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DAVEやManhattan DAC IIと組み合わせて試聴

エソテリックのネットワークトランスポート「N-03T」を、人気DAC/NASと組み合せテスト

公開日 2019/01/21 13:58 土方久明
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迫力が出てくるマイテック、圧倒的な情報量のコード

NASの組み合わせで聴くことができた環境に対するリニアな表現力の変化は、D/Aコンバーターを変更した時も同様だった。本機はトランスポートのためD/Aコンバーターは必須だが、これまでのトランスポートとは異なるのは、USB端子の活用によりハイサンプル音源を伝送できる点だ。

今回、現在のUSB-DACの中でも話題性の高いMYTEKの「MANHATTAN DAC II」とCHORDの「DAVE」という、2つのD/Aコンバーターを組み合わせてみた。なお、音源は純粋にN-03Tの実力を図るべく、本体のUSB(Aタイプ)の端子に外付けのHDDを接続している。

まずはMANHATTAN DAC II。サム・スミスの楽曲を再生すると、D‐02Xで聴けた解像度の高さとアキュレートな音調をベースとして、適度な迫力のあるサウンドが出てきた。筆者はこれまで何度かMANHATTAN DAC IIのサウンドに触れてきたが、N-03Tではその特徴が際立つ印象だ。

MANHATTAN DAC IIと組み合わせ。適度に迫力のあるサウンドを実現する。この組み合わせでは、最大でDSD5.6MHz、PCM 384kHzまで対応

一方、CHORDの人気モデルであるDAVEでは、圧倒的な情報量がより際立ってくるよう。また情緒的なヴォーカル表現が特に印象的だ。これもDAVEが持つサウンド的な魅力を良く表現していると感じた。

CHORDの人気モデル「DAVE」では情報量の多さが際立つ。この組み合わせでは最大PCM 384kHz、DSD11.2MHzまでDoPで対応

今回2台のDACと組みわせて確信したのは、パソコンから再生した時よりも圧倒的に情報量が多く、音調もDACそのものの特性を引き出してくるということだ。さらに、N‐03T自身が解像感の高さを個性としていることも分かった。N-03Tの優れた音質と「DACの個性をスポイルせず、その良さを引き出す能力」には高い感銘を受けたと報告しておこう。

CDであれネットワークであれこのことは、トランスポートとして最も重要なことだ。それぞれ解像度重視と情緒的表現と高いレベルの中で変化を見せる、ピュアリティこそがN-03Tが持つ大きな魅力なのだと再認識した。

また試聴を進めていて改めて特筆したいのが、専用アプリの素晴らしいユーザビリティだ。このアプリは、NASの初回アクセス時にアルバムアート画像をアプリ内にキャッシュする。検索時のスクロールや拡大縮小などの操作もスムーズに行え、もちろん録音年代や作曲者、ジャンルなどへのソート機能も備えている。

またN-03TはTIDAL、Qobuzなどのストリーミングサービスも専用アプリ経由から聴くことができる。もはやトランスポートという以上に、最新の音源ソースに多角的に対応する「オーディオハブ」というべき完成度を誇っているのだ。



N-03Tは、長らくファイル再生をメインとしてきた筆者に対しても、今回の試聴で多くの発見をもたらしてくれた。ネットワークトランスポートが持つさまざまな優位性を、エソテリックならではのサウンドで楽しませてくれる。自信を持って推薦できる、極めて優秀な製品である。

(土方久明)

本記事は季刊・Net Audio vol.31 Autumnからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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