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DAVEやManhattan DAC IIと組み合わせて試聴

エソテリックのネットワークトランスポート「N-03T」を、人気DAC/NASと組み合せテスト

公開日 2019/01/21 13:58 土方久明
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ハイレゾ音源の良さをありのままに再現する、高いリニアリティ

まずは相方となるD/Aコンバーターに同社の「D-02X」を用い、純正メーカー同士の組み合わせで音を探る。NASにDELA「N1ZS/2」を用い、ノルウェーの高音質レーベル2Lからリリースされた352kHz/24bitの『FOLKENTONER』を再生した。

ESOTERICのD/Aコンバーター「D-02X」(価格:1,500,000円/税抜)と組み合わせると、最大でDSD11.2 MHz、PCM368kHzでの再生が可能。デザインのマッチングはもちろん、安定したさすがのクオリティを聴かせてくれた

音が出た瞬間、驚異的な静寂感に息を飲む。響きの多い教会でワンポイント収録された合唱団の歌声が、レイヤー状となってスピーカーの左右上下を大きく超えて展開する。ハイスペック音源の良さをありのままに表現する高いリニアリティだ。

N-03Tではネットワークモジュール用とその他のデジタル回路用に電源をセパレートして、それぞれを独立した大容量トロイダルトランスで駆動する仕組みを採用している。さらに大容量のフィルターコンデンサーや、ネットワークモジュール専用電源に装備された1F(100万μF)のスーパーキャパシター「EDLC」など、デジタル機器として類を見ないほどの物量を投入している。

ネットワークモジュールとその他のデジタル回路用に合計2つの独立した大容量トロイダルトランスを搭載。電源は大容量フィルターコンデンサー、ショットキーバリアダイオード、1,000,000μFの大容量スーパーキャパシターを装備する

こうした物量こそがN-03Tが持つ高いリニアリティを裏づけているのだ。また、組み合わせたD-02Xは、旭化成エレクトロニクス社のプレミアムDACチップ「AK4490」を左右合計で16チップ、計32回路分を搭載するという構成。この細部まで賽銭を盛り込んだ2台の組み合わせからは、筆者自身もこれまでに聴いたことがないようなものすごい表現を聴かせてくれた。

ここまでの再生能力があるなら、気になるのはNASを変えた時にどのような変化が音に現われるのかということだ。そこでNASをfidata「HFAS1-S10」にチェンジして同じ曲を再生した。その結果は、背景の静寂感とサウンドステージの表現力に現われてきた。

コーラスが重なった時の重厚さはDELA、サウンドステージの広がりや天井の高さ、そして奥行き感はfidataといったように、それぞれが持つ個性を見事に描き分ける。つまりN-03Tは、NASの特性もしっかり引き出すことができるということだ。

ここで一度、NASではなくUSBハードディスクを本体に挿入して、そこに保存されたサム・スミス『スリル・オブ・イット・オール』(88.2kHz/24bit)から「バーニング」を再生した。実は本試聴の最も大きな驚きとなったのが、このUSB外付けメディアからの再生品質の高さだった。

この楽曲はセンターに定位するリアルなヴォーカルやバックミュージックとして加わるコーラス表現が聴きどころなのだが、それらが高解像度な表現で左右のスピーカーのセンターへ等身大に浮かび上がる。その美しい歌声に、思わず聴き入ってしまった。

前述のとおり、N-03Tはストレージを内蔵しないトランスポートに特化したモデルだが、もしNASを所有していなくとも、USB外付けハードディスクやUSBメモリーを接続するだけで再生ができる。これは使い勝手だけではなく、音質的にも大きなアドバンテージとして本機の魅力度をさらに高いものとしている。

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