何ができる? 使い勝手は?
5年目に突入のアップル「CarPlay」レビュー。iPhone連携はカーライフに何をもたらすのか?
ほかにも純正ミュージックアプリの場合、楽曲の送り/戻しはもちろん、お気に入り登録、ステーション登録、ライブラリ登録など、主要機能はすべて音声で操作できる。たとえばライブラリ登録する場合は、ハンドルのボタンを押しながら「ライブラリに登録」と言うだけ。すると「登録しました」とSiriからフィードバックがある。
ただし、これは筆者のクルマの問題かもしれないが、音声認識の精度は今ひとつだった。「DAOKOを再生して」と何度指示しても、「石野真子の厳選したプレイリストを再生します」と言われてしまった。
なお、サードパーティー製アプリではこの音声操作が使えない。たとえばAmazon Musicを使っているときに、ハンドルのボタンを押して音声アシスタントを呼び出し「ビートルズを再生」と言うと、アップル純正アプリで再生が始まるといった具合だ。サードパーティ製の音楽アプリを使っているユーザーは、CarPlayのメリットを感じる場面が少なそうだ。
ほかにPodCastやオーディオブックの再生もCarPlayで行える。PodCastを日常的に利用しているという方には便利なのだろう。だがそれより、たとえばradikoがCarPlayに対応したら、社会的なインパクトは大きいはず。声でラジオ局を変えられたら便利だろう。実現にはいろいろ障壁がありそうだが…。
■Bluetoothの方が便利なのでは? 疑惑
なお、iPhoneとナビを一度繋いでしまえば、CarPlayを起動中であっても、iPhoneはいつもどおり使うことができる。つまり、iPhoneの画面で選曲できる。
iPhoneとナビを接続していると、CarPlay非対応アプリの音も出力可能だ。試しにオンキヨー「HF Player」内のハイレゾ音源を再生してみたら、しっかり音が再生された。
このiPhone画面による操作をドライバーが行うのは危険だが、助手席に座った人が行う分には、手元で操作できて便利だ。ただしこの操作はCarPlay非対応ナビでも可能で、しかも以前から行えた。CarPlayの優位性とは言えない。
さらにもう一点付け加えておこう。最近のカーナビは、ほとんどの機種がBluetoothに対応している。Bluetoothであれば、ケーブルでつなぐ必要もなく、手軽に音楽を再生できる。またハンズフリー通話にも、多くのナビが対応している。また音声認識精度はそれほど高くないが、Siriを使うこともできる。
CarPlayの大きな特徴で、メリットと言えるのは、何度も強調しているが、専用ボタンを使ったSiri操作が行え、音声フィードバックもクルマのスピーカーから行われるため、統合された使い勝手でSiriに指示できることだ。一方のBluetoothは、ワイヤレスの手軽さが最大の魅力となる。ケーブルをつなぐのでさえ面倒くさいという方は多いはずだ。
どちらも一長一短あるが、クオリティで比べるとどうなのか。ワイヤード接続のCarPlayによる音楽再生と、Bluetoothによるワイヤレスの音質を比べてみた。
Apple Musicで配信されているインディーロックバンド、Boy Azoogaの「Face Behind Her Cigarette」を、まずワイヤードで聴き、続いてBluetoothに変えてみた。すると一聴して腰高な音になり、少しシャカシャカ感が増すが、もともとそれほど音質がよいソースでないため、致命的なほど音質が劣化した印象は受けなかった。
だが、HF Playerを使ってロスレスのCDクオリティの音源やハイレゾ音源で比べると、その差は広がる。Bluetoothでは情報量の欠落が明らかで、ワイヤード接続によるメリットを実感した。
とはいえ、その音質差は、静かな場所で聴いて少し気になる程度。特に運転中は、その差をあまり感じられない場合が多いだろう。シチュエーションによって使い分けたい。
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