長時間テストで完成した万能セッティング
“全部入り” REGZA「Z720X」で、どんなソースも高画質に観たい? その願い、画質のプロが叶えます
■レッツ、画質チューニング
まずは最も視聴時間が長いであろう地デジのコンテンツを用いて、大まかな方向性を決めていく。とはいえ、ここでお世辞にも画質が良いとは言えない民放のバラエティ番組を使うのは避けたいので、事前に録画しておいた『君の名は。』や、ウィンブルドンのテニス中継、歌番組の『SONGS』などを使って、Z720Xのメディアプレーヤーで再生しながら調整する。
あまり知られていない裏ワザなのだが、HDMIではなくDLNA経由(メディアプレーヤー)で再生した場合には、「地デジビューティーX PRO」による1440→1920アップコンバートの恩恵が受けられるのだ。外部レコーダーで録画した地デジ番組の再生画質にこだわりたい方は是非お試し頂きたい。
(1)ベースは標準モード
さて、画質調整のベースに選んだのはやはり「標準」モードである。液晶の弱点をカバーするための長年のノウハウがぎっしり詰まったモードだ。しかし店頭で有機ELに対抗するためなのか、Z720Xのプリセット値は少々やりすぎ感がある。
まず最初に倍速モードを「インパルス」に変更しよう。1/120秒毎(ビデオコンテンツの場合)にバックライトを全消灯させるモードだが、これだけで液晶特有の残像感はかなり解消され、映像にキレ味が出てくる。さらに副産物として輝度も落ちることから、ギラギラ感も低減され、まさに一石二鳥だ。
ただし、この状態だと少し暗くなり過ぎたので、「明るさ検出」をオフにして、「バックライト」を手動で「30」から「42」に上げた。よっぽど外光の眩しい部屋でない限り、バックライトの明るさはこのくらいあれば十分だと思う。
(2)色の濃さ
次に色の濃さだが、全体的に色が強めに出るZ720Xではマイナス方向への調整となる。
まずは「色域設定」を「オート」から「標準」に変えよう。色域復元が入る「オート」は派手さが強調され、余計に色が濃くなったように感じられるからだ。また、前述したとおりZ720Xは赤味が強い傾向があり、「標準」モードでは色相もマゼンタに寄っている。そこで「カラーイメージプロ」から基準色のレッドの「色の濃さ」を「-7」に、ブルーの「色の濃さ」を「-2」に下げた。この際にマゼンタをいじらないのがポイントだ。仕上げに映像メニューを一番上の階層まで戻り、「色の濃さ」を「-2」して、これでようやく色の濃さと色合いが適正になる。
ところで、この色が濃すぎる問題については、今回の取材結果をふまえて、今月中に実施予定のファームウェアアップデート(関連ニュース)で若干の修正が加えられることになった。そのため、今回の設定値を試される時は、必ずアップデート前に行い、その画を眼にしっかり焼き付けて頂いた上で、アップデート後に再調整して欲しい。