現実的なサイズ/価格帯のオーディオ用バッテリー
ホンダがオーディオ用バッテリー参入。アクセサリー銘機賞グランプリの本機を審査委員6名が語る
■音楽の陰影表現力が高く、厚い響きの低音にも注目
テストはCDプレーヤーとプリアンプを接続して行った。パワーアンプを使うには出力や容量に無理がある。プリメインアンプも小型なら使える可能性があるが、消費電力を調べて使うことが必要だろう。
機器の電源ケーブルを電源ボックスから外し、LiB-AID E500 for Musicに接続して試聴すると、空間音場のS/N比が高くなり、輪郭がはっきりとしてくる。コントラストも高く得られ、解像度が高い。音楽の陰影表現力が高くなるのがわかる。
低音部は締まる傾向で分解力もしっかりする。低音弦楽器の旋律も響きが厚く変化の明確さが改善されることが感じられる。特に、低音のエネルギー供給力とS/N比の高いクオリティを達成していることに注目した。
バッテリー電源という方式がどのように優れていても、最終的には出力経路などで使われるケーブルやコンセントの性能が支配するため、ホンダがそのようなパーツにまで徹底したのには驚いた。フルテックのGTX-DNCF(R)のような高級パーツを採用する製品は、高級電源ボックスにも存在しないからだ。
■60Hzの方が音質的に有利。充電しながらはマイナス
リチウムイオン電池の充電には、付属のACアダプターを使う。このとき、アダプターを接続して充電しながら利用すると、多少音質にくすみやヴェール感といったマイナス要素が発生する。再生中は、この経路は切り離しておくほうがベストだろう。
また、出荷初期状態の交流周波数は60Hzになっていると思うが、50Hzでの利用も可能。比較すると60Hzの方がS/N比や音のコントラストといった点で有利であった。
オーディオシステムの電源供給経路の品質が音質を左右することを十数年前に発見した筆者は、この重要性を専門誌で主張してきた。その後、本格的なオーディオ用電源パーツが開発されるようになり、電源ケーブルも高級製品が登場するようになった。
そのような供給経路の問題やケーブルも重視するマニアが、ホンダLiB-AID E500 for Music装着の意味を理解するように思う。また、そうした電源経路の問題を無視して、バッテリー電源の効果を最高にすることは難しいということを私は言いたい。
自動車やバイクメーカーとして有名なホンダが手がけるオーディオ専用バッテリー。アクセサリー銘機賞の審査委員長である福田氏は、その効果を以上のように評価している。では、他の審査委員はどのように感じたのだろうか。5名によるレビューを併せてご覧いただきたい。