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ハイエンド機の試聴経験などを総動員

安くて良いアンプはこれだ! 5万円で買えるプリメインアンプ、注目9製品を一斉比較レビュー(後編)

公開日 2018/10/03 06:00 生形三郎
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<試聴モデル8>
DENON 「PMA-30」 50,000円(税抜)

デノン「PMA-30」

背面

【主なスペック】出力:40W×2(4Ω)、入力:アナログRCA×1/光デジタル×1/同軸デジタル×1/Bluetooth、スピーカー端子:バナナプラグ対応、外形寸法:200W×86H×258Dmm、質量:2.7kg

空気感や演奏の抑揚まで表現する品位の高いサウンドを備える

同社のデザインシリーズのプリメインアンプで、リモコンを含め、デザインに高級感と一体感があり、高い上質感を備えている。縦置きと横置きが自在で、置き方によって自動でディスプレイの表示方向が切り替わる。同軸、光デジタル入力のほか、Bluetooth機能を搭載。

アンプ部は上位モデル「PMA-60」と同様にデジタルアンプを採用するが、PMA-60がクアルコム社のDDFAを搭載しているのに対して、PMA-30はTI製デバイスをBTL構成で搭載している。

柔らかみのある音色で、演奏にほどよく余韻が乗った表現を楽しめる。ピアノトリオは、ピアノのタッチに適度で心地よい柔らかみがあり滑らか。ウッドベースも、しっかりとふくよかなボトムを持ちつつも上品な質感を備え、必要以上に前へとしゃしゃり出てくることがない。ドラムスも、シンバルの質感が丁寧になめされ、決して粗っぽい音にならずに聴き心地がいい。

クラシックでは、ホールの残響を多めに描き、全般的に大人しめの表情を聞かせる。すべての楽器の音に柔らかな舌触りがあり、音がきつくならない。加えて、内声部の音階の動きなどに連続性があり、繊細な表情も拾うのだが、それがこれ見よがしにならずに、空気感や演奏の抑揚が自然と耳に入ってくるような丁寧で品位の良い表現だ。

ポップスやロックでも、耳触りが良い上品さを持ちマットな聴き心地があるが、それが行き過ぎずに丁度良い具合だ。長時間のリスニングでも聴き疲れなく音楽を楽しむことが出来るリッチなサウンド。バランスが良く、音楽ソースのジャンルも選ばない。

【音楽ジャンル相性】
ポップス/ロック:A
ジャズ:A
クラシック:A


■9機種の一斉試聴を終えて

以上、5万円以内のプリメインアンプを一斉試聴してみたが、今回は特に評価の高いモデルを集めたこともあり、掛け値無しに、いずれの機種もそのコストパフォーマンスの高さを強く認識させられた。ラインアップも、デジタルアンプを搭載する手のひらサイズモデルから、デスクトップサイズ、そしてフルサイズまでと多岐にわたり、選択肢も実に広い。

傾向的に言えば、フルサイズの機種は、その姿からも想像できるように、上位機と同様の傾向を持つ、トップダウン的な設計思想が実現されていた。それは、今回の機種より一回り大きい、A4サイズのリファレンスシリーズを展開するティアックも同じだ。ただ、デノン PMA-30に限っては、フルサイズのPMAシリーズとは異なったキャラクターを持ったラインと言えるだろう。

また、手のひらサイズのFX-AUDIOとフォステクスに関しては、サウンドの完成度やコストパフォーマンスにおいて、同価格帯の小型機と比べても抜きんでた存在感を誇っていると言えそうだ。

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