【特別企画】複数ケーブルの違いをチェック
電源ケーブルで “画質” も大きく変わる! 「オカルトじゃない変化ぶり」をサエクのケーブルで検証
少し話が横道にそれたが、電源ケーブル交換による差を確認する際の注意点も記しておきたい。映像装置の多くは電源投入直後など光源が冷えていて発光効率が低いと考えられる場合は、ドライブを掛けて短時間で立ち上がるように設計されていることが多い。ランプ式のプロジェクターは顕著で、電源投入直後は映像が設定標準より明るいことが多く、30分程度で落ち着くのが普通だ。
有機ELテレビの場合は、連続表示時の輝度低下に注意が必要。静止画に近い映像では、数秒で輝度がグングン下がる。普段の動画視聴では気にならないが、静止画に近い映像で評価をする際はそうした現象が起こっていることを踏まえて差し引く必要がある。2セット並べて比較という手段もあるため、今後試してみたいと思うが、個体差をゼロに近づける必要があるなど、別途検討すべき課題は多そうだ。
■4種の電源ケーブルで映像の変化を視聴分析!
前置きが長くなったが、上記を踏まえ、ケーブルの交換は、現時点で最上級と言えるUHD-BDプレーヤー「DP-UB9000」に注目し、その限界を探る方向で、純正ケーブルを基準に、サエクコマースが取り扱うLight Houseブランドの「P-100」、SAECブランドの「PL-7000」「PL-8000」の順に交換して目視で確認した。
テレビはパナソニックの有機ELテレビ「TH-55FZ1000」を使用。映像ソースは高画質で筆者もリファレンスの1つとしている『ハドソン川の奇跡』からチャプター5を選択。日没後のタイムズスクエアで漆黒と煌めくネオンのコントラストを、日中の訓練回想シーンで日差しの力強さなど、画柄がバラエティーに富んでいて評価にも使い易い。
まずUB9000の純正ケーブルは、透明感のある奥行きを感じる映像が好印象。基礎体力が高く、クリスタルクリアで目の覚めるような鮮烈な高画質が持ち味である。いっぽう、硬くなり過ぎずバランスの良い映像が絶妙で、ケーブル込みで入念に検討した成果だろう。付属品の電源ケーブルといえども画質面で申し分なく、エンジニアの魂を感じる。
Light House「P-100」は、大出力パワーアンプ用に大電流が余裕で流せるように設計されたもの。プラグ部がハッベル製のホスピタルグレード品を用いるなど、より精密な作りという点で純正ケーブルと異なる。
こちらに交換すると、わずかながら解像度がアップしたように見える。しかし、至近距離で目を凝らすと、粒状ノイズが立って見えてくる感がある。ソースに含まれる微細なノイズをも引き出す効果があるのか、または異なる影響なのかは判断できないが、適正視距離からは粒が立つことで色が強く濃く感じられ、「濃厚な発色」に映るだろう。甲乙の判断は難しい。