エントリークラスの価格帯でありながら性能は上級者のメイン機レベル
一台あって損はなし! iFIオーディオ「nano iOne」、その導入のメリットを探る
掌に収まるサイズながら、D/AコンバーターやBluetooth接続など、豊富な機能を持つiFIオーディオの「nano iOne」。本機が現代ホームオーディオにおいてどれほどの働きを見せるのか、石原氏のレビューをお届けしよう。
■iFIらしい多機能。豊富な接続性を持つ
「iOne」は同社の“nanoシリーズ”の新しい超小型オーディオエレクトロニクスである。iFIの製品らしく機能は満載だ。
まずはUSB-DACとして機能する。S/PDIF同軸/光入力のDACとして機能する(本体には同軸入力しかないが、同軸入力の奥に光入力がマウントされており、付属のアダプターを用いて接続する)。さらにはBluetooth入力があり、スマートフォンやタブレット端末と無線接続することができる。USB入力とBluetooth入力を使用する際はS/PDIF同軸入力端子をデジタル出力端子として使用することも可能だ(PCM192kHz/24bitまで)。PCやNASとUSB接続する場合はバスパワーから電源が供給されるが、そうでない場合は付属のスイッチングアダプタと本機をUSB接続して電力を供給する。
nanoシリーズのモデルであるから、筐体は掌にすっぽりと収まるほど小さい。であるにもかかわらずデジタル入力のサンプリングレートはフルスペックだ。
フロントパネル最右翼にマウントされているのはフィルタースイッチで、通常はLISTENモードにしておく(MEASUREモードはプロ仕様で周波数レンジがやや狭い)。その左隣は入力切り換えスイッチで、ポジションは上からBluetooth、USB、S/PDIF。その左は発光LEDのパイロットランプで、入力信号のサンプリング周波数によって色が変わる。最左翼にあるのがBluetoothのペアリングボタンだ。
■ワイヤレス再生でもディテール情報が豊富
私のシステムに組み込む場合、iOneの機能をフルに使うことになる。まずはフォノADCのM2TECHのJOPLIN Mk2のデジタル出力と接続してLPレコードを聴いた。
以前とは音作りの方向性がちょっと変わってきたな、というのが第一印象だ。当初のiFIは正しい音をストイックに追求していたが、本機では余裕のある構えの大きいサウンドを聴くことができる。最も大きく変化しているのはエネルギーバランスで、ストンとした摩天楼型から優美なタワー型にシフトしており、アナログならではのコントラバスのゴリッとした質感を見事に表現する。
次いでDELAのN1AとUSB接続してハイレゾデータを聴いた。素晴らしい安定度である。とくにDSD11.2MHzとの相性は抜群で、リスナーに不安を与える気配すらない。音場とディテールの情報量は下位フォーマットの比ではなく、デジタル回路もさることながら、アナログ回路の出来の良さに驚嘆させられた。なお、低域を豊饒化させた音作りはUSB接続でも確認できた。
さて、本機の目玉のBluetooth接続のサウンドである。実は安物のBluetooth受信機を所有しているのだが、それとは雲泥の差だ。無線接続であるにもかかわらず聴感上のS/N比が高く、ディテール情報が豊富で、有線デジタル接続と同様、低音が豊かで聴き応えがある。たまたまiPhoneに入っていたポップスを聴いたのだが、こんなにいい歌だったのかと感心させられた。
ではクラシックはどうか。私のiPhoneにはマレク・ヤノフスキ指揮ドレスデン・シュターツカペレによるワーグナーの「指輪」全曲が入っている。掛け値なしにかなりイケルというのが結論だ。とにもかくにもディスクをかけ替えなくてもいいのがありがたい。
価格的にみると本機は入門機に位置づけられるだが、性能的には上級者のメイン機としても十分に使える。持っておいて損のない一台だ。
(石原 俊)
<Specification>
● 電源: USBバスパワー(ActiveNoiseCancellation機能搭載)●対応フォーマット:PCM44.1〜384kHz、DSD2.8〜12.4MHz●DACチップ:バーブラウン製(ステレオ1基、4回路で使用)●入力:USB(Bタイプ、3.0コンパーチブル) × 1、Bluetooth( apt-X 、AACサポート)、S/PDIF(RCA同軸デジタル、丸型光TOSコンボ)× 1●出力: S/PDIF(RCA同軸デジタル、丸型光TOSコンボ)× 1 (USB 、Bluetoothの際に動作)、RCAアナログ× 1 ●周波数特性: 20Hz〜20kHz±0/-0.5dB (44.1kHz時、フィルター=Measure)、1Hz〜44kHz±3/-0.3dB(88.2kHz時、フィルター= Measure )●出力電圧: 2.05V (±0.05V)●ダイナミックレンジ:109dB(A)●S/N:109dB(A)@0dBFs●THD+N@0dBFs:<0.0015%10kLoad●出力インピーダンス:< 50Ω●消費電力:2.5W以下●サイズ:64W × 25.5H × 100Dmm● 質量:122g●取り扱い:ENZOj-FiLLC.、(有)トップウイング
