【PR】オーディオらしさとモニターらしさを両立
巧みな低域表現で銘機に割って入るか? Campfire Audio期待の新7BAイヤホン「ARA」を聴く
新技術の「ソリッドボディ設計」をベースに、従来技術のT.A.E.Cとクロスオーバーレス設計を組み合せて作られたアコースティックチャンバーと7基のBA型ドライバーが収まるのが、このチタン製の筐体である。
チタンは硬く音響特性に優れる。また、軽量で腐食や耐アレルギー性にも優れるため、日常的に身につけるイヤホンにはもってこいの素材だ。表面はつや消し処理が施され、落ち着いた堅牢な雰囲気に仕上がっている。
ケーブルは着脱式で、イヤホンにはベリリウム銅で加工されたMMCX端子を備える。付属ケーブルは純銅銀メッキ導体を採用した「Smoky Litz Cable」。もつれにくい撚りが採用されており、柔らかく取り回しに優れタッチノイズが極めて少ない。また、イヤーガイド部に熱処理で形状を記憶させた樹脂製スリーブを採用して軽量化も図られている。ジャケットがスモーキーカラーで本体のチタンカラーと相性抜群なのもうれしいポイントだ。
スペックは周波数特性が10Hz - 26kHz、インピーダンスは8.5Ω、感度は94dBSPL/mW。付属品はキャリングケースのほか、シリコン、フォームタイプ、final製E-Typeの3種類のイヤーチップ、クリーニングツールなどが用意される。
なかでもキャリングケースは素材を一新。表面にコルク、内面に厚手のフェイクウールを採用している。コルクはさらさらとした手触りが気持ちいいだけでなく、丈夫で環境にも優しい。ポルトガルの小さな工房で作られているそうで、Campfire Audioのクラフトマンシップが行き届いているのが見て取れる。
■広大な空間と濃密で繊細な低域の表現が光る
ここからは、気になるARAのサウンドを確かめていこう。まずは、Astell&KernのDAP「A&ultima SP1000」でハイレゾ音源を試聴する。
まずはビル・エヴァンストリオの「Waltz for Debby (Take 2)」を再生する。広い音場に解像度が高く、滑らかなピアノの美しい旋律が響き渡る。サウンドはとても素直で、高解像度だ。音の立ち上がりのキレ味も鋭い。ディテールは明瞭でモニターのような冷静さがありながらも、潤いを帯びた音は優しく感じられる。滑らかな中高域の華々しさに耳を奪われるが、本機の本領は特に “低域の表現力” にある。
ARAでは低域用に4基のBA型ドライバーを使っていることから、勝手に低域の目立つサウンドかと思い込んでいたが、実際には全帯域が極めてフラットで低域は主張しない。はじめは物足りなさを感じたものの、聴き進めるうちにそれが間違いであったことに気がついた。低域が実に「濃密」なのだ。