<山本敦のAV進化論 第187回>
ソニー「Xperia 1 II」ハンズオン! 画質・音質が飛び抜けた「今すぐ欲しい5Gスマホ」
そして有線接続イヤホンが使えることは、モバイルゲームを楽しむ際に音声遅延が発生しない点でも有利だ。直近で発表された製品では、AZLAの「AZEL」のような “モバイルゲーミング向け” を謳う良質なイヤホンがある。今後こういった製品が次々に発表されることを期待したい。
改めて、有線接続のイヤホンも使えることは、スマホを使う側にとってメリットしかない。ぜひXperia 1 IIの英断に他社も刺激を受け、アナログイヤホン端子を復活させてほしいと思う。
■BluetoothオーディオはLDACのほかaptX Adaptiveをサポート
Bluetoothのコーデックは、ソニーのLDACのほか、可変ビットレート伝送に対応するaptX Adaptiveにも対応した。開発者向けオプションに並ぶBluetoothオーディオコーデックの種類を確認すると、固定ビットレート方式のaptX HDも残されている。「Qualcomm aptX TWS+オーディオ」という見慣れない選択肢も表示されるが、TWS Plusに対応する完全ワイヤレスイヤホンをペアリングすると自動的にこちらが選択された。
残念ながらXperia 1 IIの試用期間中、aptX Adaptive対応ヘッドホンが手元になかったため、試聴チェックはまた別の機会に行いたい。シャープのAQUOSスマートフォン新機種もaptX Adaptiveに対応しているので、聴き比べてみるのも面白そうだ。
TWS Plusに対応した、AVIOTの完全ワイヤレスイヤホン「TE-BD21f-pnk」によるサウンドも確かめた。とてもエネルギッシュで鮮やかな抑揚感があり、ハイブリッド方式のドライバー構成を採るイヤホンの実力を、Xperia 1 IIが存分に引き出していた。良質なワイヤレスイヤホンとの組み合わせであれば、有線イヤホンより聴き応えのあるサウンドが楽しめる場合もある。
■AIアルゴリズムを強化した「DSEE Ultimate」にソニー製品として初対応
続いて新機能の「DSEE Ultimate」の実力をチェックしてみよう。DSEEはストリーミングやCDリッピングの音源を、ソフトウェアのアップコンバート処理によってハイレゾ相当の音質に向上するソニーの独自技術だ。Xperia 1まで搭載してきたDSEE HXの上位技術として開発されたDSEE Ultimateが、ソニーの製品として初めてXperia 1 IIに搭載された。
DSEE Ultimateの特徴は、AI解析により再生中の楽曲に最適なアップコンバート処理をリアルタイムに行うアルゴリズムについて、ストリーミングWALKMAN「NW-A100」などで対応する従来の「周波数帯域」処理に加え、新たに「ビット深度」にも適用して、さらなる高音質化を実現することにある。
DSEE Ultimateのトリガーは「設定」>「音設定」>「オーディオ設定」の中にある。オンにすると有線・無線、どちらのイヤホン・ヘッドホンを接続した場合でも効果が得られる。スマホに保存したファイルの再生に限らず、ストリーミングサービスのリスニング時にも機能が働く。
機能をオンにすると中高域の透明度が上がり、特に奥行き方向への見通しがクリアになる。音像の輪郭がくっきりとして、ボーカルや楽器の定位が鮮明さを増した。低音のビートもより力強くなる。ボーカルや高音打楽器の余韻も階調感がきめ細かく感じられた。ハイレゾ音源の再生時に、より明らかな効果が得られそうだ。
■力強さを増した内蔵スピーカーのサウンド
Xperia 1 IIが内蔵するステレオスピーカーは、筐体内部の音道配置を見直して、さらに左右両側のスピーカー開口部をともに正面に向けたことで自然なステレオイメージの再現力を獲得した。
Xperia 1と交互に聴き比べてみると、その差は明らかだ。クロストークノイズが軽減され、映画の効果音の定位感や切れ味が一段と鋭くなっている。役者の台詞も引き締まって聞こえる。スピーカーボックスの容積アップも音圧の向上に一役買っている。粘っこく地に足の付いたパワフルな重低音再生が楽しめる。映画やドラマの視聴も、内蔵スピーカーによる高い没入感が味わえるだろう。
ドルビーアトモスの音源は効果音の迫力がさらに増したことで、作品の世界にぐいぐいと引き込まれてしまう。スマホの常識を超えたホームシアター級に大きなスケール感のサウンドは見事だ。