本記事は「季刊・オーディオアクセサリー 168号 SPRING」からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。
■iFIらしい多機能。豊富な接続性を持つ
「iOne」は同社の“nanoシリーズ”の新しい超小型オーディオエレクトロニクスである。iFIの製品らしく機能は満載だ。
まずはUSB-DACとして機能する。S/PDIF同軸/光入力のDACとして機能する(本体には同軸入力しかないが、同軸入力の奥に光入力がマウントされており、付属のアダプターを用いて接続する)。さらにはBluetooth入力があり、スマートフォンやタブレット端末と無線接続することができる。USB入力とBluetooth入力を使用する際はS/PDIF同軸入力端子をデジタル出力端子として使用することも可能だ(PCM192kHz/24bitまで)。PCやNASとUSB接続する場合はバスパワーから電源が供給されるが、そうでない場合は付属のスイッチングアダプタと本機をUSB接続して電力を供給する。
nanoシリーズのモデルであるから、筐体は掌にすっぽりと収まるほど小さい。であるにもかかわらずデジタル入力のサンプリングレートはフルスペックだ。
フロントパネル最右翼にマウントされているのはフィルタースイッチで、通常はLISTENモードにしておく(MEASUREモードはプロ仕様で周波数レンジがやや狭い)。その左隣は入力切り換えスイッチで、ポジションは上からBluetooth、USB、S/PDIF。その左は発光LEDのパイロットランプで、入力信号のサンプリング周波数によって色が変わる。最左翼にあるのがBluetoothのペアリングボタンだ。
■ワイヤレス再生でもディテール情報が豊富
私のシステムに組み込む場合、iOneの機能をフルに使うことになる。まずはフォノADCのM2TECHのJOPLIN Mk2のデジタル出力と接続してLPレコードを聴いた。
以前とは音作りの方向性がちょっと変わってきたな、というのが第一印象だ。当初のiFIは正しい音をストイックに追求していたが、本機では余裕のある構えの大きいサウンドを聴くことができる。最も大きく変化しているのはエネルギーバランスで、ストンとした摩天楼型から優美なタワー型にシフトしており、アナログならではのコントラバスのゴリッとした質感を見事に表現する。
次いでDELAのN1AとUSB接続してハイレゾデータを聴いた。素晴らしい安定度である。とくにDSD11.2MHzとの相性は抜群で、リスナーに不安を与える気配すらない。音場とディテールの情報量は下位フォーマットの比ではなく、デジタル回路もさることながら、アナログ回路の出来の良さに驚嘆させられた。なお、低域を豊饒化させた音作りはUSB接続でも確認できた。
さて、本機の目玉のBluetooth接続のサウンドである。実は安物のBluetooth受信機を所有しているのだが、それとは雲泥の差だ。無線接続であるにもかかわらず聴感上のS/N比が高く、ディテール情報が豊富で、有線デジタル接続と同様、低音が豊かで聴き応えがある。たまたまiPhoneに入っていたポップスを聴いたのだが、こんなにいい歌だったのかと感心させられた。
ではクラシックはどうか。私のiPhoneにはマレク・ヤノフスキ指揮ドレスデン・シュターツカペレによるワーグナーの「指輪」全曲が入っている。掛け値なしにかなりイケルというのが結論だ。とにもかくにもディスクをかけ替えなくてもいいのがありがたい。
価格的にみると本機は入門機に位置づけられるだが、性能的には上級者のメイン機としても十分に使える。持っておいて損のない一台だ。
(石原 俊)
<Specification>
● 電源: USBバスパワー(ActiveNoiseCancellation機能搭載)●対応フォーマット:PCM44.1〜384kHz、DSD2.8〜12.4MHz●DACチップ:バーブラウン製(ステレオ1基、4回路で使用)●入力:USB(Bタイプ、3.0コンパーチブル) × 1、Bluetooth( apt-X 、AACサポート)、S/PDIF(RCA同軸デジタル、丸型光TOSコンボ)× 1●出力: S/PDIF(RCA同軸デジタル、丸型光TOSコンボ)× 1 (USB 、Bluetoothの際に動作)、RCAアナログ× 1 ●周波数特性: 20Hz〜20kHz±0/-0.5dB (44.1kHz時、フィルター=Measure)、1Hz〜44kHz±3/-0.3dB(88.2kHz時、フィルター= Measure )●出力電圧: 2.05V (±0.05V)●ダイナミックレンジ:109dB(A)●S/N:109dB(A)@0dBFs●THD+N@0dBFs:<0.0015%10kLoad●出力インピーダンス:< 50Ω●消費電力:2.5W以下●サイズ:64W × 25.5H × 100Dmm● 質量:122g●取り扱い:ENZOj-FiLLC.、(有)トップウイング
本記事は「季刊・オーディオアクセサリー 168号 SPRING」からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。