<山本敦のAV進化論 第162回>
スマホ連携を徹底強化した“時短”全録レコーダー。東芝「レグザタイムシフトマシン」を試す
タイムシフトマシン録画の番組もスマホ画質で録画してあれば、アプリの「スマホdeレグザ」のメニューから過去番組表を開いて、持ち出したい番組を選択・転送するだけ。もちろん通常録画番組も同じように持ち出して楽しめる。
気になるのは持ち出しにかかる転送時間だが、「スマホ高画質」「スマホ長時間画質」の各モードで録画した1時間番組を転送したところ、前者は約15分、後者は約12分かかった。筆者宅のWi-Fiルーターが最大11g/n対応の機材だったためこれぐらいの時間が必要だった。今の環境だと、朝出かける前に少し早めから準備に取りかかるか、あるいは前日の夜寝る前にスマホに転送しておく使い方が現実的だ。東芝のレコーダー担当者によると「11acのルーターを使えばもっと速く転送できる」というので、機会があればあらためて試してみたいと思う。
持ち出したファイルのサイズ感は、地デジの30分番組を「スマホ長時間画質」で記録したコンテンツは650MB前後、「スマホ高画質」で記録したコンテンツは730MB前後。BSの番組も「スマホ高画質」で記録したものを確認したところ、だいたい730MB前後だった。
画質はiPhone Xの2,436×1,125ピクセルのディスプレイで見る分にはどちらもそれなりに楽しめる。ただ、動きの少ないシーンは比較的安心して見られるものの、全力疾走する人を捉えた映像など動きの多い被写体はブロックノイズが散見される場合もあった。スマホのストレージが許す限り、お気に入りのドラマやアニメ、テロップ表示や細かな被写体の多いバラエティ、尺の短めなスポーツの試合などはなるべく持ち出し用ファイルの画質を高めに設定して録画したい。
持ち出し番組にはチャプター情報が引き継がれる。字幕表示も選べるので、満員電車の中でイヤホンを使わずに番組の内容をチェックしたい場合などに便利だ。持ち出し番組も1.25倍/1.5倍の早回し再生が選べる。
■タイムシフトマシン+リモート視聴は相性抜群
リモート視聴も国内・海外で試してみた。レコーダーとスマホをペアリングしておくと、アプリのメイン画面の下に並ぶメニューから「リモート」を選択した画面にDBR-M4008が表示される。あとは宅内で「スマホdeレグザ」を使うのと同じ要領で録画番組を楽しんだり、録画予約などの機能がシームレスに楽しめる。スマホのパケット通信量が気になる場合は、最近は無料Wi-Fiを提供するカフェや公共スペースも増えているので合わせて活用したい。
視聴時には早見再生も選択できるので、時短だけでなくパケット通信量を抑えながら番組がチェックできるメリットがある。プレーヤー画面についてはチャプター送りや10秒戻し/30秒送りが使えなくなるものの、字幕表示や1.25倍/1.5倍の早見速度の指定は使える。
リモート視聴については、タイムシフト録画によって録り貯められている過去番組の中から、ふと内容を確認したくなったニュース番組や、旅先の待ち時間中にドラマやアニメを楽しみたくなった時に重宝する相性抜群の組み合わせだ。最近は月定額で大容量のデータが使えるスマホの契約プランを国内通信キャリアが揃えてきたので、遠隔地でもリモート視聴を使いやすい環境が整備されてきた。アウトドア視聴派には嬉しい限りだ。
筆者にとって東芝のレコーダーを長期間試せる機会はレグザサーバー以来だったこともあるが、最新モデルであるレグザタイムシフトマシン「DBR-M4008」のスマホ連携は確かな進化を感じさせる充実の内容だった。
機能が充実するDiXiM Playアプリも無料で使えるので、自宅用のレコーダーとして本機を手に入れた方もぜひ活用してみない手はないと思う。テレビに関連する話題の断片をネット上で苦労して集めるよりも、レグザタイムシフトマシンとスマホを組み合わせてチェックした方が格段に楽だということが実感できるはずだ。
レコーダー本体もスリムになってスマートな設置が可能になった。HDDが2TBの「DBR-M2008」なら実売価格が10万円を切っている。一人暮らしの方にも導入を検討してみてほしい。