<山本敦のAV進化論 第160回>
iPhoneでテレビを見る! ピクセラのフルセグチューナー「Xit Stick」を試す
設定を行ったあと、2回目の接続・使用以降は、XIT-SKT200の本体をLightning端子に挿すと自動的にデバイスが認識されてアプリが立ち上がる。テレビは簡易な録画にも対応するが、あくまで現在視聴中の番組のクリッピング程度に使える機能だ。アプリをシャットダウンしたり、ほかのアプリに切り替えると、視聴と録画がともに終了する。
XITは基本的に全画面で使うアプリだが、iOS11以降のiPadの場合は、先にXITアプリを立ち上げてから「Slide Over」機能を使い、XITアプリの前面にもう一つのアプリを表示させることができる。つまりテレビを見ながらツイートしたり、Web検索やメールができるということだが、XITアプリが「Split View」機能には非対応なので、ストリーミング中の番組画面の上にもう一つのアプリが覆いかぶさることになって、やや見づらい。
■屋外・屋内で受信感度は?
外付けテレビチューナーの弱点は電波の受信感度にあると言われている。フルセグ放送は映像が高精細なぶんだけデータ量も多い。受信エリアも限られている。フルセグ放送に比べて画質には劣るものの、機器にとってはより受信の負担が少ないワンセグ放送と自動的に切り替えながら電波を受信する機能は、多くのポータブルチューナーが備えている。フルセグ/ワンセグチューナーを搭載するスマホなどモバイル端末も同様だ。
今回、都内の電車(中央線)と路線バスで移動しながら、XIT-SKT200をiPhone Xに接続して視聴してみた。フルセグ放送についてはおおむね受信感度は良好。iPhoneで高品位なテレビの映像が見られるのは快適だ。ラッシュアワーの時間帯も、たまに電波が途切れることがあるぐらいで、アンテナ感度は安定していた。バスの中も同様、あるいは電車の中と同じぐらいしっかりと見られる。
続いて屋内。カフェ、または自宅に戻ったあとに、リビングルームでiPad Proを使って視聴してみた。窓際から少し部屋の内側に移るとフルセグからワンセグに切り替わってしまう。
ワンセグの場合、12.9インチのiPad Proではやはり映像は粗く見える。XIT-STK200は電波の受信感度を上げるためにロッドアンテナを本体側面に搭載しているが、最大限引き伸ばしてみても結果は大きく変わらなかった。ワンセグ放送の受信はそこそこ安定しているので、室内ではこちらをメインに使うことになりそうだ。
■最新iPhoneではワイヤレスイヤホン・ヘッドホンの使用がマスト
音声については、Lightning端子しか持たないiPhone 7以降のiPhoneと一緒に使う場合、Bluetoothイヤホン、またはヘッドホンの用意がマストになる。Lightning端子に接続して音楽を聴きながらiPhoneを充電できる「Belkin Lightning Audio+ Charge Rockstar」をあいだに介して視聴できるか試してみたが、XIT Stickを外部機器として認識してくれなかった。
なお視聴中、チューナーへの給電はスマホから行うことになる。iPhone XでXitアプリを起ち上げ、全画面表示にして2-3分ほどフルセグ放送を見たら、バッテリーゲージが1%ほど減っていた。1時間以上のドラマやバラエティ番組を見る前にはiPhoneの充電を心がけたい。
筆者は4年ほど前にも、iPhoneでテレビを楽しむための方法を検証してレポートしたことがある(関連記事)。当時はピクセラが新製品として発売した初のiOS対応フルセグチューナー「PIX-DT350-PL1」を取材した。
当時と比べ、フルセグ放送の受信感度はあまり大きく変わっていないように思うが、自動でワンセグに切り替える際のスムーズさなど、電波切れによる不快さを抑える工夫が盛り込まれ、商品としての完成度が高まっていると感じた。
ところで、PIX-DT350-PL1はフルセグの受信感度を取りづらい室内環境でも使いやすいよう、外部アンテナ入力端子も装備していた。新製品のXIT-STK200にその機能が省かれているのは残念だが、本体サイズは小型化されているので、商品の企画意図としてはよりコンパクトにし、特に屋外でテレビを見ることに主眼を置いているのだろう。
もし自宅でもiOSデバイスを使って快適にテレビ視聴を楽みたい場合は、ピクセラであればワイヤレステレビチューナー「XIT-AIR100W」(関連ニュース)などの製品を併用したり、BDレコーダーによるホームネットワーク視聴環境を整えることも視野に入れ、いつでもスポーツの生中継など、見逃したくない番組をしっかり視聴できる環境をつくりたい。
(山本 敦)