「デコーダー/レンダラー」の詳細を解説
iFi audioも対応で盛り上がるMQA、その再生のための基礎を徹底解説
■「MQA対応」とは何を指すのか?
このようにMQAは高い互換性のためにそのままMQA非対応のシステムでも再生ができ、かつ従来のフォーマットよりも高音質である。しかし、その真価を発揮するためにはやはりMQA対応機材が必要である。
MQA対応とは、「MQAデコーダー」または「MQAレンダラー」を備えているハードウェアまたはソフトウェアのことを言う。さらに「MQAデコーダー」には「コアデコーダー」と「フルデコーダー」がある。
「MQAコアデコーダー」とは?
MQAコアデコーダーは、MQA音源を認証してデコードすることができる。ただし初めの1回目の折り畳まれた部分までしかデコードできない。そのため出力は88.2/96kHzのデジタルデータとなり、下図の(B)までデコードした状態となる。このデータには176.4/192kHzまでの折り返ししていないデータ(C)がまだ含まれていることにも注意して欲しい。
MQAコアデコーダーにはMac/PC上の音楽再生ソフト(Audirvana Plus 3など)であるソフトウェア・デコーダーがある。
なぜソフトウェアでフルデコードしないかと言うと、この最後の折り畳まれた部分(C)はDACのハードに依存するため、どうしてもハード側のファームウェアで展開しなければならない。実際にこの最後の折り畳まれた部分にはデータのほかにDACのプロファイルに関する情報が含まれているということだ。
編集部注:88.2kHz/96kHzまでのMQA音源の場合は、一回目の折り畳まれた部分のみを展開する「コアデコーダー」だけでも折り畳むまえのオリジナルフォーマットとして再生が可能となる。
「MQAフルデコーダー」とは?
MQAフルデコーダーは、MQA音源を認証してデコードすることができる。初めの1回目の展開に加え2回目に折り畳まれた部分以降を完全に元のデータに戻すことができるので、出力は折り畳む前のオリジナル・フォーマットとなる。MQAフルデコーダーには、対応D/Aコンバーター(例:M2TECH YoungIII)などのハードウェア・デコーダーがある。
「MQAレンダラー」とは?
MQAレンダラーは、直接にMQA音源を認証してデコードすることはできない。そのため、MQAレンダラー単独では使用できないので、MQAコアデコーダー(つまりソフトウェア・デコーダー)が必要となる。これは「MQAレンダラー」が、比較的プロセッサパワーの足りない小型機器で使われるケースが多いためだ。
端的にいうと、「MQAレンダラー」とはMQAコアデコーダーの図中の(C)のみを展開できるモジュールのことだ。出力は176.4/192kHz(またはそれ以上)のデジタルデータとなる。
MQAレンダラーには、iFi audioのポータブルオーディオ製品であれば「xDSD」、「micro iDSD」などがある。
つまりMQAコアシグナル(デジタル)を普通のDACが受ければ、88.2/96kHzまでの再生となり、MQAレンダラーの入ったDACが受ければ176.4/192kHz、352.8/384kHzまでの再生ができる。
また、こうすることでUSB Audio class1(96kHz)までした対応できないOSでも、176.4/192kHzや352.8/382kHzまでの再生ができることになる。