キーマンが詳細を解説
クアルコム「aptX Adaptive」体験会レポート − Bluetoothの未来を担う新コーデックをいち早く聴いた
■評価基板で実演されたaptX Adaptiveの動き
マクリントック氏は最後に、aptX Adaptiveが動的にビットレートを変化させる様子を、aptX Adaptive評価基板と、Bluetooth伝送状況がモニターできる試験用スマートフォンを使い実演した。
スマートフォンからaptX Adaptiveにてデータを送信しつつ、マクリントック氏が基板のアンテナの接続具合を手動で調整することで、スマートフォンのディスプレイ上でリアルタイムにデータレートが変動。スマホの画面をスクリーンにミラーリングすることで、参加者全員が無線環境と数字の動きを結びつけて追うことができた。
無線環境に応じてビットレートを変化させる、という仕組みが実際にはどのように動作するのか、来場者にも具体的に伝わりやすいデモとなっていた。
直後に設けられた質疑応答の時間では、マクリントック氏と大島氏に参加者から多くの質問が寄せられた。「将来的にaptX Adaptiveを越えるコーデックを策定する予定はあるのか」「無圧縮伝送は実現可能か」という今後のコーデック開発について尋ねられたマクリントック氏は、常に新しい技術を反映して開発を続けていると回答。例えば96kHz/24bitを越えるサンプリングレート送信できるコーデックが実現できるよう研究を続けていると回答。
「完全ワイヤレスイヤホン等で重要な、バッテリー持ちの改善は可能か」という質問には大島氏が回答。消費電力はコーデックよりもハードウェアの影響が大きいが、クアルコムの最新チップであるQCC5100シリーズでは最新技術によって大幅な消費電力改善が実現すると述べた。
■実際に聴き比べても分かる音質の違い
マクリントック氏に代わって登壇した鴻池氏は、aptX Adaptiveの要点をまとめつつaptX AdaptiveとSBCコーデックの聴き比べを実施した。
再生システムは、クアルコムのデジタルアンプ「DDFA」を採用するデノン「PMA-60」に、aptX Adaptive評価基板とDALIのブックシェルフ型スピーカー「MENUET」を接続。
データのトランスミッターとして、データレート変動の実演でも登場した試験用スマートフォンと、Bluetoothコーデックの切り替え機能を持つソニーのウォークマン「NW-WM1A」を使用。WM1AからはSBC、スマートフォンからはaptX Adaptiveにて、ポップスとジャズを1曲ずつ再生した。