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DDFAのBTL構成で増した駆動力も魅力

“高音質×多機能×良デザイン” 実現の新プリメイン登場! デノン「PMA-150H」を聴く

公開日 2019/09/26 06:15 土方 久明
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筆者がリファレンスとして愛聴する洋楽ポップスのホセ・ジェイムス『リーン・オン・ミー』(44.1kHz/24bit FLAC)から、表題曲のトラック4を選択した。まずPMA-60ではフラットな帯域バランスをベースとして、全帯域がクリアだ。中高域が若干クールな印象もあるが、強力なベースも破綻なく再生してとにかく癖を感じない。さすがに評価が高いだけある。

それでは、PMA-150Hにスピーカーケーブルをつなぎ変え、改めて同曲を再生する。イントロの音が出た瞬間に思うのは、聴感上のSNが非常に高いこと。そして低域の制動力が更に上がり、ベースのリアリティが大きく向上しているのがわかる。PMA-60が持つ癖のない音色をそのままに、バックミュージックに対するボーカルの立体感や低域を中心として全帯域の力感と表現力が著しく進化している。

従来モデルの透明感、クセの少なさといった長所を推し進め、加えて音の立体感やパワーが向上した印象を受けた

HEOSを用いてネットワーク再生も試してみた。アンドリス・ネルソンス指揮の『ショスタコーヴィチ:交響曲 第6番 & 第7番、他』(96kHz/24bit)を再生する。The Special Fortyは比較的手頃なサイズのブックシェルフスピーカーだが、PMA-150Hでは低音域のボリュームが豊かなことに驚かされる。そしてしっかりとダンピングされ、抑揚表現に不足がないことが嬉しい。癖のない表情の中高域と正確なリズムを刻むコントラバスにより、重心が下がり快適に音楽を楽しめる。目の前には、精密に描かれたオーケストラが立体的に出現する。

HEOSアプリはレスポンスが良くネットワーク上の安定性も大幅に向上していることで、快適なネットワーク再生が可能だ。PMA-150Hを導入すれば、その瞬間から最高品質のネットワーク再生も可能になるわけで、その点でもコストパフォーマンス抜群である。

HEOSアプリを立ち上げ、iPhoneをリモコンとして使う。トップ画面は大きなアイコンで構成されソース選択もスムーズ

ヘッドホン出力の音も聴いてみた。なぜなら本機はヘッドホン専用アンプ部の設計にもこだわっているからで、その出力はPMA-60から約5.5倍に強化されている。駆動力が要求されるゼンハイザーの「HD 800S」を接続してホセ・ジェイムスを聴いたのだが、ボリュームも稼げる上、PMA-60と比べても中高域の滲みが大きく改善し、低域のダンピングもより良好になっている。ボーカルの絶対的なリアリティや情報量はハイエンドのヘッドホンアンプに譲るとはいえ、かなり良好な再生音だと言えるだろう。

最後にAmazon Alexaとペアリングしてボイスコントロールを行ってみた。スマートスピーカーとPMA-150Hの両方をネットワークに接続して、Alexaアプリから「HEOS Home Entertainment」スキルをインストールし、Alexaアプリのスマートホームでデバイスを検出すれば完了だ。「アレクサ」と話しかければ、音量調整、ミュート解除、一時停止、曲送りなどが行えた。

Amazon Alexaと連携したハンズフリー操作も、体験してみると非常に便利だ

PMA-150Hの試聴で大きく印象に残ったのは、「従来モデルからの正統かつ大幅な進化」「駆動力抜群のBTL方式パワーアンプ」の2点。PMA-150Hは上下の帯域レンジ、SN比、ダイナミックレンジなどオーディオ的な尺度と同時に音楽性も向上している。これはひとえに山内氏のチューニングによる賜物だろう。



1970 - 1980年代のオーディオ黄金期には多くの電機メーカーがオーディオに参入し、その多くは撤退した。しかしデノンは時代の流れに対応して決して屈することなく製品開発を行い、様々なモデルをリリースしてきた。PMA-150Hは、そんなオーディオブランドの知見が生かされた、オーディオ/音楽ファンのツボも抑えた機能的な仕様と音作りが魅力だ。

置きやすさ、活用の幅、音質。いずれもツボを抑えた魅力的なプリメインアンプだ

良質なマテリアルを徹底して採用したことと、名手・山内氏のチューニングにより、オーディオマニアでも納得できる再生能力を備える本機の登場で、“デザインシリーズ”自体がまた1つ上の再生能力を身につけたと言っていいだろう。機能的にも音質的にも抜群のコストパフォーマンスを持つ1台である。

(土方 久明)

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