デザイン、音質、多彩なネットワーク再生機能を高い次元で両立
デノンのHi-Fiサウンドを凝縮、機能も最先端のミニコンポ。 “CEOL”「RCD-N10」レビュー
最初から組み合わせるスピーカーを吟味するのも良し、SC-N10購入後、スピーカーをグレードアップするのも楽しみになるだろう。スピーカーは、多少古くても高級な製品はそれなりに良い音がする。手持ちの機材など流用するのも一案だ。
RCD-N10のヘッドホン出力についても、シュアの開放型ヘッドホン「SRH1840」を組み合わせて確認した。本機のヘッドホン出力は前モデルに対し、ゲインを高/中/低の3段階から切替が可能になったのも進化点だ。
今回の組み合わせでは、ゲイン「中」でややざわつきを感じるが、「低」でスッキリと聞きやすい音調に。特別にヘッドアンプに注力した製品ではないようだが、ゲイン切替機能により、幅広いヘッドホンに対応できるのは魅力と言える。
最新レシーバー製品のトレンドで本機でも注目したいのが、ネットワークを活用する「HEOSテクノロジー」だ。多機能が故に理解が難しいのも事実。用例別に紹介しよう。
■HEOS機能の搭載によりストリーミングからハイレゾまでを自由自在に再生
本機はHEOS機能の搭載により、ハイレゾ再生からストリーミング再生、さらにはマルチルーム再生まで多彩なソースを再生できることが大きな特徴だ。従来もストリーミングやハイレゾ再生には対応していたが、HEOSには非対応だった。RCD-N10ではHEOS対応で再生ソースの幅を広げつつ、HEOSアプリを使ってシームレスでさらに使いやすい再生操作が行えるようになった。
まずストリーミングについては、Amazon Music、AWA、Spotifyなど、人気のストリーミングサービスにアクセス可能。本機が直接ストリーミングを受信するので音質面でも有利だ(上記以外のサービスも、AirplayやBluetoothを利用して再生できる)。
Spotifyは、Spotifyアプリからいつもの操作で選曲し、再生先として本機選ぶだけで音が出る。つまり、モバイル環境同様、いつもの使い方で楽しめる。
Amazon MusicやAWAなどは、 HEOSアプリ内で選曲操作やキューへの追加もでき、サービスの違いを気にする必要なく、また、複数ユーザーでプレイリストをシェアすることも可能。友人を招いてのパーティーなどで重宝しそうだ。
DLNAに準拠したネットワークオーディオ再生機能も備え、NASや他機器上にあるハイレゾを含む音楽データも本機で再生することができる。また本機はサーバーとしても機能し、挿入したUSBメモリー内の音楽を他のネットワークオーディオから再生するような使い方も可能だ。選曲はHEOSアプリで可能。アーティスト名ほか、いろいろな切り口でソートできる。例えば、フォーマットで「FLAC」「192kHz/24bit」といった絞り込みも可能だ。
ちなみに、本体ディスプレイは高密度ドットのOLEDで日本語表示も美しく、デザイン性の高さ、視認性の良さも特筆に値する。リモコンを使った選曲も実用的で、使い方によってはスマホ+アプリよりも素早く操作できるだろう。
HEOSテクノロジーの特徴として、ソースを問わず、本機で再生中の音楽を、HEOS対応のオーディオ機器やスピーカーに配信できる。いわゆる「マルチルーム」と呼ばれる機能で、同じ音楽を配信して家中を満たすことができる。相互に配信できるソースは各種デジタル音源に加え、本機に入力しているアナログ音声も有効。操作はHEOSアプリで行う仕組みで、ソースとスピーカーを自由に組み合わせルことも可能だ。
基本と言えるネットワーク接続は、Wi-Fi 2.4GHz/5GHz両バンド対応で、手軽さと安定性を両立。情報量の多いハイレゾ再生にも安心の仕様だ。
スマホを中心に音楽配信サービスが台頭し、有料会員登録している読者も多いことだろう。本機があれば、伝統あるデノンのクオリティーで音楽をさらに豊かに楽しむことができるはずだ。また本機は、CD再生機能を備え、過去の資産を有効に活用できるのもポイントで、現在利用しているオーディオシステムと入れ替えるのにも適している。
マルチルーム配信は現時点でピンと来ないかもしれないが、一昔前の有線接続およびリモコンを利用するシステムに比べると、接続はWi-Fiが解決し、操作性はHEOSアプリで飛躍的に向上していて、実用性は大いに向上している。積極的に理解し、自分なりの活用方法を見つけるのも一興だ。
デザイン、音質、多彩なネットワーク再生機能を高い次元で両立した本システムなら、音楽は今まで以上に楽しくなるに違いない。
(鴻池賢三)