音質の良さに驚き
Amazon 新「Fire HD 8」レビュー。1万円切りタブレットはどれだけ使える?
■手放しですごいと思えたのが「音」
さて、ここまでは「少し残念なところもあるが、1万円切りという価格を考えたら十分」という書き方が多かった、というよりも、そういう表現ばかりしてきた。
「安い」というエクスキューズがなくても、手放しですごいと思えたのが「音」だ。本機は従来モデルと同じくDolby Atmos対応なのだが、うまくまとまった音作りだ。サウンドについては、iPad mini 第5世代機より上だと思う。
ステレオ音源を再生しても、クリアで絶妙な広がり感のあるサウンドが再生される。タブレットで再生しているとは思えない、しかも1万円のもので鳴らしているとは思えない音質だ。
もちろんDolby Atmos対応なので、Amazon Music HDで提供している「3Dサウンド」楽曲との相性はバツグン。頭の後ろにまで音がぐるぐる回る、というところまではいかないが、タブレットの周囲に、少し広めのサウンドフィールドが作られる感覚だ。
この広がり感のあるサウンドは、NetflixやAmazon Prime Videoなど映像ストリーミングサービスでも活躍する。アプリではDolby Atmosアイコンなどは表示されず、内部でどのような処理が行われているか不明だが、映画やドラマを広がり感や奥行き感のあるサウンドで楽しめ、とても快適だ。台詞の明瞭さもコンテンツの魅力を高め、8インチ画面で視聴しているとは思えないほどの臨場感が得られる。
■Zoomでのビデオ会議にもしっかり対応できる
Amazonアプリストアには「Zoom」アプリも用意されているので、ビデオ会議にも対応できる。実際にZoomを使ってみると、前述したようにフロントカメラの画質はMacBook Proより良いくらいだ。スピーカーの音質も申し分なく、相手の声が明瞭に聞こえる。
ビジネス用途だけで無く、教育の現場でもオンライン授業が増えており、ビデオ会議用の端末が足りない、あるいは今後足りなくなりそう、という家庭も多いことだろう。そのようなニーズに本機はぴったりだ。
バッテリー持続時間にも軽く触れておこう。スペック上のバッテリー持続時間は最大12時間だが、たしかによく持つ。これだけバッテリーの持ちがよければ、長距離の移動時にも安心だ。
■ワイヤレス充電スタンドも用意。Echo Showのように使える
上位機の「Fire HD 8 Plus」も使ってみた。性能に関わる違いは、RAMが無印モデルの2GBから3GBに増えたことくらいだろう。使い勝手の面ではワイヤレス充電が行えることが大きい。ワイヤレス充電スタンド付きのセットも売られている。
このワイヤレス充電スタンド、角度調整が行えないなどの不満点はあるものの、やはり置くだけで充電されるのは便利だ。
近年、FireデバイスとEcho Showがかなりクロスオーバーしてきている感があるが、今回のFire HD 8/Fire HD 8 Plusも「Showモード」を備えている。スイッチ一つで、Echo Showと同じように動作するというものだ。
このShowモードとワイヤレス充電スタンドの相性はバツグン。充電スタンドに置いてShowモードを起動すれば、ほとんどEcho Showと同じ使い方ができる。つまり、ふだんはEcho Showと同じように使った上で、持ち運びたいときはさっと持ち出し、タブレットとして使える。良く工夫されていると思う。
「Fire HD 8」「Fire HD 8 Plus」は、とにかく安い。そのうえで大きな不満点がなく、バランス良くまとめ上げられている印象だ。
途中で少し触れたように、たとえば「Zoom通話用のデバイスがもう一つ欲しい」など、なにか一つでも具体的な目的があれば、それだけで元が取れるケースも多いはず。出費を抑えながら、ある程度満足できるタブレットを探している方におすすめしたい。