【特別企画】USB入力搭載のPCスピーカー最高峰
最小スペースで最高水準のサウンド。クリプトンのアクティブスピーカー「KS-55」でニアフィールド再生を堪能
■ヘッドホン再生では味わえない立体的な表現力
スピーカー再生の醍醐味は、ヘッドホン再生では味わえない自然な音の広がりと奥行き方向の距離感、音像の前後感といった立体的な表現力にある。その上で、KS-55における浮き立つようなセンター定位は素晴らしい。スピーカーの存在を感じさせない、音離れの良い描写であり、ヘッドホン特有の頭内定位とは一線を画すナチュラルなものだ。
ヘッドホンにも頭内定位を解消する取り組みを行うモデルも存在するが、個人差も大きく、万人に対して有効とは言いがたい。だからこそ、まず本機のような優れたコンパクトモデルで、スピーカー再生ならではの自然な音場感を味わってほしいのである。
■ニアフィールドリスニングにおける理想のセッティングも検証
しかし、これはあらゆるモデルにおいて言えることだが、スピーカーを置くだけでは理想的な音場感は得られない。KS-55のようなコンパクトな製品であっても同様だ。スピーカーのセッティングにおいては、左右それぞれのスピーカーとリスナーの頭部を頂点とした正三角形となるように三辺を同じ距離とすることが理想である。
さらに一般的なスピーカーでは、トゥイーターとリスニング時の耳の位置が同じ高さとなるよう合わせることがセオリーだ。なぜならトゥイーターが担当する高域は指向性が強く、耳の感度が高まる2〜6kHz近辺の音波も含まれることから、音像定位がより明確に把握できる。よって、トゥイーターの位置に対して耳の高さを合わせる必要があるわけだが、デスクトップ型だと高い場所へ置くなど理想的な位置へセッティングすることは難しい。
そこでKS-55では、高さではなく、トゥイーターから放たれた音波が耳に向かうよう角度をつけることで、理想に近い位置関係が構築できるように設計されている。抜けの良さも含め、明瞭度が大きく異なるはずだ。
ちなみにKS-55のクロスオーバー周波数は1.2kHzである。これは一般的なスピーカーよりもかなり低い周波数であり、それだけトゥイーターが担当する帯域(周波数特性の上限は60kHz)が広いということだ。もちろん、ウーファーとの音の繋がりの良さによって、シームレスな特性を実現しているので、どちらのユニットの優劣を決めるものではないが、サウンド全体の中で、大きなウェイトを占めるトゥイーターに対してセッティングを詰めてゆく意味は大いにあるといえるだろう。
また水平方向の角度については、左右とも正面に向けるか、多少内振りにしてユニットから放たれる音波と耳への入射角を揃えるかの2パターンが一般的だ。リスニング距離を長くとるならば正面に向けるセッティングが良い場合もあり、自然な音場の広がりが得られるが、ニアフィールドの場合は内振りの方がセンター定位のフォーカス感が高まる傾向となり、特にボーカル系を良く聴く方にはおすすめだ。
ちなみにレコーディングスタジオのモニタースピーカーも、ミックスエンジニアが作業する位置に合わせ、内振りにセッティングされている。左右の広がりや音像定位の調整もそうした環境で行っていることを考えると、聴く側に対しても同様のセッティングとした方が制作者の意図に近いサウンドとなるのではないだろうか。
■置き場所も重要。セッティングを変えながら音の変化を検証
もうひとつ、重要なのがスピーカーを置く場所である。専用スタンドが用意できるようなスペースに余裕のあるケースは稀で、多くはノートPC回りなど、まさにデスクトップ=卓上という環境にセッティングすることになる。
もちろん、設置面は、平面性の高い安定した硬い場所が理想である。左右のスピーカー間隔は30cm以上離したいが、音のことを考えるとスピーカーとの間には反射の原因となるPC画面など置かない方がよい。しかしそれでは実際の使用シーンを想定すると難しい提案となるので、この際は考慮しないでおこう。
試聴では再生機器にMacBook Proを使用。まずはガラス製ラックの上に置いたMacBook Proの両サイドへKS-55をセットした。自然な音場再生にとって大事な要素の一つだが、左右スピーカーの前位置を一直線上に並ぶよう設置したい。これはPCの筐体やキーボードの位置などを物差しのように参考にして左右スピーカー位置が揃うよう設置するとよいだろう。
試しにMacBook Proの一番手前側のラインに沿うようスピーカーを置き、角度をつけずに真正面を向けて音出しをしてみる。KS-55はスピーカーベースとともに設置すると、バッフル面がわずかに上向きとなるよう設計されており、ユニットと耳の位置の関係性についてもある程度補完されていると言えよう。実際にこの環境で音を聴いてみてもサウンドバランスに破綻がなく、低域の輪郭感も明瞭で、ダンピングの効いたリズムが聴こえてくる。ボーカルのフォーカスも高く、落ち着いたタッチで表現してくれる。ただ、まだまだ伸びしろがあるはずだ。
