スポーツにも普段遣いにも
スポーツ好きのイヤホンファン、必聴!プラントロニクス「BackBeat FIT 3100/2100」の完成度がすごい
もちろん、完全ワイヤレスの3100とネックバンド型の2100では、装着感に多少の違いがある。3100はイヤーループを含めて片側約11gという軽さもあり、約40分のランニングの間、耳にかかる重さを感じることはなかった。
2100は全体が約28gで、後頭部に浮く形のバンド部分の重みが伝わるのか、ランニングを終える頃イヤーループが触れる部分にやや違和感を覚えた。動き方にもよるが、この点はネックバンドの無い3100の方が有利だろう。
肝心の音質は、高い解像度とキレの良さをインナーイヤー型ならではの開放感で楽しめることがポイント。Always Awareイヤーピースはドライバーユニットを斜めに覆う形で取り付けられているため、一見するとそのシリコン素材が音をスポイルするように思えてしまうが、実際に音楽を聴くとそのような先入観はすぐに消える。
音の濁りやこもり、もたつきは感じられず、むしろ輪郭の整ったクリアな音が印象に残る。特定の音域を持ち上げないフラット指向のテイストで、音場は広めかつ見通し良好、軽快で小気味いいサウンドキャラクターだ。
レスポンスもいい。コードストローク中に弦の振動を一瞬止めるカッティングギターは、ブラッシングや休符がはっきり聴き分けられて “だんご” にならない。ドライバーの完成度もさることながら、イヤーピースを含めたサウンドチューニングの労がうかがえる。
低域に余裕すら覚えるのは、φ13.5mmのダイナミックドライバーによるところも大きそうだ。一般的にオープンエアーは低域再生が苦手とされるが、イヤーピースの構造も奏功しているのだろう、量感が失われていない。φ5〜6mm程度でカナル型という機種がほとんどの完全ワイヤレスイヤホンにあって、φ13.5mmのドライバーが生み出す音は個性的ともいえ、この3100と2100の音質面でのアドバンテージとなっている。
また前途の通り、耳穴を完全に塞ぐカナル型とは異なり、すき間から外音を取り込む設計だが、イヤーピースのノズルが耳穴方向を向くよう巧みにデザインされているためか、意外なほど音漏れが少ないことも強調しておきたい。
なお3100と2100の音質の違いはというと、あまり差を感じなかった。共通のドライバーユニットを採用し、同じAlways Awareイヤーピースを装着していることもあり、音の傾向はかなりよく似ている。もし2モデルのうちどちらかを選ぶ時には、安心して形状の違いと価格差で悩むといい。
スポーツ用イヤホンは、選び方が難しい。体の動かし方がまるで異なるランニングとエアロビクスでは選択基準が変わってくるし、スポーツ以外の用途も考慮するかどうか、という問題もある。
しかし「BackBeat FIT 3100」と「BackBeat FIT 2100」は、機能と音質、タフネス、価格がうまくバランスした力作だ。スポーツにも普段遣いにも活用できるため、イヤホンファンにもぜひ選択肢の一つとして試してみてほしい。
(企画協力:株式会社ゲート)