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【特別企画】真空技術をコンパクトに凝縮

真空+金属筐体+イヤホン/ヘッドホン=VECLOSだけの音。バリエーション豊かな6モデルを一斉試聴

公開日 2018/08/22 07:30 高橋 敦
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各モデルそれぞれが持つ個性あるサウンド

ではそれぞれのサウンドの印象。まずイヤホン各モデルの概要をざっくり一言ずつで表現する。

●EPT-700 ナチュラルウォーム&クリア!
●EPT-500 ナチュラル&クリア!
●EPS-700 シャープ&クリア!
●EPS-500 スーパーシャープ&クリア!

大まかには、チタンモデルはナチュラルで魔法びんに例えるなら保温力を感じさせ、ステンレスモデルはクールで魔法びんに例えるなら保冷力を感じさせる。そして500よりも700の方がその方向への振り切りがはっきりしているといった印象だ。

女性ボーカルのバラードや、アコースティックなジャズに最もフィットすると感じたのはEPT-700。静謐な空間を響きの粒子がしっとりと満たし、歌はその息継ぎまでも色気のあるしなやかさ。音を尖らせることがなく、かといって鈍らせてしまうこともなく、心地よく素直な感触で届けてくれる。

男声女声問わず、ソウルやR&Bの要素が強いボーカルやサウンドとの相性もよい。つまり「温もり」の表現が見事なのだ。例えばサンボマスターの曲を聴くときに、そのパンク成分よりもソウル成分を強めに引き出して聴きたい! なんて方にはぴったりだろう。

それと対極なのがEPS-500。アップテンポな曲の鋭いキレやエレクトロサウンドの煌びやかさの表現が突き抜けている。静かさが際立つというところはEPT-700と共通するが、その静かさの質はそれと異なる。こちらの静かさは「S/N」とオーディオライクに表現したくなるような、静と動のコントラストがくっきりとしたものだ。そしてシンバルなどの高音は、その静けさに光が走るようにシャープ。

エレクトリックサウンドを描き出す際の鮮やかさは格別だ。エッジを効かせた精緻なタッチで情報量豊かな空間を生み出してくれる。そして、BAフルレンジ1発なのでディープに沈み込む太さや深みは不足するが代わりに、低音もやはりキレがよい。余計な膨らみや余韻はなしのスパンとキレキレのバスドラムで、エレクトリックビートのスピード感を生かしてくれる。Perfumeのようなエレクトリックポップには特にフィットする。

そして、そんな振り切った個性を備えるEPT-700とEPS-500の間を埋めるような音にまとめられた印象なのがEPT-500とEPS-700だ。EPT-700/EPS-500の音の方向性は好みなのだけれど、もうちょっと個性控えめでバランス重視のものを…という方は、EPT-500/EPS-700をチェックしてみるとよいだろう。

続いて、ヘッドホンをチェックする。チタンハウジング「HPT-700」とステンレスハウジング「HPS-500」だ。まずこちらも一番のポイントは当然「真空エンクロージャー」であり、その構造や、それによってもたらされる利点もイヤホンの場合と同様。

「HPT-700」

「HPS-500」

ドライバーは全モデルに「フリーエッジ・カーボンペーパードライバー」を搭載する。振動板素材は、適当な内部損失を備えるパルプをベースにカーボンを混抄することで剛性も向上させたもの。その振動板の外周部を柔らかい素材としたフリーエッジ構造にて、振動板全体を極力変形させず平行に動作させる。それらによって広帯域、高解像度、低歪みなドライバーを完成させた。

「HPT-700」(左)と「HPS-500」(右)はハウジング素材によるカラー以外は同一の外観

加えてHPT-700はドライバーをマウントする内部パーツ、バッフルを頑強なアルミダイキャスト製とすることで動きの土台をがっしりと固め、レスポンスをさらに高めている。

またイヤホンと同様に、ヘッドホンもリケーブル対応。採用例の多い3.5mmステレオミニ端子リケーブルなので、利用できるサードパーティリケーブル製品も多そうだ。

ケーブルは3.5mmステレオミニ端子でリケーブル対応とした

それぞれのサウンドの印象は、イヤホンラインナップとの一貫性が感じられるものだ。つまりチタンハウジングのHPT-700はウォームでしなやか、ステンレスハウジングのHPS-500は明るくクリアといった具合。ヘッドホンの方がハウジングの音への影響力はより大きいものと思われ、こちらはその素材の違いがよりストレートに現れているのではないだろうか。

とはいえ、イヤホンのEPT-700とEPS-500ほど個性を振り切ってはおらず、どちらも「オールラウンダー的なバランスを確保した上でほどよく個性的」といったサウンド。ニアフィールドスピーカーシステム「MSA-380S」「SSB-380」の音と重なるところも多いので、あのサウンドでVECLOSのファンになったというユーザーにもおすすめしたい。

独自の発想と技術によるモノとしての個性と、それに負けず劣らずのサウンドの個性。それを兼ね備えたVECLOSのイヤホン&ヘッドホンのラインナップに、ぜひ注目してみてほしい。

(特別企画 協力:サーモス株式会社)

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