長時間テストで完成した万能セッティング
“全部入り” REGZA「Z720X」で、どんなソースも高画質に観たい? その願い、画質のプロが叶えます
(3)色温度
色温度については、「標準」モードの場合、「オート」では10000Kを超えてしまう。これはREGZAに限った話ではないのだが、店頭向けの「あざやか」モードならまだしも、標準(スタンダード)系で10000Kオーバーは高すぎると思う。一体 “誰得” なのか。少なくともデフォルトは9300K相当の「7」にすべきだろう。
なおREGZAの「標準」モードは高めの色温度で使うことを前提に画作りが行われているため、「2」(6500K相当)を選んでしまうと、偏った色合いになって修正が難しい。もし映画を本来の色温度で観たいというのであれば、やはり「映画プロ」モードを選ぶのが最善だ。しかし、試しに調整済みの「標準」モードで、UHD BDやBDを再生してみて欲しい。ほとんど違和感がないどころか、見応えという点では「映画プロ」モードに勝っているはずだ。これぞマコッター・マジック!?
(4)ノイズリダクション
続いてノイズリダクションの設定だ。「標準」モードにおけるノイズリダクションのかけ方は、どちらかと言うと、地デジのスポーツ中継やバラエティ番組などの、酷いブロックノイズ対策に主眼が置かれているように感じる。そのため比較的ノイズの少ない番組では、ノイズリダクションが強すぎて、ディテールまで潰れてしまうのがモッタイナイ。
目線を下に合わせるか、上に合わせるか。実に難しい問題だが、今回は4K放送や4K配信、UHD BDまで視野に入れた画質調整である。低画質なコンテンツはある程度切り捨てて(ノイズリダクションをかけたところで高画質になるわけではないのだ)、目線を上に合わせることで高みを狙いたい。
そこで「ダイナミックNR」(3次元ノイズリダクション)を「オート」から「4」に、「4Kノイズクリア」(モスキートノイズ低減)を「オート」から「3」にしよう。ノイズリダクションを弱める方向だ。それと同時に「レゾリューションプラス」と「カラーテクスチャー」の「ゲイン調整」を「5」から「4」にするのもお忘れなく。S/Nを上げるためにはノイズリダクションと超解像の調整はセットなのだ。
(5)疑似HDR化
最後に明部と暗部の調整を行う。これは白飛びや黒浮きといった、地デジ番組の送出に多く見受けられる問題への対策である。具体的には「アドバンスドHDR復元プロ」を「オート」にしたままで、「質感リアライザー」を「手動」で「明部:0」「暗部:9」に変更する。
ハイライト部分の階調を復活させ、暗部も黒潰れしない範囲で沈めるという、いわゆる疑似HDR的なアプローチだが、見た目のダイナミックレンジはかなり改善される。
以上で画質調整は完了だ。
取材に同席したK編集長も「液晶テレビで地デジを観ているとは思えない!」と太鼓判を押す美麗画質に仕上がった。隣で鼻高々の筆者だったが、これもひとえにZ720Xの優秀な映像処理技術の賜物である。