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<山本敦のAV進化論 第156回>

USBデジタル接続とアナログ接続、スマホの音はどう変わる? XperiaとSHUREのケーブルで比べた

公開日 2018/04/21 13:29 山本 敦
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Xperia XZ1は、アナログイヤホンジャック経由で192kHz/24bitハイレゾ再生が楽しめるほか、最大2.8MHzまでのDSDの、リニアPCM変換再生に対応している。USB Type-C端子にデジタル接続イヤホン・ヘッドホンを接続した場合は、デジタルオーディオ信号がそのまま出力される。

SE535にRMCE-USBを装着


Xperia XZ1のUSB端子に接続する

今回はXperia XZ1にインストールしたHF Playerに楽曲を読み込んで再生した。アプリを立ち上げてRMCE-USBを接続すると、自動的にUSBオーディオ機器として認識され、本機に96kHz/24bit対応DACが搭載されていることが明示される。「オーディオ出力の切り替え」が「ヘッドホン」になっていた場合は、ハイレゾ対応の実力が出せない状態なので、注意したい。

ケーブルのDACがすぐに認識されたので、HF Playerで試聴を開始する


接続のステータスはUSBオーディオになっている

はじめにMISIAのライブアルバムから『Everything』を聴く。アナログ出力は温かみのある、ゆったりとした中低域の鳴りっぷりが気持ちいい。ボーカルの質感がきめ細かく、余韻に優しく包み込まれるようだ。今回は静かな室内で試聴しているが、スマホの再生ボリュームの位置は最大を10としたら「6」ぐらいの位置で心地よく聴けた。

アナログイヤホンジャックに装着したイヤホンの音と聴き比べる

続いてケーブルをRMCE-USBに交換して聴くと、クールで切れ味の豊かな音に表情が変化した。解像度が高く、ふんわりとした自然な余韻が立ち上る。中域の音色がとても鮮やかで、押し出しも力強い。ドラムスの低音は打ち込みが深く鋭い。高域の音像は輪郭線が明瞭に描かれるようになる。ボリュームの位置は「4」の辺りでも十分にパワフルで聴きやすく感じられるのは、本機に搭載されている高音質アンプの効果なのだろう。

東京スカパラダイスオーケストラのアルバム『Paradise has NO BORDER』から「Believer」で聴き比べてみると、アナログ出力の場合は、ブラスバンドの厚みのある音が、勢いよくドカンと束になってぶつかってくるような迫力がある。ギターのカッティングが熱っぽい。対してRMCE-USBではピアノのメロディが鋭く起ち上がって伸びやかに歌う。サクソフォンのウェットな音色の色っぽさもグンと引き立ってきた。

マイケル・ジャクソンのアルバム『Off The Wall』からタイトル曲の「Off The Wall」では、アナログ出力の音の厚みとおおらかなビートに対して、デジタル接続では軽やかな躍動感の表現に旨みが増してくるようだ。ボーカルの口元の表情はさらに鮮明にイメージできるようになった。アナログイヤホンケーブルで聴く場合と、RMCE-USBを介してデジタル接続で聴いた場合とでは、同じSE535が明らかに異なる表情を見せてくれる。聴き比べを楽しむ価値が大いにある。

192kHz/24bit対応DAC搭載機など、USBデジタルイヤホンにはユニークな製品が揃う?

AndroidはiOSに比べ、開発環境の自由度がある程度確保されているようだ。Lightning端子に直結できるポータブルオーディオ機器の場合、MFi認証を取得するためには「LAM(Lightning Audio Module)」と呼ばれるICチップを搭載することが条件になる。LAMはiOSデバイスのLightning端子から送り出されてきたデジタル音声の入力信号をデコードし、DACとアンプの段に信号を受け渡す役割を担っている。このチップでは、今のところ最大48kHz/24bitまでの音源しかデコードできない。

これに比べると、RMCE-USBは96kHz/24bitに、そしてソニーがMWCで発表したUSB Type-Cによる有線接続とBluetooth接続を切り替えながら使えるイヤホン「SBH90C」は192kHz/24bitまで対応する。後者の場合はUSB&Bluetoothのハイブリッド型という斬新なスタイルとなっており、Androidのプラットフォームとしての自由度の高さが垣間見える。

ソニーがグローバルモデルとして発表したイヤホン「SBH90C」。USB Type-Cによるデジタル接続に対応している

USBイヤホン向けのDACは、米クアルコムが音質と省電力性能に優れるオーディオ製品向けICチップを開発している。今後様々なメーカーから、このチップを採用したイヤホンやヘッドホンが発売される可能性がある。またパイオニアのLightningイヤホン「RAYZ」シリーズの動向も気になる。

USB Type-Cで、スマホを充電しながら音楽が聴ける変換アダプターも、近くどこかのメーカーが商品化するだろう。USBデジタル接続で、スマホで便利にいい音を楽しむスタイルは、これから注目を集めるはずだ。

そしてiPhone 7/7 Plus以降のiPhoneは、Lightningデジタル接続のEarPodsを同梱していることに、改めて注目したい。

変換アダプターを使わなくて済むなら、スマホ同梱イヤホンを、特にデジタル接続であることを意識せず使うというライトユーザーもいるだろう。この層がイヤホンの買い換え・買い増しをする際、SHUREをはじめとしたサードパーティー製品へのステップアップを検討する可能性がある。

今後スマホメーカーには、便利な選択肢の一つとして、USBイヤホンを同梱することを検討してもらいたい。

(山本 敦)

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