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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第244回】

デスクトップオーディオの新たな“コア” 、iFI Audio「ZEN DAC」を徹底チェック!筆者から皆様へのご報告も…

公開日 2020/02/20 06:40 高橋 敦
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様々な出力端子から同時出力!だからこその使いやすさ

そして筆者宅、というか筆者卓のデスクトップシステムに実際に接続してみると、このZEN DACが、筆者の使い方においては特に実にありがたい仕様を備えていることもわかった。ヘッドホン出力とライン出力が排他ではなく、常時同時出力となっているのだ。

筆者デスクトップではヘッドホン出力にもライン出力にもケーブル挿しっぱなしがデフォルト

ZEN DACはその状態でヘッドホンとスピーカー両方ともから音が出る

なお、ヘッドホン/ライン同時出力は、このZEN DACだけが備える特別な仕様というわけではなく、そういう仕様の製品は他にもある。しかし逆に言えば、そうではない仕様の製品もある。そしてその仕様の違いは、デスクトップオーディオのコアとしての使い勝手に大きく影響する。

「そうではない仕様」の場合によくあるのは、「ヘッドホン端子にプラグが接続されていればそちらへの出力が優先され、ライン端子からの出力はカットされる」という動作だ。

もちろん、これはこれで悪い仕様ではない。一人の人間がヘッドホンリスニングとスピーカーリスニングを同時に行うことはできないし、ヘッドホンで聴いている時にスピーカーから音が出てしまっているのは不都合なことも多い。そう考えると自動的に排他選択されるのは便利だ。

だが、本機のような「そういう仕様=ヘッドホン出力とライン出力が常時同時出力」も、うまくシステムを組めば便利に使える。たとえば筆者の場合、ヘッドホン端子には常用ヘッドホンを接続しっぱなしにした上で、ライン出力とパワードスピーカーの間にパッシブのボリュームコントロールを設置。ヘッドホン再生の音量は本機のボリュームノブ、スピーカー再生の音量は外付けボリューム、それぞれ別々のノブで個別に調整できるようにしてある。

ZEN DACの左後方に注

FOSTEXのボリュームコントローラーPC-1eとJVCのアッテネーター入りプラグアダプターAP-121Aを組み合わせて使用

このシステムだと例えば、以下のような不便やトラブルは回避できる。
「スピーカーから音を聴きたい時に、いちいちヘッドホン側の端子を抜かなくてはならない」
「ボリュームを下げ忘れたままヘッドホンを抜くと、再生中の音がスピーカーから流れ出してしまう」

いずれも大したことではないと感じるかもしれないし、前述のように排他方式にもならではの使いやすさがあり、一概にどちらが優れていると言えるものではない。であるが、使い勝手の優劣はなくとも、使い勝手の違いがあることはたしか。自分のデスクトップにDAC/ヘッドホンアンプ/プリアンプ型の製品を導入する際には、自分の求める使い勝手に合う仕様、挙動の製品を選ぶように留意してほしい。

ZEN DACのライン出力はDAC的な出力レベル固定モードとプリアンプ的な出力レベル可変モードを選択可能

POWER MATCHとTRUE BASSによる幅広い対応力!

最後に実際に生み出される音周りについて紹介しよう。音質については、すっきりクリアで現代的な高解像度志向! という方に寄りすぎることなく、それらの要素も備えつつ、ナチュラルな手触りや耳なじみのよさといった心地よい感触も備えていることがポイント。

デスクトップではスピーカーも超ニアフィールドとなるので、あまり鋭すぎる音だと耳が疲れやすくなりがち。最終的にはスピーカーとの組み合わせ次第ではあるが、ZEN DAC自体の音が鋭すぎることはないので、最終的な音も鋭すぎないところにまとめやすいだろう。ヘッドホンやイヤホンでも同じくだ。

そして音周りの使い勝手も素晴らしい。ゲイン調整機能「POWER MATCH」と低音補強機能「TRUE BASS」によって、ZEN DACは実に幅広い対応力を得ている。

POWER MATCHはヘッドホンやイヤホンの感度に併せてのゲイン調整機能。ボタンを押してLEDを点灯させるとhighゲイン、消灯中がlowゲイン

TRUE BASSはアナログ処理による同社独自の低音補強。ボタンを押してLED点灯時がオン。なおボリュームLEDの色はサンプリングレートやPCM/DSD/MQAを示している

次ページゲイン調節、低音ブーストが多種多様なシステムにマッチして便利!

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