“Grandioso”の威信をかけた弩級セパレートプレーヤー。エソテリック「Grandioso P1X/D1X」を聴く (2/2) - PHILE WEB

HOME > レビュー > “Grandioso”の威信をかけた弩級セパレートプレーヤー。エソテリック「Grandioso P1X/D1X」を聴く

新トランスポートメカニズム、ディスクリートDACを搭載

“Grandioso”の威信をかけた弩級セパレートプレーヤー。エソテリック「Grandioso P1X/D1X」を聴く

公開日 2019/11/06 09:45 藤岡 誠
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

桁違いのディスクリートDACを搭載した画期的なモノラル機「D1X」

Grandioso D1X

「Grandioso D1X」はモノブロックのD/Aコンバーターだから2台セットとなる。内容面では、前述したディスクリートDACの採用に注目されたい。

ディスクリートDACを採用したタイプは、内外のいくつかのメーカーの製品にも見受けられるが、本機のそれは桁違いの内容で本機専用に開発されている。CDの微小レベルのD/A変換精度やS/N比は格別の能力を示し、旧作の36bit処理のDACを明らかに凌駕ている。結果的に素晴らしい質感のサウンドが楽しめる。

完全自社設計のディスクリートDAC「Master Sound Discrete DAC」は、64bitの高解像力で、DSD 22.5MHzやPCM 768kHzの再生にも対応。全処理を自社製FPGAアルゴリズムで行い、汎用DAC ICを使わないディスクリート回路設計で、細部まで独自の思想を貫徹している

詳細は省くが、基板上に8素子のディスクリートDACが片chに2個ずつ構成され、合計4パターンのDACが合理的かつ見事に展開されている。そのパターンは、あたかも羽を広げた蝶のようである。このディスクリートDACの採用によって、エソテリックが目指した躍動感とエナジー感の完全な再現が可能になったということだろう。

D1Xの内部(左が上面/右が底面)。アナログ回路はデジタル回路からの電気的なアイソレーションを徹底。さらに各電源回路も独立させている

電源部はデジタル回路用とアナログ回路用にトロイダルコア型トランスを2個使用。整流コンデンサーの合計容量はやはり大容量。モノブロックの2台分の合計で1,300,000μFとなっている。ちなみに、採用されているコンデンサーは「EDLC(Electric Double-Layer Capacitor)」と呼ぶ電気自動車産業へ向けた次世代の電源用コンデンサーで、驚異的な大容量が注目されている。

デジタル入力はRCA×2、XLR×1、TOS×1、USB×1。もちろんP1Xとの接続用にES‐LINKのHDMI端子もある。なお、USBでは、768kHz/32bitまでのPCMと22.5MHzまでのDSDを入力することが可能。アナログ出力はRCA×1(モノラル)、XLR×1(モノラル)。XLRは独自の電流伝送ES‐LINK Analogに切り換えて対応機器と接続することも可能だ。

背面端子部。デジタル入力はES-LINK×2、XLR×1、RCA×2、光デジタル×1、USB(USB2.0 準拠×1(B端子)を装備する

周波数特性はPCM(192kHz入力時)では5Hz - 75kHz(-3dB)、S/N比は113dBとなっている。

D1Xのクロック基板。P1X/D1Xともに独自のクロックデバイス「Grandioso Custom VCXO II」を搭載。大型の水晶片を内蔵し、位相雑音が極めて少なく、最高峰モデルに相応しい優れた中心精度(±0.5ppm)を誇る

リアル&ストレートな音質で、雑味が一切なく空間感も自然

新/旧モデルを比較しながら試聴した。いつものようにCD再生時の微小レベルにおけるD/A変換精度とS/N比をチェック。どの項目も旧型を大きく凌ぎ、エソテリック歴代を凌駕する素晴らしい能力で、世界のトップクラスだ。間違いなく、新規開発したディスクリートDACの成果といっていいだろう。

音楽再生は、一口でいえばリアル&ストレート。雑味が一切なく空間感も自然、そして高S/N比だ。当然、広いダイナミックレンジを確保している。もちろん空間再現性も自然で、データ面で旧型と大きな差はないが、実際に聴取すれば質にかなりの差異がある。

とにかく、700万円という価格である。オーディオ専門店といえども日常的に本機を聴けることはできないと思うが、何らかの機会があれば、ぜひとも試聴することをお薦めする。

(藤岡 誠)


<Specification>
【Grandioso P1X】●再生可能ディスク:SACD、CD、CD-R、CD-RW●デジタル出力:ES-LINK×1(L/P)、XLR ×2(Dual AES出力時は、2つの端子を使用するので1系統になる)、RCA×1●クロックシンク入力:BNC×1●入力インピーダンス:50Ω●入力可能クロック周波数:10MH(z ±10ppm)●入力レベル:サイン波0.5 - 1.0Vrms●消費電力:18W●外径寸法(突起部含む):本体部445W×162H×449Dmm、電源部445W×132H×452Dmm●質量:本体部29kg、電源部24kg
【Grandioso D1X】<アナログ出力>●端子:XLR/ESL-A Lch,Rch 各1(モノラル)、RCA Lch,Rch 各1(モノラル)●出力インピーダンス:XLR 100Ω、RCA 47Ω●最大出力レベル(1kHz、PCMフルスケール信号入力、10kΩ負荷時:) XLR5.0Vrms、RCA 2.5Vrms●周波数特性(192kHz PCM信号入力時:)5Hz - 75kHz (-3dB)●S/N:113dB●歪率(1kHz、D/Aコンバーター動作モードM3設定時):0.0007%<デジタル入力>●端子:ES-LINK×2、XLR×1、RCA×2、光デジタル×1、USB(USB2.0 準拠×1(B端子)●クロック入力:BNC Lch、Rch 各×1●消費電力:20W●サイズ(突起部含む):445W×132H×448Dmm●質量:Lch 23.1kg、Rch 23.0kg●取り扱い:エソテリック(株)

本記事は季刊・オーディオアクセサリーvol.173 Summerからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX

本ページからアフィリエイトプログラムによる収益を得ることがあります