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体験者2 井上千岳、デジタルケーブル「Epic」とノイズ・ポンプ・プラグ、スパイクベースを試す!
井上千岳が選んだ3製品
Chord Company/RCAデジタルケーブル「Epic Digital RCA」
(76,000円/1m・税別)
Chord Company/ノイズ・ポンプ・プラグ「Ground ARAY」 RCA
(88,000円)
Andante Largo/スパイクペース「SM-5TX」
(70,000円/4個・税別)
■デジタルでもアナログでも強力な改善力。マウントは軽量スタンドでも緻密な効果(井上千岳)
解説が目的ではないので詳しいことは省くが、手頃なデジタルケーブルを探していたからまずEpicのデジタルケーブルを試してみた。英国コード・カンパニー社の中核モデルで銀プレート銅線を使用し、独自のアレイ線も装備する。
ピントが明確で輪郭もくっきりしている。どこにも崩れたところがなく、規矩整然とした折り目正しい再現性を感じる。また強弱の幅がきちんと取れてダイナミズムが広い。瞬発力についても同様で、だからピアノなど表現の陰影が深くなったのをはっきり感じるのである。
また室内楽は余韻の乗り方が豊かで瑞々しく、音場の出方が非常にリアルだ。ピアノも弦楽器も存在感がはっきりして、空間自体の奥行も深く明瞭である。この空間性のよしあしが、現代のオーディオでは重要な意味を持つ。
オーケストラは伸び伸びとして滑らかで、豊かな起伏が大きなうねりを描いて音楽的なニュアンスがたっぷりしている。そして刺や歪み、濁りが全く感じられない。この刺っぽさももうひとつの要点で、実体感につながる特質である。概ね想定したとおりだが、音質はそれ以上に改善された。デジタルケーブルの見本という印象である。
「グラウンドアレイ」はよく知ってはいるが、自宅で聴いたことがないのでちょうどいい機会であった。音に絡むノイズがみるみる減少してゆくような利き方で、エネルギーが上下にぐんと伸びて瞬発的な力が段違いに増す。ピアノの力強さとスケール感、室内楽の鮮やかさ、オーケストラは伸びやかさと潤い。圧倒的な違いだが、面白いのはデジタル信号にも有効なことだ。
CDプレーヤーのアナログ出力とデジタル出力は塞がっているのでデジタル入力に挿し込んでみたが、利き方は全く同じ。試しにアナログ出力でも聴いてみたが、これも素晴らしい効果を得た。強力な改善力である。
「SM-5TX」は主にラック用だが、スピーカーが小型でスタンドも軽量なのでこの方がいい。こういう使い方もできるという点に着目してもらうのも、意味があるのではないか。
静かで落ち着いた鳴り方である。音調が低いとかおとなしいとかいったことではなく、音の周囲のノイズが静かになって暴れや刺々しさが消えるのだ。ピアノは静かなだけにいっそう表現が濃密になったように感じる。弱音部だけでなく、どの部分にも影の濃い表情が乗っている。また室内楽でも細かなニュアンスが浮かび上がってくる。
オーケストラは当たりが柔らかく、しかも歯切れがいい。要するに歪みっぽさがないのだが、このため強弱の変化が滑らかで流れに引っかかりがない。どこも緻密でていねいな鳴り方だ。響きが整ったという印象である。