<山本敦のAV進化論 第162回>
スマホ連携を徹底強化した“時短”全録レコーダー。東芝「レグザタイムシフトマシン」を試す
HDDの容量を超えた場合は自動で上書き録画されるので、例えば気に入った番組があれば通常録画のHDD領域に待避させるか、Blu-rayディスクに保存する必要がある。毎度BDディスクに残す手間を考えると、7基のチューナーをすべてタイムシフトマシン録画に使わずに、設定から1〜2基を通常録画用に割り当てて、キャッシュ録画したコンテンツの中から気に入ったものを消さずにいったんバックアップしておける領域を確保する使い方がおすすめだ。
あるいは7チャンネルのタイムシフトマシン録画に設定していても、チューナーが空いている時間であれば最大3番組予約録画が可能なので、例えばゴールデン時間帯だけ全キャッシュ録画にして、朝や昼間は予約録画でカバーするということもできる。
タイムシフトマシン録画の画質は「チューナー1〜4」と「チューナー5〜7」のグループ別に設定できる。後述するが、新製品にはスマホ連携がよりスムーズになる画質設定も選べるようになったので、例えば頻繁にチェックしたいドラマはスマホに持ち出す前提の画質設定にして、BSで放送される映画や紀行ものなど、リッチな画質で見たい番組は録画モードをハイレベルに設定するといった使い分けもできる。
気をつけてほしいのは、タイムシフトマシン録画の設定は一度走り始めた後に変更すると、それまでにキャッシュされている番組が消去されるという点。地上・BS放送から5〜6chをタイムシフトマシン録画に割り当てるとして、視聴する頻度の高い放送局から優先的に割り当てていくのがセオリーだろう。
だがすべてのチャンネルをカバーできるわけではないので、定期的に実施される番組改正後に、タイムシフトマシン録画の対象にしていなかった局で見たい連続ドラマが始まる場合もある。その時はどこかで見切りを付けて、消したくないコンテンツをバックアップしてからタイムシフトマシン録画の設定をリセットするのもありだと思う。
■過去番組のスマホ連携やマルチタスク処理性能を強化
2018年モデルのレグザタイムシフトマシンとレグザブルーレイから、キャッシュ録画した番組をすばやくスマホに持ち出せるように「スマホ高画質」と「スマホ長時間画質」の画質設定項目が設けられた。どちらかに設定しておくと、スマホに持ち出して視聴するためのファイル形式でキャッシュ録画の番組が保存される。
従来のレグザサーバーでは通常画質の番組録画のほかにスマホ持ち出し用のファイルを同時に生成できなかったので、通常の録画予約を入れて、その時に予約録画終了後の電源オフ時に持ち出し番組を生成する機能を使うか、タイムシフトマシン録画の番組については、いったん通常録画用のHDDにダビングをしたあとから持ち出し用ファイルを生成するひと手間が必要だった。だから今回のレグザタイムシフトマシンの進化はスマホ視聴派にとっては待ち望んでいたものだ。
ただし、実は今回のモデルはスマホ画質の録画ファイルでしか生成しない仕様なので、この設定を行った場合はタイムシフトマシン録画のコンテンツを4K対応テレビで見るとある程度低画質になると割り切った方がいい。
「スマホ高画質」と「スマホ長時間画質」はともに1,280×720/30pの画質でAVC圧縮記録を行う。ビットレートはスマホ高画質が4Mbsp前後、スマホ長時間画質が2.4Mbps前後。録画した映像を4K対応テレビで見てみると、スマホ高画質の方は思ったほどには破綻がなくて、それなりに満足できる画質だった。
スマホ長時間画質の方はバラエティ番組のテロップやワイプ映像で抜かれる人の顔の輪郭などがところどころ滲んだりつぶれてしまう。またカメラのズームイン・アウトやパンなど動きが発生すると映像にノイズが走って、さすがに超解像エンジンを搭載する比較的新しい4K対応テレビでも見づらく感じるシーンがあった。
画質を最優先して録りたいコンテンツはやはり通常録画のスロットを併用して残したい。あるいはタイムシフトマシン録画の設定も画質を優先したいチャンネルはAVC中画質ぐらいにしておいて、後からスマホで見たい番組があれば従来のように変換保存をかけて転送する方法を採るべきだろう。
今度のレグザタイムシフトマシンは、メインエンジンのほかにタイムシフトマシン専用のエンジン「R-2」を搭載している。この専用エンジンのおかげで、録画番組の再生や編集作業、ディスクへの保存・ダビングにレグザリンクシェアなどのマルチタスクを行った時にも「止まらないタイムシフト録画」を実現している。
特にスマホ配信とのバッティングについては気になる所かもしれない。新しいレグザタイムシフトマシンは、スマホ用画質でタイムシフトマシン録画した番組の場合は、テレビで再生しながら同時に2台のスマホに番組を配信できるので便利だ。スマホ用画質で録画されていない番組の変換・配信も2台のスマホへ同時に送れるが、テレビなどHDMI接続で再生中には1台のみに制限される。
■デジオンのDiXiM Playと連携する「スマホdeレグザ」
DBR-M4008とスマホ連携の充実度も詳しくチェックしてみよう。2018年モデルのレグザタイムシフトマシンおよびレグザブルーレイの3チューナーモデルであるDBR-T3008/T2008/T1008の全5機種は、スマホによるレコーダーのリモコン操作と録画番組の視聴が便利に楽しめる「スマホdeレグザ」の機能に対応するデジオンのアプリ「DiXiM Play」が無料で使えるようになった。2019年6月までに「スマホdeレグザ」機能をアクティベートすればずっと無償で利用できる。ぜひ活用したい機能だ。