キーマンが詳細を解説
クアルコム「aptX Adaptive」体験会レポート − Bluetoothの未来を担う新コーデックをいち早く聴いた
音質の違いについて鴻池氏は、「良い再生機器で聴いたSBCでも意外に悪くないと思われるかも知れないが、aptX Adaptiveになると倍音がより豊かで、ポップスのボーカルでは細かなニュアンスの豊かさや生き生きした様子が再現できている。ジャズでは楽器の音が広がっていく空気感や音の粒立ち、音の立ち上がりにも優れていて、表現力の向上が感じられると思う」と解説。鴻池氏から感想を尋ねられた参加者の中からも、短い試聴の中でコーデックの違いが体感できたといくつかの手が上がった。
鴻池氏は音質以外の点についても、音の間引きを行わない圧縮方法を用いている為聴き疲れしにくい点、接続の安定性が向上した点を大きく取り上げ、「動画配信サービスでも、通信の悪い場所ではやや画質を落としてでもスムーズな再生を優先するようにできている。音声もそのような技術が出てくるのは当然の流れではないか」と評価した。
■さらなる広がりを見せるワイヤレスオーディオに注目
比較試聴で使用したシステム以外に、ワイヤレスオーディオの現況を表す参考製品として、会場ではaptX/aptX HDに対応するオーディオメーカー各社のBluetooth製品を多数展示した。
ヘッドホンでは、aptX HD対応かつフルデジタル方式ドライバーを採用したオーディオテクニカの「ATH-DSR9BT」「ATH-DSR7BT」、イヤホンでは同じくaptX HD/フルデジタル対応で、プッシュプル方式のドライバーを搭載した「ATH-DSR5BT」、MMCX端子を持つイヤホンに接続し、aptX受信に対応させるワイヤレス化ケーブル「RC-BT」とMMCX搭載イヤホン「F9 PRO」「FH1」が用意された。
送信機器は、Astell&Kernの「A&ultima SP1000」、「AK380」や、アイリバーACTIVOブランドの「CT10」、FiiOの「M7」、ソニーウォークマン「NW-WM1A」、その他Android 9.0搭載でBluetoothコーデックが選択可能なスマートフォンまで幅広く展示。また、セパレート型スピーカーでは“aptX HD世界初対応”のクリプトン「KS-55」も用意された。
各回終了後も、これらのaptX対応製品や評価基板の試聴、あるいはマクリントック氏や大島氏へ熱心に質問を向ける参加者が多かった。音質を最重要視するオーディオファンの方々にとっても、ワイヤレス再生に対する関心は改めて高いということを改めて窺い知ることができた。