【PR】先入観を覆すクオリティ
オーディオ評論家も納得、Hi-Fi思想を感じるサウンドバー。デノン「DHT-S216」実力チェック
■ポップスも難しいクラシックの表現も難なく再生。楽曲の良さがストレートに分かる
続いてAmazon Music HDのクラシックとポップスを使い、がっつり音楽再生能力をチェックしよう。まずはピアノ協奏曲。ヤン・リシエツキ, オルフェウス室内管弦楽団『メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲、他』を聴く。
このアルバムの曲は、アコースティック楽器の質感表現が難しく、ピアノタッチの質感と立ち上がりが要求されるため、再生難易度が高い。正直、サウンドバーのクオリティチェックに使用するのは普段であれば憚られるような楽曲だ。しかしDHT-S216で再生してみたところ、その音に驚いた。
派手さのない、しかし付帯音も最小限に抑えられたスムースな音だ。もちろん本格的なHi-Fiスピーカーと比べれば、絶対的な情報量や高域から低域までのレンジの広さなどに差が出る。しかし絶妙なバランスを保ち、ソリストのピアノやオーケストラを構成する各楽器のアコースティックな質感をしっかりと聴き取ることができた。
打ち込み系のEDM調のポップスでも、デュア・リパ「ドント・スタート・ナウ」では、一聴してエレクトリックシンセサイザーの音がよく聴き分けられ、キレキレでスピードがあるバスドラムが秀逸だ。本楽曲も含め最近のポップスは音圧が高く、再生能力が低いスピーカーだとうるさく聴こえてしまうこともあるが、DHT-S216はクセのない音色によってストレートに楽曲の良さを聴き取ることができる。
奇をてらったような迫力とは無縁のHi-Fiサウンドだが、細長のキャビネットの割に低域もしっかり出ており、更に低域の量感が5段階で調整可能で、音が破綻することなくキレの良い表現で聴かせてくれる。75mmサブウーファーを2基搭載したことと、背面と底面の両方にウーファー開口部を設けるこだわった設計、さらに巧みなセッティングにより、この良質な低域が生まれたのだろう。
アーティストや製作者が聴かせたいであろう音をクセなく出すセッティング(これが難しいことはオーディオファンの多くが感じているはずだ)に、「さすが山内氏が携わったモデル」と感心した。それを2万円台という価格帯で実現したことにも驚く。
サウンドバーというものに対して元々あまり良い印象を持っていなかった筆者だが、DHT-S216によってその先入観は見事に覆された。筆者のようなオーディオファンでも長時間音楽を楽しめる、自然な音のサウンドバーである本機に、大きな魅力を感じた。
テレビと組み合わせるサウンドバーとしてはもちろん、リビングに気軽に置ける高品位なオーディオシステムとして十分使えるクオリティである。しかもこのクオリティで2万円台というから、かなりのお買い得モデルだ。
価格帯だけ見ると"入門モデル”というイメージを持つかも知れないが、本機はそれ以上の実力を備えた、デノンが目指すピュアオーディオ思想を強く感じられる1台と言えるだろう。
(土方久明)
(企画協力:ディーアンドエムホールディングス)