交響曲 第3番』(96kHz/24bit FLAC)は、大編成のオーケストラによる壮大な楽曲だ。「第3番 ニ短調:第3楽章」は、曲冒頭の暗騒音で微小レベルの解像度や聴感上のS/Nがわかる。これを再生すると、UDP-205の解像力とS/Nの高さが浮き彫りになる。


アンドリス・ネルソンス『ブルックナー:交響曲 第3番』(96kHz/24bit FLAC)
音数も実に多く、そのひとつひとつが明瞭だ。サウンドステージも高さと奥行きの両方向へ立体的に展開し、オーケストラを構成する楽器の位置関係も正確に提示される。このあたりは、最新世代の高性能DACチップをただ搭載しただけでなく、Sonica DACの成果もフィードバックして使いこなしている成果だろう。

この楽曲は音楽表現の難しさで知られているが、UDP-205はその情報量の多さから、各楽器の音のタイミングが重なるところでもいわゆる団子にならず、結果として抑揚を豊かに表現してくれる。こうした長所が、本機が高い音楽性を備えていると印象づけられた理由だ。

続いてCDからリッピングした音をUSB-DACで再生した。課題曲として用意したのは、ビルボードチャートのアルバム部門でも1位になったテイラー・スイフト『REPUTATION』からの1曲「Look What You Mode Me Do」だ。リッピングソフト dBpoweramp CD Ripperを用いて、WAV形式でリッピングした。


テイラー・スイフト『REPUTATION』(CDリッピング)
「REPUTATION」はEDM調の楽曲でボーカルとシンセサイザーで構成されており、現代的なポップスの典型といえる。様々な音色のシンセサイザーが折り重なる様をどこまで描き分けられるかが聴かせどころだが、UDP-205では各フレーズの分離が良く、それぞれの音色まで再現している。

また、声色の生々しいボーカルが2本のスピーカーの中央にコンパクトに定位。現代ポップスならではのマッシブなバスドラムも立ち上がり鋭く、揺らぎのない低域を支えている。このあたりの音楽の安定感は、強固なシャーシや電源部への惜しみない物量投入の結果とも言えるだろう。

続いてUSB-DACで再生したDSD音源の音質をチェックした。使用した音源は、ECMレーベルから最近発売されたチック・コリアの名作「A.R.C.」だ。ピアノトリオの1つ1つの楽器の音が明瞭かつ自然な、質の高いマスタリングが特徴で、音質チェックにも最適な1枚といえる。


チック・コリア「A.R.C.」(2.8MHz DSD)
イントロに流れるチック・コリアのピアノソロは、音に透明感がある。適度な弾力のタッチも上手に再現しており、自然かつ躍動感のある音に感心させられる。曲の途中からはデイヴ・ホランドのベースと、バリー・アルツシュールのドラムが演奏に加わって曲が盛り上がっていくのだが、解像力や制動力を含めた低域表現にも長けており、思わず体でリズムを取りたくなるようなグルーブを味わえる。

スネアドラムは密度とキレを両立。DSDフォーマットの長所である滑らかな質感に加え、やはり音の立ち上がりがよい。筆者がDACの素性の良さの条件として必ずチェックする、フォーマットごとの音色/音調の描き分けも的確だ。

この数年で多くのUSB-DACを試聴してきたが、その経験を踏まえても、UDP-205のUSB-DAC再生は想像を超えた音だった。同価格帯の他の単体USB-DACと比べても全く引けをとらないばかりか、情報量の豊富さと微小レベルの再現性は優秀だ。物量にも裏打ちされた上限の周波数レンジの広さ、音楽再生において大切な中域の充実も印象的だ。

次ページSonica DACとまさかの対決。その結果は?

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