iOSを出力端末に設定できるように
iPhone/iPadをブリッジに「Roon」オーディオシステムを構築可能に! 新機能をオーディオ的に使いこなす
さて、本題のRoon1.4のiOS対応だが、はじめにiPhone 7を使用した。まずアプリが更新されているかどうかを確認する。最新のアップデートを行うのが確実だ。次にiOS側がPrivateゾーンに設定されているとMac(core)から出力先が見えないため、Audio setupでゾーンとして認識されなくなる。このため設定からPrivateゾーンの指定を外すことが必要なので、注意が必要だ。なお、再生の際にはiPhone上でRoon Remoteアプリをあらかじめ立ち上げている必要がある(iPhoneがスリープになっているときも認識できない)。
試聴曲はRoonでの再生やライブラリへの追加に対応するロスレスストリーミング「TIDAL」から、以下の曲を使用した。
・Yair Elazar Glotman『Etudes』から「Oratio Continua (Part I)」
ー 弦楽器のみの鮮烈な曲。
・Rajaton『Joulu』から「Walking in the air」
ー スノーマンのテーマのアカペラ版。
同じくRoonで再生し、MacからUSB出力で直にACRO L1000に接続した音(この場合はUSBゾーン)と、Wi-Fi経由でiPhoneのゾーンを指定し、iPhone → Lightningカメラアダプター → USB経由でデジタル出力し、ACRO L1000と接続した音を比べてみた。
>>MacのUSBゾーンを使って再生
>>iPhoneからデジタル出力を使って再生
どちらもかなり良い音で鳴ってくれるが、やはり聴き比べると、USB直で接続した方が、iPhone経由での再生よりも弦の曲では少し透明感が高く、音数が多く聴こえる。またアカペラ曲ではこのACLO L1000とフォステクスの優秀さを改めて知らされるような素晴らしい音空間の広がりとヴォーカルの明瞭さが楽しめるが、この空間の広がりにおいてもやはりUSB直の方が良いと感じられた。iPhone経由ではやや音がコンパクトに聴こえる。
ただし過去の経験から言うと、Wi-Fi経由で音が良くなかったというよりも、おそらくはLightningカメラアダプターの有線の品質が左右しているように思う。また、iOSの出力部の実装がいまひとつこなれていないせいもあるかもしれない。この場合はアップデートで音が良くなる可能性はある。ただしどちらなのか、この時点では判然としない。
いずれにせよ、iPhoneからのデジタル出力でも、Macからの直接出力と比較しなければ十分に良い音であったと言える。
次にiPad pro10.5で試してみると、USB直結に近い音の広がりが得られた。比べてみるとまだUSB直結の方が良いが、iPhoneにくらべるとかなり改善されたと思った。この結果から言うと、iPhoneよりもiPadを使用した方が音質的には有利であると考えられる。
■高音質フォーマットは正しく再生できるかどうかを検証
Roonの音源をiPhoneから出力したとしても、ハイレゾフォーマットが正しいサンプリングレートで再生されているかどうか、送信側からは確かなことはわからない。DSDのネイティブ再生やMQAでのハードウエアデコードも同様だ。そこで、出力側のDACできちんとハイレゾ再生やDSDネイティブ再生、そしてMQAのハードウエアデコードがなされているかどうかを確認するのが、この項の目的だ。
DACはDSDネイティブ再生やMQAハードウエアデコードができるものとしてMERIDIANの「Ultra DAC」を使用した。それに合わせてシステム全体もグレードアップして、プリとパワーは試聴室のアキュフェーズとTADのスピーカーを組み合わせている。
なおMERIDIANのUltra DACは、独自のSooloosと呼ばれる方式で、ネットワークDACとしても使用できる。Sooloosは、RoonチームがMERIDIANに合流する前に開発していたネットワークプレーヤーのことだが、そのチームがいまはまたMERIDIANを出てRoonを開発しているのは興味深いことだ。
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