[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域:第230回
マニアちゃんは語りたい!オカルトじゃない、イヤホンの力を引き出す『イヤーピース座談会』
■だいせんせいは時空を超えて
高橋: さて、そんな具合でイヤピにこだわりまくっている皆さんですが、これまでに特にイヤピ選びに苦労したイヤホンってあったりしますか?
だいせんせい: Sennheiser「IE 800」ですかね。これ、イヤーピース側にもプラスチックのパーツが仕込まれていて、そのパーツとノズル先端が合わさってイヤーピースをがっちり固定するという構造なんですよ。
高橋: 装着中にイヤーピースが外れて耳の中に残ってしまうということを無くすためのアイディアだとは思いますが、その代わりに一般的なイヤーピースとの互換性がない……
だいせんせい: 僕の耳にはその付属イヤーピースが合わなくて……でも本当にIE 800は好きなのでどうにかもっとフィットさせたくて、純正イヤーピースからそのロックパーツだけを摘出して他のイヤピに移植しました……申し訳ない気はしたのですが……
成藤: 私の場合はこれ、ちょっと面白そうだと思って購入した海外のイヤホンなんですけども、
高橋: あ、はい……
成藤: これが「ノズル太くて短い!ハウジングでかい!」というフィットしにくいイヤホンの典型でしてな。でも音のポテンシャルは感じられたのでどうにかしたいと、この止水パッキン、Oリングでノズルに段差をつけて、イヤーピースの固定位置をずらしたりして、何とかフィットさせようとしたり、したな……
高橋: 自分はけっこう最近の製品ですけど、Astell&Kern「AK T8iE MkII」。標準のいわゆる「ダース・ベイダー」イヤーピースが、合う人にはすごくフィットして超快適らしいんですけど、僕には合わなくて。でもイヤピをスパイラルドットにしたら装着感はもちろん、音もさらにすごく僕の好みにフィットしたんですよ。僕の中での「イヤピで装着感も音も激変した経験第1位」というか。現在はプラプラに交換してさらにフィットしています。
だいせんせい: みんなそれぞれ苦労させられたイヤホンがあるんですね……
成藤: このイヤホン何やってもダメだ……からの、これだ!このイヤピだ!という成功体験があってこそ、マニアが生まれる。
だいせんせい: あれは僕がまだe☆イヤホンで働き始める前、北海道で暮らす学生だった頃のことでした……札幌から遠出してきて、秋葉原のe☆イヤホンでSpinFitを買ったんですよね……
高橋: 今度は遠い目にふさわしい回想シーンっぽいぞ……
だいせんせい: でもそれをSennheiser「IE 80」に付けてみたら期待してたほどじゃなくて、「イヤピース交換なんてやってみたら大したことないな」って思ったんです。でもふと思いついて、そのSpinFitにMonster「SuperTips」付属の軸径変換アダプタをかまして、Klipsch「X10」に付けてみたんですよ……メチャクチャよかった。
あるイヤーピースがあるイヤホンには合わなくても、他のイヤホンには合いまくることもある。それに気づいてしまったとき、ゾッとしましたね。「自分はこれからの人生、この無限の組み合わせを試し続けていくのか……」と。あれから何年経ったのかな? そうして僕は今日もイヤピを交換し続けているんです……そしてこれからも、ずっと…。
高橋: や、それ、人におすすめしちゃだめなタイプの趣味じゃないですか…。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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