スピーカー再生の醍醐味は、ヘッドホン再生では味わえない自然な音の広がりと奥行き方向の距離感、音像の前後感といった立体的な表現力にある。その上で、KS-55における浮き立つようなセンター定位は素晴らしい。スピーカーの存在を感じさせない、音離れの良い描写であり、ヘッドホン特有の頭内定位とは一線を画すナチュラルなものだ。
ヘッドホンにも頭内定位を解消する取り組みを行うモデルも存在するが、個人差も大きく、万人に対して有効とは言いがたい。だからこそ、まず本機のような優れたコンパクトモデルで、スピーカー再生ならではの自然な音場感を味わってほしいのである。
■ニアフィールドリスニングにおける理想のセッティングも検証
しかし、これはあらゆるモデルにおいて言えることだが、スピーカーを置くだけでは理想的な音場感は得られない。KS-55のようなコンパクトな製品であっても同様だ。スピーカーのセッティングにおいては、左右それぞれのスピーカーとリスナーの頭部を頂点とした正三角形となるように三辺を同じ距離とすることが理想である。
さらに一般的なスピーカーでは、トゥイーターとリスニング時の耳の位置が同じ高さとなるよう合わせることがセオリーだ。なぜならトゥイーターが担当する高域は指向性が強く、耳の感度が高まる2〜6kHz近辺の音波も含まれることから、音像定位がより明確に把握できる。よって、トゥイーターの位置に対して耳の高さを合わせる必要があるわけだが、デスクトップ型だと高い場所へ置くなど理想的な位置へセッティングすることは難しい。
そこでKS-55では、高さではなく、トゥイーターから放たれた音波が耳に向かうよう角度をつけることで、理想に近い位置関係が構築できるように設計されている。抜けの良さも含め、明瞭度が大きく異なるはずだ。
ちなみにKS-55のクロスオーバー周波数は1.2kHzである。これは一般的なスピーカーよりもかなり低い周波数であり、それだけトゥイーターが担当する帯域(周波数特性の上限は60kHz)が広いということだ。もちろん、ウーファーとの音の繋がりの良さによって、シームレスな特性を実現しているので、どちらのユニットの優劣を決めるものではないが、サウンド全体の中で、大きなウェイトを占めるトゥイーターに対してセッティングを詰めてゆく意味は大いにあるといえるだろう。
また水平方向の角度については、左右とも正面に向けるか、多少内振りにしてユニットから放たれる音波と耳への入射角を揃えるかの2パターンが一般的だ。リスニング距離を長くとるならば正面に向けるセッティングが良い場合もあり、自然な音場の広がりが得られるが、ニアフィールドの場合は内振りの方がセンター定位のフォーカス感が高まる傾向となり、特にボーカル系を良く聴く方にはおすすめだ。
ちなみにレコーディングスタジオのモニタースピーカーも、ミックスエンジニアが作業する位置に合わせ、内振りにセッティングされている。左右の広がりや音像定位の調整もそうした環境で行っていることを考えると、聴く側に対しても同様のセッティングとした方が制作者の意図に近いサウンドとなるのではないだろうか。
■置き場所も重要。セッティングを変えながら音の変化を検証
もうひとつ、重要なのがスピーカーを置く場所である。専用スタンドが用意できるようなスペースに余裕のあるケースは稀で、多くはノートPC回りなど、まさにデスクトップ=卓上という環境にセッティングすることになる。
もちろん、設置面は、平面性の高い安定した硬い場所が理想である。左右のスピーカー間隔は30cm以上離したいが、音のことを考えるとスピーカーとの間には反射の原因となるPC画面など置かない方がよい。しかしそれでは実際の使用シーンを想定すると難しい提案となるので、この際は考慮しないでおこう。
試聴では再生機器にMacBook Proを使用。まずはガラス製ラックの上に置いたMacBook Proの両サイドへKS-55をセットした。自然な音場再生にとって大事な要素の一つだが、左右スピーカーの前位置を一直線上に並ぶよう設置したい。これはPCの筐体やキーボードの位置などを物差しのように参考にして左右スピーカー位置が揃うよう設置するとよいだろう。
試しにMacBook Proの一番手前側のラインに沿うようスピーカーを置き、角度をつけずに真正面を向けて音出しをしてみる。KS-55はスピーカーベースとともに設置すると、バッフル面がわずかに上向きとなるよう設計されており、ユニットと耳の位置の関係性についてもある程度補完されていると言えよう。実際にこの環境で音を聴いてみてもサウンドバランスに破綻がなく、低域の輪郭感も明瞭で、ダンピングの効いたリズムが聴こえてくる。ボーカルのフォーカスも高く、落ち着いたタッチで表現してくれる。ただ、まだまだ伸びしろがあるはずだ。