新たな一歩を踏み出した
RHAがまたやった! 平面駆動イヤホンならではの音を手頃な価格で、「CL2 Planar」レビュー
■いよいよ試聴! まずはバランス/アンバランスを聴き比べ
プレーヤーはAstell & Kernの「A&UltimaのSP1000」を用い、付属のアンバランスケーブルとバランスケーブルを組み合わせて音質を確認した。
●φ3.5mm アンバランスケーブル
一聴して鳴りの良い低域は興味深い。「平面磁気駆動」ということで特殊な音を想像しがちだが、プレーヤーのボリューム値は他のイヤホンと同じレベルで、鳴りっぷりが良い。特に低域楽器の帯域は豪快と言えるほどで、ストレスが無いのも特徴。恐らく平面コイルが面で振動板を駆動することで変形が少なく、結果、音にも歪みを与えないのだろう。
例えばバスドラムは、輪郭が曖昧になったり、あるいは硬くなることなく、実にナチュラル。また余分な振動で後を濁さず、空間がクリアでアタック後に振動が収束する様子もリアルだ。本機ならではの世界と言える。参考までに非力なプレーヤーでも試してみたが、低音の鳴りっぷりの良さは変わらない印象で、本機の平面磁気駆動は効率面でも優秀なようだ。
歪みの少なさは、言い換えると振動板自体が作り出す余計な音がないということだ。そして、そういった不要な残響音がないため、中高域の開放感も上々。ワイドに展開される音場、微少音を逃さない音数の多さ、豊かな倍音を伴った音色のリアルな再現など、どの角度から聞いても新しい発見がある。カーペンターズの「Top of the World」(96kHz/24bit/FLAC)では、再生開始から12秒程度から音源中のフロアノイズが徐々に大きくなる様子まで如実に分かる。
一方、参考までに、非力なプレーヤーと組み合わせると、ボーカルが少し曇った印象を受けた。一般的なダイナミックドライバーを用いた製品とは異なるギャップの大きさがある。先述の通り、低域の鳴りっぷりは立派だが、本機の実力を引き出すには、相応のプレーヤー、あるいはDACアンプを用意することを強くおすすめしたい。
●φ2.5mm バランスケーブル
本機の傾向として、アンプの駆動力が増すと中高域の鮮度が増すことが挙げられる。そういった意味ではバランス接続と相性が良い。同じプレーヤーでもバランスとアンバランス出力ではアンプ回路が異なるので、厳密な比較はできないが、今回のリスニング環境では、バランス接続にしたら高域が元気でボーカルもギラギラする印象になる。これは銀コートケーブルの影響かもしれない。
だがここから、イヤーチップを付属のコンプライに交換するとバランスが大幅に改善され、キラキラとした美麗なサウンドが楽しめる。コンプライは低反発素材で音を吸収するのに加え、耳垢ガードも高域をフィルタリングしてマイルドにする効果があるので、使いこなしとして参考にして欲しい。
音の滑らかな繋がりは、SP1000と本機の組み合わせならではと思えるものだ。高域の刺さりが気になる場合は丁寧にエージングをかけたり、ケーブルを交換しありなど、ユーザー側であれこれ調整するのも楽しいだろう。
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